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第三十七回 74HC74を使った分周回路の実験


Dr. FB

74HC74とは、1つのパッケージに2つのDタイプフリップフロップ(以降D-FF)が組み込まれたCMOSロジックICです。今回は、このD-FFを使って10MHzの水晶発振器からその1/2の5MHz、さらに1/2の2.5MHzの信号を作りだす実験を行います。

フリップフロップとは

電子工作を楽しんでいるとフリップフロップといった回路の記事をよく目にします。フリップフロップは英語でFlip-flopと綴ります。このフリップフロップの意味をネットサーチすると、「フリップフロップとは、ビーチサンダルの意味」と説明されています。ビーチサンダルを履いて歩くと、サンダルが足の裏に付いたり離れたりするときに「パタパタ」と音がなりますが、その音からビーチサンダルをフリップと呼ぶようになったようです。

電子工作で使うフリップフロップも動作をスローにすると正に「パタパタ」といった音が聞こえそうな感じで回路が動作します。例えば2個のLEDを交互に点滅させるときによく用いるフリップフロップ回路です。図1がそれです。SW1をオンにすると、D1、D2が交互にチカチカ点滅します。R2、R3あるいはC1、C2の値を変更すると、点滅の間隔や点滅スピードが変化します。

図1 2個のLEDの交互に点灯させる回路(写真をクリックすると動画が再生されます)

74HC74の基本動作

今回はフリップフロップの中でも、74HC74というD-FFを使い分周回路の実験を行います。その74HC74の各ピンの名称と接続図を図2に示します。

基本動作は、D端子に加わる信号(HあるいはL)の状態をクロック(CK)信号の立ち上がり(L→H)で、Q端子に転送するというものです。クロックの立下り(H→L)では、転送されません。Q端子に転送された状態は、次のクロックの立ち上がりが来るまで保持されます。Q-(Qバー、Qの上に横棒)は、Q端子に現れる信号の反転状態を出力します。これらの状態をタイミングチャートで表したものが図3です。


図2 TC74HC74AP/AFのピン接続図(東芝データシートより引用)


図3 Dフリップフロップのクロック信号に対するD入力とQ出力のタイミングチャート

D-FFで1/2分周の原理

図3のタイミングチャートより、クロックの立ち上がりでD端子の状態がQに転送されることに着目し、このD-FFを図4のように接続するとクロック周波数の1/2の周波数がQ端子から出力されます。順を追って説明します。


図4 D-FFによる1/2分周回路の原理図

Q-の端子とD端子を接続します。D-FFが通電されると、入力端子DはLレベル(L)であるためQ端子もLとなります。反転出力Q-は、Hレベル(H)を出力します。このとき同時にD端子はHになります。最初のクロックが入力されるとその立ち上がりでD端子のHがQ端子に転送されます。つまりQ端子にはHが現れ、Q-端子にはLが出力されます。同時にD端子はLになり、次のクロックの立ち上がりで、D端子のLがQ端子に転送されます。今度は、Q-端子はHに変化します。同様に以降クロックが入るごとにQ端子のレベルがH→L、L→Hと変化します。

つまり、2個のクロック入力(1周期)でQ端子あるいはQ-端子の出力は半周期の1回しか変化しないことになります。これが1/2分周の原理です。図5がそのタイミングチャートです。赤色の網かけ部分の矢印で、CK(クロック)の立ち上がり2回分でQ端子あるいはQ-端子のレベルが1回しか変化していないことが分かります。


図5 D-FFによる1/2分周を表すタイミングチャート

D-FFで1/2分周器を製作

74HC74を使って1/2分周器を製作してみます。図6がその回路図です。今回は実験ですので回路はブレッドボードに組み込みます。10MHzの発振器は一から製作すると時間も掛かるため、今回は水晶発振器(ユニット)を使います。その発振器の出力を、NANDゲートを通して矩形波にします。あとは、これまでの原理の部分で説明したD-FFの1/2分周回路です。最初のD-FFで1/2分周にし、二番目のD-FFでさらに1/2分周しています。これで、10MHzから5MHz、2.5MHzを作り出します。


図6 1/2分周器の実験回路

図7がこの回路をブレッドボードに組み込んだものです。クロックの周波数が10MHzと高く、それ以後の分周した周波数も5MHz、2.5MHzと高周波であるため、ブレッドボード上で信号の干渉が発生し、出力の信号波形はきれいではありません。それでも分周している様子は、図8ではっきり掴めます。


図7 ブレッドボードに組み込んだ1/2分周回路


図8 出力波形の比較(黄:10MHz、青:5MHz、ピンク:2.5MHz)

最後に

今回は74HC74のD-FFを使い、1/2分周器の実験を行いました。他にも例えば74HC390を使うと1/10分周できます。連続で2個使用すると1/100分周もでき、複数個使用することで周波数カウンタを自作するときの1secや1msecの時間を作ることもできます。

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