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海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その105 「あの人は今」のコラムの記事を公募中。1997年(1)
「あの人は今(第30回)」JK2VOC福田佳広氏

JA3AER 荒川泰蔵

「あの人は今」のコラムの記事を公募中

「あの人は今」のコラムは、過去に掲載された人の、その後の活動や現在の様子を紹介するもので、その記事を公募しています。自薦他薦を問いませんので、筆者JA3AER (ja3aerアットマークjarl.com)までお知らせ下さい。今回は1997年の第1回目でアジアです。そして今月の「あの人は今 (第30回)」は、JK2VOC福田佳広氏の紹介です。

1997年 (韓国 HL5/JA6HW)

JA6HW角居洋司氏は、韓国で免許を得て運用された経験を「スモール・ループ・システムを使い、HL5/JA6HWを開局するの記」として詳しくレポートしてくれましたので紹介させて頂きます(写真1~3)。「1996年のことです。HLの会社で技術顧問になり3年経ち、毎月1週間滞在していますから、様子も判ってきました。旧知のHL5UOD OMからの情報によると、近くのMasan(馬山)にDS5/JH1CUD飯塚氏が滞在し、コールを持っているので「手続き」を聞いたらどうか? とのサゼッションでした。飯塚氏のFAXでは、個人局の開設には下記が必要。1. 1年以上の長期VISA、いわゆる「外国人居住者証明書」。2. 韓国での在職証明。その他、詳細は「韓国無線局管理事業団」の地方事業所に問い合わせたら良かろう、「オペレーター・ライセンス」はJAのもので良いとのInfoでした。私は韓国語が堪能でありませんので、会社の部長であるDS1DPS李氏に、Seoulの本庁から確実な「手続き」に関するInfoを収集するようにお願いしたのです。結局、個人局の開局に必要な書類と、手続きの流れは大変複雑で、最難関は「外国人居住者証明書」の取得でした。これは一種の就労ビザであり、個人では取ることが困難と言えましょう。相互運用協定による「ゲスト・オペレーター」ならばHLの局設備を使いますから、比較的簡単に免許を受けることが出来るようです。1997年1月15日に申請書を出してから、7月10日の「竣工検査」に合格するまで半年掛かったわけです。


写真1. (左)HL5/JA6HW角居洋司氏のQSLカードと、(右)1.8~10MHz用Small Loopアンテナ。

1. 開局同意書: 外国人が無線局を開局するには、家主の同意書が必要です。2. 無線機: HLでは未だ北朝鮮との間で戦時体制下にあり、無線通信機の持ち込みが大変厳しく制限されております。先ず「無線局許可申請書」中のテクニカル・データ(工事設計書・事項書)には、リグのシリアル・ナンバーを明記せねばなりません。申請後、数週間で逓信庁から「新規・仮許可事項書」が届きます。持ち込み時これを提示して正当性を証明するのです。3. 運用可能な周波数帯: 使用可能周波数帯は WARCバンドを含め11バンド・1.8 - 145MHzのオールバンドを使いたいと欲張った申請をしたのです。1.8 - 50MHz, 50W・144MHz, 10WのCW, SSB, FM モードであります。韓国では、1, 2級の操作範囲は、周波数帯に関しては、Top Band が 1.800 - 1.825MHz、3.5MHz帯は 3.500 - 3.540MHzまで、それ以外はおおむねJAと同様です。出力は、パワー・アップ以前のJAのライセンスと同じですから、私の場合、500WまでOKです。3, 4級は、周波数帯は 21MHz以上及び8MHz以下。出力は夫々25W, 10W。モードは3級がオールモード、4級がフォーンのみに制限されています。4. プリフィックス: 個人局のプリフィックスは「DS」と「HL」がありますが、HLが満杯になったので、国内の新設局には資格に関係なくDSが与えられています。私の場合はJAのライセンスが2レターのせいか、プリフィックスはHLで「HL5/JA6HW」と許可されました。従って、私のコールサインは、自前の固定局として外国人に与えられた正規のものです。JAからのQSLの約30%が、ご丁寧にも「JA6HW・韓国ポータブル」とか「JA6HW/HL5」と書いて来るのには些か閉口します。勿論このコールサインでは、紙切れ同然の無効QSLです。韓国の逓信庁に言わせれば、外国人が韓国にやって来て、勝手に「ポータブル運用が出来る訳がない」のです。さらに、Top band QSOでは、「cfmed our QSO on 1.824/1.908MHz」とストリップで書かずに、単に「cfmed our QSO on 1.9MHz」とだけ記入しているのが、約50%あります。これも無効なQSLですね。Over seasへのQSLにも、多分この様に書かれていると思うと、同じJA局として恥ずかしい気がします。勿論、韓国の逓信庁に言わせれば、こちらで1.9MHzに出るのはoff bandですからね! JARLの初心者講習は、一体どうなっているのでしょうか?(OM局と称する局も、いい加減です!)


写真2. (左)HL5/JA6HW角居洋司氏の無線設備と、
(右)そのアンテナ。144MHz用デルタ・ループと、10~18MHz用スモール・ループ。

5. 保安教育必修: 竣工検査に先立ち、最寄りの無線局管理事業団に出向き、約1時間掛けて「保安教育」を受け「保安教育終了証」を貰わねばなりません。この教育内容は防諜上の注意や、非常時における通信ネットワークへの協力心得等であり、いわば危機管理体制への参加が求められるわけです。仮許可書に、やや遅れて韓国無線局管理事業団から「無線局竣工申告書提出通報」及び「無線局検査手数料納入通知書」が届きますので、最寄りの郵便局に振込みます。仮許可の期限以内に「無線局検査手数料納入領収書」を添えて「竣工申告書」を届けねばなりません。6. 竣工検査: かってのJAでは、初級局でも技官と事務官2人による「落成検査」がありました。韓国では自前の無線局であれば、1Wのポータブル局でも「竣工検査」を受けねばなりません。ゲスト・オペレーターの場合は、既設のHL局の監督下で設備を使うため「竣工検査」は免除となります。7. アンテナ・システム: CQ誌1994年10月号、1995年2月号に基本構造と基本特性を発表したスモール・ループをアレンジした磁界型アンテナ・システムで、11バンドの「竣工検査」に合格しました。「スモール・ループ」を選んだ理由は、定宿としているホテル7階に出窓がありますが、この内側に収まる構造が「目立たない」、「設置が容易」、「コンパクトである」、「オールバンド化が容易」と言った条件を満たしていたからです。尤も(もっとも)、性能がかなり犠牲になるのは承知の上の選択でしたが、あとは運用テクニックでカバーしよう! 何よりもOn The Air出来る状態を作ることが先決であるとの決断でした。別の見方をすれば、極限状態に置かれた「アパマン・ハム」の心境ですね! 8. 定期検査: 開局後1年に満たぬ1998年3月11日に「定期検査する」との通知が舞い込みました。初めての定期検査とあって、竣工検査とは一味違った緊張感を味わいました。


写真3. (左)1.8~10MHz用スモール・アンテナの同調をとる下部セクション。
(中) HPのスペアナ内蔵無線機テスター。(右)周波数メータ、パワーメータ等、検査用具一式。

9. 運用実績:18ヶ月間の実績は、CWを約80%使い、オールバンドで約45エンティティ、延べ850局であります。Top band では約120局、50MHzでは約150局のJAにサービスが出来ています。10. エピローグ: HL5の開局以前からOT達に頼まれ、大学やKARL各支部で「JA6HW アンテナ・シンポジュームを開催しています。ソウル近郊・光明市のクラブ、釜山支部、江原大学、馬山支部、南海技術専門大学の合計5ヶ所であり、プリフィックスがHM時代からのOMと、旧交を暖めることが出来るとは願ってもないビッグ・チャンスでありました。お陰さまで私の著書を、韓国で出版する話しが出ています。(1999年4月記)」

1997年 (香港 VR97SS)

JK2VOC福田佳広氏は、香港の英国から中国への返還期の特別コールサインで運用したことをレポートしてくれた(写真4~6)。「1997年1月に7L1FPU中田国芳氏と一緒にJapan International DX LFCW Contestに参加するため香港へ渡航しVR2SS河津基氏のシャックから運用を行いました。1996年から1998年まで香港返還特別コール(96年がVS96, VR96, 97年がVS97, VR97, 98年がVR98)が現地局に許可になりました。我々はVR97SSをコンテストで使用し運用場所はVR2SS河津氏の自宅マンションから行いましたが、強電界域で、ビデオカメラで録画すると縞模様が入り、アンテナからは放電している状況で、設営中にもアンテナから火花が飛び感電したり、屋外アンテナチューナーも設営中に放電で故障したりと大変でした。日本からバターナットと160m用コイルを持ち込みましたがその様な状況のため、設営には苦労しました。運用は、特に160mはまだ日本で1.8MHzが許可されていないので、香港から1.8MHzで送信し1.9MHzで受信するSPLIT運用で交信しました。コンテストはローバンド主体のため、昼間は現地局とアイボールしたり、VS6BG(現VR2BG)Brett Alex Graham氏のシャックを訪問しました。コンテストでは608QSO、あと21MHz, SSBにて100QSO程度行い、トータルで約700QSOを行いました。(2020年9月記)」


写真4. (左)VR2SS 河津基氏。(中央)VR2SS局のある高層アパートメント(VR2SS局はこの最上階にある)。(右)ローバンドの垂直アンテナHF2VXを屋上に設置するJK2VOC福田佳広氏。


写真5. (左)VR97SSのQSLカード。(右)VR97SSを運用中のJK2VOC福田佳広氏。


写真6. (左)香港のハムショップの前でVR2の皆さんと。前列左から2番目がJK2VOC福田佳広氏、その次が7L1FPU中田国芳氏。 (右)VS6BG Mr. Brett Alex Grahamのシャックを訪問。左から VS6BG, Alex、7L1FPU中田国芳氏、JK2VOC福田佳広氏。

1997年 (ベトナム 3W6UB, 3W6IG, 3W6FQK)

JA3UB三好二郎氏は、ホーチミン市のPTTの要請を受けて、何度も訪問して指導を行って来られたが、今回はXYLのJR3MVF三好京子さんの他、JA3AA島伊三治氏、JA3IG葭谷祐治氏、JO2FQK高木知恵子さん他、大阪国際交流センターのメンバーと共に訪問したと、アンケートを寄せてくれた(写真7)。「ベトナムのアマチュア局は私共が設備を寄贈して設置したハノイのDGPTと、ホーチミンのPTTトレーニングセンターにクラブ局があり、PTT職員やOB、資格を持った外国人ビジター等によって時々運用される他、ベトナム在住の外国人の有資格者で特別に免許されている個人局が数局ある。ベトナムへは度々出向いてハノイのDGPT高官や実務担当者とも交流し、また設備の整備やトレーニングのお手伝いをしてきた。昨年夏(1996年)に設備のメンテナンス等を依頼されたものの時間がなくそのままになっていたが、ビギナーにもアマチュア局の操作をするための資格を取得させる為の講習もやって欲しいとの要望もあり、1997年3月に、モロモロを兼ねて出かけることにした。そしてアマチュア無線のレクチャーをして、YL 2人を含む17人のオペレーターの資格証明書にサインをして交付するという大役も無事果たした。講義の主な項目は次の通りで、限られた時間のなかでこれをやるのに苦労した。1. アマチュア無線の概要(ハムラジオとは)と、国際電気通信条約。2. 世界のアマチュア無線の現況、モールスコードについて。3. 無線局の免許(無線設備に関する法令面、技術面)。4. オペレーター免許(運用に関する法令面、実技面)。5. 電波の伝搬、無線設備の保守。その他、まだまだ充分ではないので、今後も継続して実施することになっている。傍ら設備のチェックとビギナーのトレーニングを兼ねて3W6ARと、特別に許可された3W6AA, 3W6IG, 3W6UB, 3W6FQKを運用した。(1997年5月記)」


写真7. (左)3W6UB三好二郎氏と、(右)その免許状。

JA3IG葭谷祐治氏は、ベトナムで免許を得てサイゴン(ホーチミン)から運用したとアンケートを寄せてくれた(写真8)。「電気通信トレーニングスクールの中に無線局を設置。学校屋上に高いタワーが建っていてFBでした。3W6AA, 3W6UB, 3W6FQK, 3W6ARと同時に免許され、免許発行元はハノイで、運用時間や運用周波数が指定されました。3W6IGのコールを貰って喜んでいただけで、ここではあまり運用をしませんでした。尚この時はJK3IYB西彰氏も一緒に行きました。(1997年4月記)」


写真8. (左)前列3W6AA島伊三治氏を囲んで、後列左から3W6ARのAi局長、3W6IG葭谷祐治氏、3W6UB三好二郎氏、3W6FQK高木智恵子さん、JR3MVF三好京子さん、右側の女性2人はベトナム人受講生。(右)屋上のアンテナをメンテナンス(JO2FQK高木智恵子さん提供)。

JO2FQK高木智恵子さんは、 ベトナムで3W6FQKの免許を得て運用したと、アンケートを寄せてくれた(写真9~11)。「YL'93 Osakaをお世話下さった、大阪国際交流センターラジオクラブの3月例会が、ベトナムのホーチミンということと、PTTトレーニングセンターのクラブ局3W6ARのメンテナンスや、ビギナーのレクチャー、運用等が行われると聞き、また3W6ARのAi局長とはYL'96 BerlinでアイボールQSOしておりましたし、いつかは外国で免許を取得してオペレートしたいと思っていたので、これはチャンスとばかり、今回のリーダーJA3UB三好さんに依頼して、全ての手続きをしていただきました。


写真9. 3W6FQK高木智恵子さんのQSLカード。

お空のコンディションがそんなに良くなかったため、期待した猛パイルアップにはなりませんでしたが、おかげ様で何とか初体験の海外からのQSOを楽しむことができました。すばらしい経験をさせていただいたと思っております。(1997年4月記)」尚、高木さんはCQ誌1997年6月号で詳しくレポートしておられます。


写真10. (左) PTTトレーニングセンター前で3W6FQK高木智恵子さん。(中央)その屋上のアンテナタワー。(右) 3W6FQK高木智恵子さんの免許状。


写真11. (左) 3W6ARのAi局長から3W6FQKのコールサインプレーを受け取る高木智恵子さん。(中央)左から3W6FQK高木智恵子さん、JA3MVF三好京子さん、ベトナムの受講生2人。(右)3W6FQKを運用する高木智恵子さん。

「あの人は今 (第30回)」JK2VOC福田佳広氏

今月号の香港の項にある、VR97SSを運用されたJK2VOC福田佳広氏の、米国でのW4/JK2VOC及びAJ7/JK2VOCの運用については、(その99) 2021年6月号に紹介させて頂きました。その福田氏から、その後の活動も含めた近況をお知らせ頂きましたので紹介させて頂きます(写真11及び12)。「私の海外からの運用は1990年代が1995年のアメリカと1997年の香港のみでした。2000年代がメインとなり2001年頃からKH0, KH2, VK, T8, BY, BV, 9M6, DL, PY等から運用を行いました。特に2006年はWRTC(World Radiosport Team Championship)に日本代表選手として選抜され、故JA2BNN野瀬隆司氏とチームを組んでブラジルへ行き、PW5NをWRTCで運用しました。2014年に仕事の部署異動で地元に転勤したが、現在は仕事が忙しくまともに年休が取得出来なくなり2016年の年末に3泊4日の強行軍でパラオへT88FYを運用に行ったのを最後に海外へ行っておりません。またこのコロナ渦もあり、海外での運用は当分難しそうですね。


写真12. (左)WRTC2006運用時のPW5NのQSLカード。 左からJK2VOC福田氏、ホストのZZ5JOI、レフリーKC1F、JA2BNN野瀬氏。(右)T88FYのQSLカード。2016年末に3泊4日の強行軍で3回目のパラオでの運用。

最近は自宅からの運用が中心で、国内QSO、DXing、コンテストなどと色々と楽しんでいます。昨年2020年は無線雑誌社主催の1年間限定のJCC/JCGアワードレースに熱中し、全国の皆様のご協力により1年間で全市全郡全区と交信が出来ました。QSLカードが揃い次第JARLにWACA/WAGA/WAKUアワードを申請したいと考えています。また 2020年末に申請受付が終了となった、よみうり一万局アワードを締め切り直前にかけ込みで申請を行い、先日「よみうりアワード全日本一万局賞」の審査に第462号で合格し受賞待ちとなっています。今後はコンディションもそろそろ上昇してくると思いますので、DXや新しいデジタルモードなどをやってみたいと思っています。最近135kHzの送信機も入手したため(現在変更申請中)、未知の周波数帯にも挑戦したいと考えています。(2021年6月記)」


写真13. (左)シャックでのJK2VOC福田氏。IC-7851をメインにSSB/CW/RTTY/PSKを運用中。(右)JK2VOCのQSLカード。友人にイラストを描いてもらい、久しぶりにデザインをリニューアルしました。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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