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第二回 dBm(デービーエム)のお話


Dr. FB

前回はdB(デシベル)についてお話しました。今回はdBm(デービーエム)についてお話します。dBmはdBに小文字のmが付いているだけですが、その持つ意味はdBとは大きく異なります。似て非なるものといえます。

1. dBmって何だ?

dBmだけではなく、例えばアンテナのスペックを見ているとdBi、受信機のカタログを見ているとdBμといった表記をご覧になった方もおられると思います。何れもdBの表記があることから何らかの物理量の基準となるレベルに対する比(割り算の答え)を対数で表したレベルであることが分かります。その何らかの物理量の基準がdBmの場合は電力の1mWと定義されています。

2. dBの復習

前回のdBの説明で使った二つの信号レベルを考えます。(図1)入力パワー=0.1μW、それをアンプで増幅すると出力には100μWを生じた。この入出力のレベル比(入力分の出力)は、100μW÷0.1μW=1000です。これをdB(デシベル)で表記すると30dBとなります。

図2を見てください。入力端子に1μWを入力します。出力端子に1000μWが出力されたとします。同様に入出力の比をデシベルで表記するとこれも30dBとなります。つまりこのdB(デシベル)は入出力レベルに関係なく、その比が同じであるなら同じデシベル値となることが分かります。

3. dBmの計算

次は本題のdBmです。dBmのmは、1mWのm(ミリ)の意味です。つまりQRPパワーですが1mWを基準値(0dB)とした場合の対象となる値をデシベル表記した単位がdBmです。ほんとうは、dBmWと記載すればもっと分かりやすいと思いますが、dBm表記は通信分野の慣習となっているので仕方がないです。

実例を挙げて計算してみましょう。対象とする電力が1000mWであったとするなら、それを対数表記すると次のようになります。
A=10×log(1000mW/1mW)=10×log1000
log1000=3であるので、上の式はA=10×3=30dBとなります。

基準となる電力が1mWですから計算で求めた答えは30dBではなく30dBmと記載します。30dBmと記載すると無線通の方々は、「それは1Wか」と即座に分かるのです。

先に説明した図1、図2では入出力の値に関係なく、それらの比が1000倍であるなら30dBとなりましたが、1mWを基準とすると、30dBとなるのは1000mW(1W)のときだけです。dB表記は相対値であるのに対し、dBm表記は絶対値であることが分かります。重要なポイントです。

4. dBmを実感してみよう

dBは2つの値のうちどちらかを基準にしたときの比を対数で表した単位であると説明しました。反面dBmは絶対値であるとも説明しました。IC-7300の送信出力は100Wです。この出力をdBmで表すとA=10×log(100W/1mW)と計算式を書くことができます。これを計算すると

A=10×log100000=50dBmとなります。つまり、IC-7300の送信出力はどれくらいかと問われたら、もちろん100Wが正解ですが、50dBmと答えても問題ないということです。

ここでIC-7300の出力に10dBのアッテネーターを挿入するとアッテネーターで減衰され出力には10Wが出力されます。そのことを図3で示しています。第一回目のdBのところでも説明しましたが、デシベル表記で考えると電力も足し算、引き算で計算できるメリットがあります。

5. 覚えておくと便利(電力信号レベルとdBmの関係)

dBmは1mWを基準としているので、それよりレベルが10mW、100mWと10倍アップする毎にデシベルは10dBm、20dBm、30dBmとこれも十の位の数字が一つずつアップ゚すると考えれば特に対数計算をしなくても済むので便利です。

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