特別寄稿2
2023年8月1日掲載
過去に多くのアマチュア無線局がカンボジアからQRVしていますが、カンボジアにはアマチュア無線の試験制度がなく、事実上一部の特別な例を除いてすべてが外国人によるオペレートでした。
カンボジアの一般人が免許を得て実際にアマチュア無線局を運用しているのはNational Polytechnic Institute of Cambodia(略称NPIC 学生5,000人超、教職員約300名、短期コースから修士課程まで有する大学校、https://npic.edu.kh/)で教鞭をとるXU7AKMソク・オエウン氏ただ一人という状況です。
(左)JA3ULS(XU7AKJ)、(右)XU7AKM
さらに、無線局免許を受けるには使用するリグがカンボジア政府機関の型式認定(Type Approval)を取得したものに限られるなどの規則の改正があり、アマチュア無線は混乱の中にあり、ごく最近まで免許が発給されていない状況が続いていました。
2005年創立のNPICには早くから無線室が設けられていましたが外部講師による運用に限られていました。やがてKH0AS: Mike Adams(XU7AJA)、N0MMA: Guy Westや現地FM放送局の技術スタッフがNPICを訪れ、さらに2017年からNPIC電子工学科にJA3ULS: 木村千良(XU7AKJ)が赴任したことによりVEによるFCCの試験が実施されることになり、合格者はアメリカの免許をもとにカンボジアの免許を得ました。やがて教員・学生をメンバーとしてクラブ局設立の機運が高まり2019年にクラブ局XU7AMOが誕生しました。
XU7AMOのQSLカード
2023年6月には新校舎の完成とともにアンテナタワーは屋上に移設され、学生の手によってアンテナのインストールと調整も終わりました。
(左)新校舎へアンテナ設置に行く学生、(左)新校舎屋上のタワーとアンテナ
クラブのリグも各方面のご協力もあり充実しつつあり、衛星通信にも興味をもって取り組み始めました。さらに、カンボジアアマチュア無線グループ(CARG)はNPICを拠点として活動をし、公式Webページhttps://www.camrg.com/を公開していますので是非チェックしてみてください。
(左)衛星通信の講義、(右)学生が製作したV/UHF帯アンテナ
XU7AMO運用の様子
今後は電気通信教育活動の一環としてFCCの試験をVEの資格を持つNPICの教員とカンボジア在住のハムの協力によって定期的に実施し、カンボジア人アマチュア無線家の育成を図るとともに、アマチュア無線がカンボジアにおいても広く認知されるように活動していこうと考えています。
日本をはじめ世界中のハムの皆さんのご協力とご支援をお願いいたします。
それでは「ハムフェア2023」でお会いしましょう。
2023年7月
XU7AKM Sok Oeun unsokoeun(アットマーク)npic.edu.kh
XU7AKJ 木村千良 ja3uls(アットマーク)jarl.com
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