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Topics from Around the World

サイクル25

著者: Steve White/G3ZVW  月刊FB NEWS編集部抄訳

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DXの入感はFT8だけかと思わせるようなコンディションの中、サイクル25の兆候を感じようとしているのはJAの局ばかりではないようです。英国のアマチュア無線雑誌「PRACTICAL WIRELESS」にスティーブ ホワイト氏(Steve White/G3ZVW)が執筆したサイクル25の記事が掲載されていました。当編集部が著者と出版社に月刊FB NEWSへの掲載許可を申し出たところ快く受け入れていただきましたので、今回ここにその抄訳を紹介します。


サイクル25

著者スティーブ ホワイト氏(G3ZVW)は、間近に迫るソーラーサイクル25の到来に期待を膨らませています。

2019年の11月にサイクル24は瀕死の状態であることを書きました。その前年の2018年4月には、サイクル25における太陽表面の最初の黒点がどのように見られていたかについても書きました。クリスマスイブにサイクル25の黒点が太陽の赤道の両側に1つずつ2つ現れました。

注目の太陽黒点を図1に丸で囲んで示しています。どちらも特に大きくもなく、また長期間現れているものでもありませんでした。最も興味深かったのは、それらがそれぞれ赤道の北27°と南30°に現れたことです。これはまさに私たちがサイクル25の黒点に期待すべき種類の緯度であったということです。HF帯における電波伝搬の専門家は、サイクル25の状況はサイクル24と同様のパターンのようだと予測しています。専門家らは大きなピークは予測していないようですが、サイクル25が実際に始まったときにはまた意見を交える必要があるかもしれません。


図1 サイクル25における最初の注目すべき2つの黒点2019年12月24日の黒点。
ソーラーダイナミクスオブザーバトリー(SDO)の画像

データの解析

太陽活動に関心を持っているアメリカの政府機関に米国海洋大気庁(NOAA)と米国航空宇宙局(NASA)があります。彼らの共同研究の中で太陽周期予測委員会は、サイクル25の活動予測をグラフィックで公表しました。図2は、過去25年間の黒点数を示しています。ギザギザの線は短期間の変動を示し、太い黄色の線はサイクル25の予測を示しています。これによると2025年7月にピークを予測していることが分かります。

私の目を引いたのは、図2から分かるように、サイクル23の活動期間が平均の11.1年よりも長かったということで、実際は12.3年も続いたということです。ということでサイクル24はそれよりも少し遅れてスタートしたことになります。もう一つ分かることは、サイクル23が終了したとき、その期間の黒点の平滑化数が非常に低かったことです。つまりサイクル24の黒点の平滑化数はほぼゼロから始まったことを意味します。サイクル24のスタートは遅れ、またその低いベースからスタートしたことで他のサイクルほど太陽活動が活発になるまでの時間がなかったように見えます。これはあくまでも私の推測です。


図2 最近のソーラーサイクル(太陽周期)とサイクル25のNOAAおよびNASAの予測

サイクル24の終わりには、黒点数の平滑化も非常に低いレベルとなっています。これは上に示した図2でも見ることができます。その意味で、サイクル24の状態はサイクル23の終わりの状態と非常に似ていますが、サイクル25はサイクル23のように期待するような状況でないことは間違いありません。NOAAおよびNASAによる太陽周期予測委員会によればサイクル25は壮大なサイクルにはならないと結論づけていることからも分かります。私が見ることができる唯一の違いは、サイクル25のスタートはそれほど遅れないということですが、これによりピークに達するまでに時間が掛かるということです

混乱を招く理解

この機会に、混乱を招きやすいHF帯の電波伝搬に少し光を当てたいと思います。これまで2つの類似したグラフが公表されました。類似しているように見えるため、同じだと考える人もいますがそうではありません。

1. ソーラーフラックス指数 (SFI)
これは太陽から放出される周波数2800MHz(波長=10.7cm)の電波ノイズ(あるいはフラックス)の量です。図3の赤い線のグラフの左側の単位は、ソーラーフラックス単位です。黒点の最小値(1996年、2008年、2019年)の年の前後でさえ、ソーラーフラックス指数が約70を下回っていないことがわかります。数値が大きいほど、HF帯の伝搬がよくなる可能性があります。状況を見極めるために下に示すように指標が段階別に説明されています。

70      悪い
80      フェア
90      良い
100以上      とても良い


図3 1995年から2020年までのソーラーフラックスと黒点数のグラフ

2. 黒点数 (SSN)
この数字は毎日公表されます。数字は目に見えるほど黒点数を表す単純な数字ではありません。この数字に関係するいくつかの公式があります。公式は基本的なものですが、今回のこの説明で公式の解析に取り組んでも多くの読者にとってそれがとても役立つとは思いません。数式や公式を知りたければインターネットで簡単に見つけることができると思います。図3の青い線のグラフの左側の単位は太陽黒点数(SSN)です。黒点数はソーラーフラックスよりもはるかに大きく変化します。これは黒点が見えない場合でも太陽から放射される電波ノイズは残っているためです。

今日の動きは?

太陽活動が低調なときでもしばしばHFローバンドでグッドコンディションをもたらすことがあります。これは電離層のD層による電波の吸収が少なくなることが原因です。D層は電離層の最も低いところにあり日中のみ存在します。D層は電波を吸収する性質がありますが、電波のスペクトル全体で均等に吸収するわけではありません。D層の吸収は、周波数が高くなるにつれて減少します。そのため、日中は中波放送局で同一周波数の干渉はほとんどありませんが、夜間D層が分散すると発生します。冬にはイングランド南部では約8時間の日照時間がありますが、スコットランド北部では約6時間しかありません。数字的には、D層はスコットランドではイングランド南部と比較してその存在時間は短いことが分かります。

アマチュアの160mバンドも同様に影響を受けます。日中にワッチしても聞こえるのは、ローカル局か最大数十km離れた局ぐらいです。したがって日中は1.8MHz帯で妨害を受けるようなことはありません。しかし夜になると話が変わってきます。太陽が沈むころになるとバンドが開き始めます。そのころになると電波は電離層のより高い層に達し、そこで電波が反射して地球に戻ります。私の住む英国では、ヨーロッパ大陸との交信ができるようになります。さらに夕方遅くから北米との交信もできるようになります。

すでにご存じと思いますが、FT8はJoe Taylor氏/K1JTの開発したデータモードの一つです。冬の間、何人かのアマチュア局が日中1.8MHzでFT8を運用し、その運用状況の結果を公表しました。例えばキロワットの無線設備や抜群のアンテナを備えているような局は別格として、それ以外のごく普通のアマチュア局はDXの信号を捉えようと長時間ワッチをしているようです。英国から見てオーストラリアは遥か遠方に位置してDXに値する地域ということもありますが、夕方せっかく開けたパスも短時間にすべて消滅することもあります。ところがFT8を運用して分かったことですが、英国-カナダ間のパスは日中も50%以上で存在しています。要するに、ほとんどの局は、そこにパスが存在するとは思っていないし、ましてや交信できるとも思っていないため、交信できるかどうかを試すことすらしていないようです。ところがFT8を使えば、そのようなアマチュア局でも思いがけない交信が可能になります。

1.8MHzでFT8をやってみようと考えている場合は、次の点を考慮してください。
(1) 私が上で書いた実験や交信は冬の季節に行いました。春や夏の電波伝搬は、季節の変化により同じではありません。
(2) 時には遠距離とのパスが数分間開いている場合があります。
(3) 強力な信号で入ってくるパスを期待すべきではありません。D層の吸収も3.5MHz帯に影響しますが、程度はそれほどでもないと思います。

この記事は、英国のアマチュア無線雑誌 Practical Wireless Magazine 社の好意により提供され、それを月刊FB NEWS編集部が抄訳したものです。この場を借りて厚くお礼申し上げます。Practical Wireless Magazine: https://www.radioenthusiast.co.uk/

Article supplied by Practical Wireless Magazine with their kind permission.
Visit their website: https://www.radioenthusiast.co.uk/

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