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おきらくゴク楽自己くんれん

その28 2023年 6m AND DOWNコンテスト参戦記

JF3LCH 永井博雄

2023年8月1日掲載

皆さん、こんにちは。私はコンテストで移動運用するのが好きで、各種コンテストに時間の都合が付けば極力参加しています。私の事を「コンテスター」または「コンテスト移動マニア」と思われている方も多いように感じていますが、自分ではそう呼べるほど力を入れているつもりはなく、今のある設備でコンテストに参加したらどの程度スコアがでるか? といった程度の取り組みです。

その証拠に軽トラモバイルシャックという移動運用先で快適に寝る装備を作ってしまっています。コンテスト中は寝ない方も多いですが、睡眠をとらないと何もできなくなる体質? なので私にはちょっと無理です。ただ単に根性が足りないだけかもしれません(笑)


6m AND DOWNコンテスト移動運用状況

1. 目標の設定

そんなゆるーいポリシーの私ですが、軽トラモバイルシャックの利点を生かしてのコンテストの目標を考えます。コンテストの楽しさはなんと言っても沢山の交信がきることです。とはいうものの目標を持って挑戦するとさらに楽しみが増します。これまでは各部門でのエリア入賞で満足していましたがずっと前からあることが気になっていました。

それは430MHzなどの高い周波数でのエリア間の全国入賞格差です。圧倒的に局数が多い1エリアで参加した局は交信数が多く入賞しやすいこと。過去の記録などを見ると3エリアからでは太刀打ちできそうにないなと感じていました。そのためにエリア入賞というのがあるのだろと言われればそうなのですがやはり全国入賞したいものです。

同じ18時間のコンテストである6m AND DOWNコンテストとフィールドデーコンテストの電信電話430MHzバンドでの過去の結果を見ると1エリアの局は500を超え、中には1000を超える交信数を稼いでいる局がおられます。3エリアからの参加局は良くて250から300くらいの交信数が多いようです。

逆にマルチプライヤーは地理的に3エリアの方がかなり有利です。私の場合大体20前後のマルチを獲得できていますが1エリア参加局は一部の局を除いて10から12程度の場合が多いです。しかしスコアは圧倒的交信数の差が効いて1エリアの局の方が高くなりがちです。といったことがあり3エリアからの全国入賞はなかなかの高い壁となっていました。それでも2015年のフィールドデーコンテストと2019年の6m AND DOWNコンテストでシングルオペ電信電話430MHzバンドの滑り込みの全国3位入賞をしたことがあります。

シングルオペ電信電話430MHzの常勝局でいつも飛びぬけた局数とマルチを獲得されている局がおられます。このスコアにはかないませんが何とかもうワンステップ上を目指そうという訳であります。

2. 準備と移動


途中何度かの休憩で軽トラックをいたわりながら移動

機材を積んで2時間程かかる標高1400mの目的地に向かって出発します。モノバンドでの参加はアンテナが少なくて準備が楽ですね。標高のある目的地を目指し長い坂を上るのは、私のあちこち不具合のある軽トラックには負担が大きいので、時々休めながらゆっくり進んでいきました。目的地に同業者が来ないかと焦る気持ちを抑えながらでしたが、幸いにも現地にはまだ誰も来ていませんでした。

無線機はIC-9700。アンテナは15エレ八木シングルと開局当時の昔に、JA3コールの会社の上司が主催したアンテナ製作会で作った8段コーリニアアンテナです。

塩ビパイプに納めたこのアンテナは丁寧に作り方を教えていただいた上司のおかげで、製作して30年になろうとしていますが未だに現役でけっこう使える安心の高性能アンテナです。


自作8段コーリニアアンテナ

あおり側に立てた5mのポールに取り付けたコーリニアアンテナは大変良い性能を発揮してくれますが、風による揺れでQSBが発生しやすいのが玉に傷です。


大型マグネット基台でローテーターを屋根に設置

個人的にコンテストで電動で回す八木アンテナを使うのは初めてとなります。屋根の鋼板に大型マグネット基台を改造してローテーターを取り付けたシステムを使います。

磁石が3つあるものの磁力だけではローテーターの回転力に耐えられなくなるので、大きなアンテナを回すことは出来ず今回の15エレが限界のように思います。垂直偏波に対応する為片支持ブームを使うとアンテナ回転半径・慣性が大きくなるので、塩ビパイプのマストに直接15エレを取付け干渉を防いでいます。


屋根上ローテーターと15エレ八木

磁石の吸着力の問題であまり高くすると、風でひっくり返ってしますので地上高3mくらいが限界です。6m近く上げることのできる8段コーリニアと切り替えて受信を比べますが、八木にしてもSが上がることはなく混信を避ける用途に考えておいた方がいかもしれません。

1エリアの局も両方のアンテナで八木の時は回してよく聞こえる方向を探りますが、特によく聞こえるポイントもなくて期待していた性能は発揮できませんでした。

3. いよいよコンテストがスタート

スタート1時間以上前からFMのメイン周辺で空き周波数を使ってCQを出します。けっこう沢山の局から呼んでもらえ21時からのコンテストでも呼んで欲しいと参加局の掘り起こしをしながら交信が続きます。開始5分前に呼んでいただいた局と21時ちょうどに交信終えてコンテスト運用に突入しようと考えていたのですが、話が長くなり気が付いたら21時を超えていました(汗)。

これはいけないと慌てて「CQコンテスト」と始めますと早速のパイルアップ。沢山の局が「いつになったらコンテストを始めるのか?」とイライラしながら待っていただいていたみたいです(汗)。お待たせしてしまった方々、申し訳ありませんでした。

30分間くらいパイルが続き最近のこのバンドではなかったことです。出遅れはしましたがスタートダッシュを決めることができました。その後ペースは落ちましたが安定して局数をかさねることができるいい感じの状態が長く続きました。


22時の時点でのバンドスコープ

局数を重ねるにつれ近隣のマルチを獲得。今回はいつも近くなのになかなかできない和歌山県(26)や滋賀県(23)を難なくゲットできました。

スタート前運用で交信していただいた方々も呼んでいただけました。ありがとうございました。やはりこのバンドはコンテスト前の運用は重要だとつくづく感じました。

時間が経つにつれバンド内が静かになり、遠くの局が聞こえてくるようになります。
21:43 福井県(29)をゲット
23:25 東京都(10)をゲット
00:38 群馬県(16)をゲット
01:12 福島県(07)をゲット(7エリアゲットで大興奮)
01:19 神奈川県(11)をゲット。ダクトがいい感じで立て続けに神奈川の局と交信
01:29 栃木県(15)をゲット

1時台はダクトが出ていたようです。多くの1エリア局と交信することができました。

FMモードS7でメーター振って入っていた1エリアのCQを呼んだらちょっとビックリしたみたいで面白かったです(笑)。

更なるマルチを探しますが新たな局を見つけることができず2時を回ったところで横になると眠ってしまいました。ゴロンとすれば完全に横になれる。まさに連載タイトル通りのゴク楽気分。大変気持ちよく眠れました。

この時点で160QSO、マルチは21でした。少し局数が少ないように感じますが天候も回復の予報でしたので、夜が明けてから移動局が沢山出てきてくれることを期待します。

4. 2日目の伸びに期待

目が覚めると5時を過ぎていました。早速バンド内をワッチしましたが特に遠い所は聞こえませんし、出ている局は交信を終えた局ばかりです。早く起きていたとしても得点には影響はなかったのだと自分を納得させておきました(笑)

その後もうマルチは増えないかもしれないなと考えていたところ
06:59 福井県(29)をゲット
さらに
10:23 石川県(30)をゲット

これでマルチは合計23となり、同コンテスト430MHz電信電話での自己最高のマルチを獲得できました。

この時間帯は多くの移動局、特に山の上などからハンディー機で呼んでくれる方も多く、上手に受信できなくてなかなかスムーズにいかなくてご迷惑をお掛けしましたが順調に局数を増やすことができました。

この日の天候は良く日が差してくる時間になるとシャック内がむっとしてきましたが、取り付けた換気扇を回すと外気温は低いままなので室内の気温を快適に保つことができました。

5. コンテストを終えて

最終の記録はデュープ込みで331QSO、マルチは23でともにこのバンドでの自己新記録でした。最終のスコアはまだわかりませんが昨年の全国2位相当のスコアです。これ以上のスコアの局がいるかいないかで順位は変わりますが自分としてはいい結果が残せそうに思っています。結果発表まで期待をしています。こういう結果が残せたのも軽トラモバイルシャックが快適でいろいろな負担が低減できたことも重要な要因ではないかと考えています。


今回取りそこなったマルチには香川県や愛媛県や千葉県などで、いつもなら交信していも不思議ではない所がいくつかありました。同じようなコンディションであれば、さらにマルチの積み上げも可能だと思いますし、局数も工夫次第でもう少し積み上げることもできるのではないかと思っています。

その為には今回あまり役に立たなかった八木アンテナをもっと高くあげて無指向性のコーリニアとのゲインの違いがわかるくらいになれば、もっと局数も増えるのではと考えています。

無線機の電源は100Ahのリン酸リチウムイオン電池を使いました。開始時は90%の残容量でしたが、終了時には残り30%を切っていました。FMモードの運用が多い430MHzは電力消耗が激しいですね。FMモードでパワーを使うことの多いバンドですから、他のバンドであれば100Ahぐらいの容量であれば18時間のコンテストでは十分であるということがわかりました。

全体的にある程度満足のいく結果が得られました。少し気が早いのですが結果の発表が待ち遠しいです。(笑)

これからも軽トラモバイルシャックで快進撃? を続けていきたいと思っています。それではまた。

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