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FBのトレビア

第二十回 Made in Japanは健在か(再び変換コネクター)

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Dr. FB

昨年夏に発売されたHF、50MHz、144MHz、430MHzのポータブル機IC-705にL型BNC変換コネクターを使うと感度が低下するといった話がハム仲間からありました。それではということで「FBのトレビア」第十七回では、ネット通販やハムのイベント会場で購入したL型BNC変換コネクターをかき集め、特殊工具を使い内部の構造を紹介しました。

その第十七回の記事で紹介した一部のL型BNCコネクターの内部写真を図1に再度紹介します。L型コネクターの垂直部分と水平部分の接合点にはバネが使われており、その部分を拡大して観察すると接点には「錆」のような付着を見ることができます。これをにわかに感度低下に結びつけることはできないと思いますが、可能性はあるように感じます。


図1 感度低下の可能性のあるL型BNCコネクター

精密部品と理解していた変換コネクターもこれでは感度の低下の可能性はあると分かりました。これが製品開発等の測定に使われているコネクターであるなら正確なデータの取得が困難となり性能に大きく影響することは避けられません。

それならと思い、Japanブランドのコネクターを購入し、前回同様にコネクターを削って中を見ることにしました。その結果「ブルータス、お前もか!」となったのか、はたまた「やっぱり誇れるMade in Japanだ!」となったのか、調査結果を報告することにします。

6種類の変換コネクターを検査

今回調査した6種類のコネクターは全部Japanブランド品です。Japanブランドとは、日本のメーカーで設計はその日本の会社という意味です。今回調査したコネクターは、日本有数のメーカーの一社です。

検査するコネクターは、IC-705に使うと便利なL型BNC変換コネクターやアンテナをスタックにするときの分岐に使うT型コネクターを対象としました。いずれのコネクターも入口と出口はストレートにつながっていないコネクターです。それぞれのコネクターを特殊工具で削った内部写真を図2にまとめました。


図2 6種類のL型・T型コネクターの内部写真

6種類の変換コネクターの評価

表中で一番右側の列の内部写真は、各コネクターの接合部を部分的に拡大したものです。このタイプのコネクターのポイントはこの垂直部分と水平部分の接点です。

某メーカーのT型コネクター

Dr. FBの手元にある電磁界ループアンテナ(MLA)の給電部には図3のようにT型コネクターが使われています。今回の実験中にこのT型コネクターを外そうとしたところ、図3(b)、図3(c)のようにT型コネクターが壊れてしまいました。コネクターが壊れるようなことは想像もしませんでしたので、びっくりです。おかげでそのコネクターの内部を観察することができました。


図3 破損したT型コネクター


図4 破損したT型コネクターの内部写真

T型コネクターの向き合ったコネクター部分の導体は、一本の導体が通っています。写真ではよく見えませんが、垂直部分の導体と水平部分の導体との接点は単に点で接触しているのではなく、垂直部分の先端の導体が水平部分の導体にねじ込まれているように見えます。今回たまたまT型コネクターが壊れましたが、少なくともこのコネクターは一部のL型BNCコネクターで見たような点接点ではなかったため、接触の観点から言えば全く問題なさそうです。

変換コネクターのまとめ

多くのハムの方々は、金属内に収められたコネクターの性能に差があることなど微塵も知らず、どのコネクターも入口から出口に信号が伝わるものと思っておられると思います。ところが、第十七回の内部構造を見てからそれが疑わしくなりました。それなら、「このコネクターなら間違いはない」といった性能・構造のものは存在するのかといった疑問を持ち、冒頭にも記述しましたようにJapanブランドのコネクターの内部を観察してみることにしました。

結果は、図2の写真にありますように、JapanブランドのL型・T型コネクターの内部の接点部分は不安を持つようなものではないことが分かりました。今回のJapanブランドの製品を見て「Made in Japan」に誇りを持ちました。

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