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アマチュア無線の今と昔

第2回 浦島太郎になって迷っているカムバック組の皆様へ

JF1KKT 横田勝彦

連載第2回目になります。前回は「変わってビックリ(゚д゚)」というものを中心に紹介しましたが、今回は衰退したものや、逆に以前はなかったものを中心にお話ししていきたいと思います。

2m(144MHz)がガラガラ?

昔は2mといえば全国どこでも混雑しているイメージがあり、交信相手に困ることはなかったように思います。ところが現在では、私が住んでいる東京近郊であっても、2m FMはガラガラ。違法局すらいないような状態になってしまいました。

2mあたりの周波数は、移動体通信には適していると言われています。その2mがガラガラとは、なんとももったいない話です。とはいうものの、2m SSBは賑やかだと思っています。FMは閑古鳥が鳴いていますが、SSBは移動局も固定局もたくさんオンエアしています。

もちろん、地方によってはFMも賑やかなところもあるでしょう。その分、その地方では430MHzが空いていると聞いています。

あるOMさんがおっしゃっていましたが、「2m FMはクリスタル制御でもいいんじゃね?」とのこと。私は思わず同感してしまいました(苦笑)


クリスタル制御時代の2mトランシーバーIC-20 (アイコム株式会社HPより)

V/UHF帯の実運用局数激減?

上記で2mがガラガラという話をしましたが、他のV/UHF帯のバンドはどうなっているでしょうか?

30年前に50MHzで移動運用をすると、1回の運用で数百局とQSO出来ることも珍しくはなかったのですが、現在では数十局できれば御の字という状態。これでは気合いを入れて移動運用すると、疲弊してしまうだけになっています。

このような状態は2mや430MHzでも同様の傾向になっています。それだけアマチュア無線人口が減っているからです。減っているので上記でも書きました「ガラガラの2m」が出来上がる、というわけです。

なお、東京近郊では、430MHzが入門バンドの役割を果たしており、移動局にはパイルアップになっている光景があちこちで見受けられます。以前は入門バンドといえば50MHzだったのに・・・。これも時代の変化なんでしょうね。


50MHz帯での移動運用 アンテナは2エレデルタループ

1200MHz帯ハンディが生産終了

アマチュア業務は2次業務である1200MHz帯。40MHzもの帯域がもったいないほどガラガラです。

東京近郊でも、平日にはほとんど相手が見つかりません。休日は移動局やラグチューをする局がいらっしゃいますが、それも数局。もちろん素晴らしい設備をお持ちの局長さんは別なんでしょうけど、私のところの設備(オールモード機+マルチバンドGP)では、こんな感じです。

相手がいない理由は、市販トランシーバー、特にハンディ機の少なさにあるように思います。やはりハンディ機は1台あれば、固定、移動、モービルと使い回しが効きますので、アクティビティも上がるんじゃないかと思います。こればっかりはメーカーさんに期待するしかないですね(笑)

今、1200MHz帯が楽しめる現行機種は、固定機しかないので、モービル機、ハンディ機の新製品に期待したいです。

1200MHz帯がガラガラになった原因として、1200MHz帯レピーターの規模の縮小(新規開設停止とパワーダウン)もあるようです。


最後の1200MHz帯に対応するハンディ機となったアルインコ株式会社のDJ-G7

ニューカマーの減少

JARLの会員数が少しずつですが増えていると聞いています。これがニューカマーの誕生で増えているなら喜ばしいことですが、実際には私のようなカムバック組が入会しているからではないかと思えてきます。

しかも会員の年齢層の中心は70歳代だとか。私なんて若造なんじゃないかと思えてしまいます(苦笑)

今、各方面でニューカマーの育成に力を入れていると聞いています。私も含めた現役ハムの皆さんは、少しでも後進の育成につながることをしたいものです。

ここまでは衰退しているものを紹介しました。今度は新たに登場してきたものを紹介します。これらを知らないから浦島太郎なんですけどね(苦笑)

FT8等のデジタル通信の登場

微弱な信号でも通信ができるデジタルモード。その恩恵で巨大アンテナ設備が不可欠だったEME通信が、アパマンハムのベランダアンテナでも可能になるほど身近になりました。そのため、DXペディションでもEMEの運用が行われるようになり、2mでは不可能と思われていたDXCCも実現できるようになりました。

次々に新しいデジタルモードが出てきましたが、今はFT8が大人気です。1.8MHzから1200MHzまで、各バンドでFT8の相手局が見つかります。

デジタル通信といえば忘れてならないのがD-STARです。D-STARの詳しい話は本誌にも連載されていますので、一度読まれてみると良いと思います。


D-STAR対応トランシーバーID-52 (アイコム株式会社HPより)

インターネットと無線の接続なので、大昔のフォーンパッチのようなイメージがありますが、ハンディ機1台で、遠く離れた地域のレピーターを使用することが出来る点は素晴らしいアイデアだと思います。

D-STAR以外にも、新しいデジタル通信が盛んに行われており、中にはアンテナを持たないで交信することが可能になるなど、新しい楽しみ方になりつつあると思います。

設備共有と遠隔操作

設備共有とは、ある局の無線設備を、他の局と共有することです。例えば、山の上にFBなシャックを作り、そこをみんなで共同利用する、というようなことが可能になります。

また、山の上の設備を、インターネット回線などを利用して、リモートで操作することも可能になりました。東京に出て来た人が、自宅ではアンテナが上げられないので、実家に残してきた設備をリモートで使う、なんてことが可能になっています。住宅事情を考えると、これはとても便利な制度だと思います。


リモートコントロールソフトの例 RS-BA1 (アイコム株式会社HPより)


リモート接続イメージ (月刊FB NEWS HPより)

LF/MF帯の新バンドと1.8~7MHzのバンド幅拡張

私がカムバックして一番嬉しかったのは7MHzバンド幅の拡張です。以前のバンド幅は100kHzでしたが、現在では7.0~7.2MHzの200kHzになりました。不幸にもアマチュア無線人口が減少したこともあって、7MHzで混信の中でQSOすることが少なくなったように思います。

混信が少なくなったので、QRPでも楽しめるようになりました。またモービル運用も同様に楽しめるようになりました。

都心部はともかく、人口が少ない地域ではV/UHF帯で相手を見つけることが難しくなりつつありますので、思い切って7MHz帯でモービル運用するのも面白いと思います。このあたりは私のもうひとつの連載記事(アパマンハムのムセンと車)のほうで紹介していければと思います。

3.5MHz帯も細切れですがバンドが広がりました。アイコムのAH-730のような屋外型ATUならば運用に問題はないと思いますが、ダイポール系はつらいかも知れませんね。

1.8MHz帯(以下、1.9MHz帯も含みます)も、従来からあった1.9MHz帯の5kHz幅にプラスして、1.8~1.875MHzが認可され、なんとSSBにも出られるようになりました。もちろんFT8等のデジタルモードもOKですし、4アマの方でも運用できるようになりました。10Wでもデジタルモードならば、それなりに遊べると思います。

アンテナはネックですが、第一電波工業(ダイヤモンドアンテナ)のRHM12やコメットアンテナのHFJ-350Mには、それぞれ1.8MHz帯/3.5MHz帯のオプションがあり、モービルホイップのような手軽さで運用ができるようになりました。アパマンハムでもデジタルモードとセットでトライしてみる価値はあると思います。


コンパクトアンテナの例 RHM12 (第一電波工業株式会社カタログより)

その他、135kHz帯と475kHz帯が開放されたことも特記すべきところだと思います(受信はともかく送信機の市販品は現在ないようですので・・・)。

記念局の激増

記念局といえば、昔は8Jで始まるJARLの特別局しかありませんでした。しかし、現在は記念局の門戸が広がったため、8Jコールが聞こえない日はない、といっても過言でない状態です。記念局を集めるともらえるアワードもありますし、これを追うのもひとつの楽しみではないかと思います。

おまけ

12月18日に開催された『アイコムフェア in ならやま2号館』に行って参りました。

アパマンハムの私には夢でしかないIC-PW2、自称コンテスターの私としてはぜひ欲しいIC-905の展示を見て参りました。貯金しなきゃ(苦笑)

現地では多くの方とお目にかかれましたが、もうちょっと沢山お話をすればよかったなと思っています。

今回は車で移動しましたが、道中、あちこちで移動運用を行い、想像以上の多くの方とQSOできました。QSOしていただいた方、会場でお話させていただいた方、どうもありがとうございました。移動運用については、後日、ネタにしたいと思います。

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