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小型144/430MHzデュアルバンド指向性アンテナ

月刊FB NEWS編集部抄訳

コンパクトポータブルトランシーバIC-705がアイコムから発売され、かつこのところのEsのシーズンとも重なり移動運用がアクティブです。そんな中、ドイツのアマチュア無線雑誌FUNK AMATEURにMoxonアンテナを改造した小型144/430MHzデュアルバンド指向性アンテナの記事が掲載されていました。編集部がこの記事を抄訳しましたのでご紹介します。ドイツ語から英語に翻訳した記事はすでに7月1日公開号のFB NEWS Worldwideに掲載されています。併せてご覧ください。


小型144/430MHzデュアルバンド指向性アンテナ

筆者: Martin Steyer, DK7ZB

小型デュアルバンド指向性アンテナは、その手軽さからポータブル運用やスペース的に限られた条件下での運用に使われることがあります。それは、常に多くのアマチュアが望んでいるわけではないのですが、スペース的なことを考えると単に大きなアンテナに対応できないだけのことと思います。特に垂直偏波の場合は、アンテナそのもののスペースはマストに沿うような形で取り付けできますのでそれほどでもありません。そこで、この記事に示した寸法は、VHF/UHF帯のFM領域で使えるアンテナとしてこれまでに説明された最小の指向性アンテナといえます。

移動地で素早く運用を行うために私は図1に示すようなマストを常に車のトランクに入れています。図1は、144MHz帯の2エレMoxon八木アンテナです。144/430MHz帯のデュアルバンド指向性アンテナとするために写真で分かるように2本のエレメントを追加しています。追加された430MHz帯のエレメントは、直接同軸ケーブルで給電しておらず、パラスチックエレメントとしてドライブし、オープンスリーブエレメントとしています。このアンテナの製作の目標は、まずはデュアルバンドアンテナですが、1本の同軸ケーブルで給電する最小の指向性アンテナとしています。


図1 完成したアンテナをマストに水平に取り付けたところ

動作原理

144MHz帯用2エレMoxonアンテナは、Dan Maguire (AC6LA)によるフリープログラム「Moxgen」[1]を使用して作成され、EZNEC +V.6.0で処理されました。Moxonビームアンテナの特性は[2]で詳しく説明されています。ゲインは4dBd弱あり、FB比は35dBと非常に高いです。

144MHz帯用のMoxonアンテナは、430MHz帯では3/2λで共振しています。ただし、前方向に3つのローブが発生します。オープンスリーブエレメントが432MHzに正しく共振していれば、ビーム方向に1つのメインローブが輻射されます。図2は、144.3MHz時のエレメントに誘起される電流分布です。予想どおり430MHz帯のエレメント(ワイヤ8)にはほとんど何も誘起されていません。

図3に示すように432MHzでは見た目が少し異なります。144MHz帯のラジエータ(ワイヤ1、2、3)の2つの外部電流の最大値が非常によく抑制され、電流の最大値がオープンスリーブエレメント8で発生していることがわかります。個々のセクションの番号は、EZNECではワイヤと呼ばれます。これは寸法にもそのように記載されています。


図2 144MHzにおける基本構造と電流分布   図3 432MHzにおける電流分布

まず、仮想ラジエータとして動作する430MHz帯用のオープンスリーブエレメントを内側に動かしてみました。これにより、ブームを長くする必要がなくなります。しかし、これによりゲインとリターンの減衰が予想を下回ったため、エレメントはビーム方向にMoxonフレームの前に取り付けることをお勧めします。反射器として追加したパラスチックエレメントは、より高いゲインとFB比をもたらします。

私がこれまで設計した他のデュアルバンド八木と同様、430MHz帯のオープンスリーブエレメントの長さとエレメント間の距離はEZNECで計算された寸法とは少し異なりました。帯域幅はEZNECで予測されたものよりかなり広いです。オープンスリーブエレメントは、EZNECを使ってアンテナをシミュレーションする場合に比べ、実際にはそれほどクリチカルではないようです。

組み立て

アンテナはできるだけ軽くする必要があります。このアンテナのエレメントには4mmのアルミ棒を使っています。私はこれまでのアンテナ製作の中で合金AlMg3(5754)から作られたアルミニウム溶接棒が最高であると思っています。このアルミ棒は固くもなく、柔らかくもなく適度な硬さで、直角に曲げることができます。他のアルミ合金棒は、柔らかすぎたり、あるいはもろすぎたりして、万力で曲げると折れてしまうことがあります。ホームセンターで販売されている4mmで2mの長さのアルミ棒も使いやすいです。ところがそれらはたいてい表面が錆止めのアルマイト処理がされており、電気的に導通がありません。したがって、そのアルミ棒を使う場合は、接触面はアルマイト処理を研磨しておく必要があります。

表1および表2に示している長さと距離の寸法は、エレメントの中心からの寸法です。これを無視するとアンテナの共振点はすぐに1MHzぐらいずれてしまいます。25mmのPVC取り付けパイプと保持クリップを使用すると、分解・組み立ても可能な軽量構造のアンテナとすることができます。


図4 リフレクタ部の接続と取り付け

リフレクタの長さは1mを超えていますが、中心部にクランプを使うことで長いエレメントを接続することができます。図4にこの方法を示します。クランプは、リフレクタの給電ポイントの固定にも適しています。このリフレクタの給電ポイントの加工では、ラジエータの先端を直角に内側に曲げる必要があります。また、エレメントと同軸ケーブルとの接続では、コネクタなしでエレメントと直接接続し、図5に示すようにパイプから出た同軸ケーブルをブームに数回巻き、チョークコイルとします。


図5 アンテナの給電部にクランプが取り付けられている様子 写真撮影: DK7ZB

アンテナエレメントである長方形のフレームに適度な剛性を持たせるため、2つのエレメントの両端にプラスチックチューブを挿入してお互いのエレメントを接続しています。また、アンテナを屋外に恒久的に設置するような場合は、給電部を防水ボックスに収めるか、防水接着剤で固める等の雨に対する防滴が必要です。

まとめ

調整するところといえば430MHz帯用のオープンスリーブエレメントの距離だけです。共振周波数が144MHz帯で少し低くなる場合は、エレメント間のギャップは広くなりますが、Moxonリフレクタを少し離して配置することで、100kHz程度上方にシフトできます。


表1(上) 図1、図2における個々のワイヤの長さ 表2(下) 各エレメントの位置

144MHz帯におけるアンテナゲインは、HB9CVのゲインをわずかに下回っていますが3.9dBdあります。144.3MHzにおけるSWRは1.2、帯域全体でもSWRは1.4かそれ以下となっており、図6に示すビームパターンでは、水平3dBの開口角は78°を示しているのが分かります。


図9に示すように、430MHz帯では、SWRは特に良好で、帯域の中央で増加するようなことはありませんが、ビームパターン(図8)は少し特異です。これは指向性を持たせるためのMoxonフレームの3/2λの共振が原因しています。それでも、ゲインは5.3dBdあります。


144MHz帯におけるMoxonアンテナの高いFB比は驚くべきものです。アンテナを180°回転させると、S9で受信できているビーコン信号がノイズの中でほとんど消えてしまうほどです。示されているデータを見る限り、144MHz帯と430MHz帯の両方のSSBとCWの割り当て周波数帯での運用が可能です。

FM運用の垂直偏波のために垂直方向の取り付けも可能です。この場合、141°と114°の開口角は比較的大きく、帯域幅は両方の周波数範囲で問題ありません。また、EZNECを使用して、アンテナをスタックにしたときの性能を確認しました。144MHz帯の場合、2つのアンテナ間の距離は1.6m必要です。これは430MHz帯には広すぎますが、分析ではそれでも3dBのゲインが取れます。この目的で特性インピーダンスが75Ωの2×3/4λの同軸ケーブルを使用すると、430MHz帯でも9/4λの長さで正しく変換され、スタックでも問題のないデュアルバンド動作を実現することができます。

<参考資料>
[1] Maguire, D., AC6LA: Antenna modelling Software and other utility programs. https://ac6la.com Æ Moxgen – Moxon Rectangle Generator

[2] Steyer, M., DK7ZB: Der Zweielement-Moxon-Beam. FUNKAMATEUR 58 (2009) H. 3, S. 284–288.

© www.funkamateur.de 2021
この記事は、著者(Martin Steyer – DK7ZB)とFUNK AMATEURの発行元であるBox 73 Amateurfunkservice GmbHの許可を得て、月刊FB NEWS編集部で抄訳しました。

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