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ものづくりやろう!

第三十二回 SDRをつくってみました

JH3RGD 葭谷安正

2024年1月5日掲載

はじめに

昨年は私のお粗末なラジオ関係の自作記事にお付き合いいただきありがとうございました。本年もよろしくお願いいたします。

昨年中は懲りもせず安価なSDR受信機を買い求め、そのSDRにワイヤーアンテナを繋いで7メガ、FM放送、航空無線のワッチに使っていました。そのわずか数メートル横にある別のアンテナから7メガで100ワットの電波を出してしまったためにSDR受信機を1台壊してしまいました。後日、同じ型式のSDR受信機を再度購入しましたがまた同じミスをして2台目も壊してしまいました(前のが壊れてからひと月もたっていないのに!)。


写真1 壊れたSDR(HF帯以外のバンドは受信できます)

前回掲載しました減衰器は、アンテナとSDR受信機の間に入れて、40dBのスイッチ一つをポンと上に倒すと信号を40dBほど減衰させてこのSDR受信機が壊れないように守るという目的でも作りました。

2台目のSDRも壊してしまったので新しいのを買うかと一時は思ったのですが、また愚かな気持ちが沸いてきました。「SDR受信機は部品を集めて作ったことないな。SDRの勉強をかねて製作にチャレンジしてみようかな」と。

SDR概要

SDRは、従来の無線機のハードウェアを、デジタル技術を使って、ミキサや変調器、復調器、その他の関連するアナログ回路などをソフトウェアに置き換えるものです。

SDRでは、A/Dコンバータ(ADC)を使って無線信号を直接デジタル化することで、ミキサや変・復調器といった機能をすべてソフトウェアで実装できるため、AMやFM、CW、SSBとかの変調方式に関係なく、いろんな無線変復調モードに同じハードウェアを使うことができます。ですから、同じハードウェアのままでもソフトウェアで別の機能を構築できれば異なる信号送受信技術に対応できるという柔軟性が高い無線機器になっています。

私も解ったように記載していますが、ソフトウェア的に実現する、いわゆるソフトウェアによる信号処理は人の作ったコードをコピーして使っている人間ですので、SDRはちょっととっつきにくいですね。ただ、SDRの構成をハードウェアで書かれたり、実現しているもの(「それはSDRではない」と、どなたかにお叱りをうけそうですが・・・)はおおよそ理解できるようになりました。

その構成というのが、図2のようなものです。従来の無線機器とどう違うのかということで比較のために図3のような今までのアナログ受信機とブロックで比較してみました。図3のような回路はアマチュア無線の国家試験などでもおなじみのものですね。でもこの図を見てもわかりませんね。


図2 SDR受信機の構成例


図3 アナログ受信機の構成例

SDRを作ってみました

SDR(Software Defined Radio)という名前ですから、FPGA主体の信号処理モジュールにプログラミング言語を使ってソフトウェアを猛烈に書き、コンピュータで復調や信号処理させるというのがバリバリのエンジニアの道でしょうか。一方、昭和生まれのラジオ少年だった私にとってはFPGAやコードというのはやはり二の足を踏んでしまいます。

別のアプローチとして、普通のラジオのように受信信号をアナログ回路やデジタル回路といったハードウェアで作成する方法です。この場合、アナログ回路で高周波増幅や受信帯域用のバンドパスフィルタ等をつくり、デジタルICで直交ミキサを構成し、そのあとオペアンプで低域フィルタを作ってI信号、Q信号を取り出します(あー面倒ですね。ゲルマニウムラジオのシンプルさは素晴らしいです)。そのあとの信号処理は、すでにSDRドングルなどの信号処理や表示に実績のあるフリーのアプリ(HDSDRや・・・ 等)で処理というアプローチが入りやすいですね。この方式を採用することにしました。

どんな回路にするのか、いろいろネットを探し回って回路を見て、よし作るぞと、決めました。それで作ることにしたSDRの構成が図4です。


図4 作成したSDRの構成

実際に組み立てたものが写真5です。細部はわかりにくいですが、能動部品としてはトランジスタ 2本とIC 4個で動きました。(写真5の回路図や使用部品は次号以降で報告したいと思っています。ネットを検索して、手持ち部品を使って回路を作り直して作成した回路がうまく動いておりませんのでこれから修正を入れる予定です。うまく動いたらですので・・・)。


写真5 作成したSDR

写真5の中のどの部品が図4のブロック図とどのように対応するのか記載してみます(写真6)。


写真6 ブロック図と部品の対比図

電源を入れてみました

「これ、うまく動いたの? 鳴るの?」と質問がありそうです。
「(私)ハイ、ミス配線を直し続けたら鳴りました。」

ちゃんとAM放送が鳴りました。実は、7MHzのアマチュアバンド受信が目標でしたがなぜかAMラジオになってしまいました(7MHzを受けるためにはその4倍の周波数28MHzの信号がブレッドボードを駆け抜けて行くので、28MHz信号が減衰して回路が正常に働きませんでした。ブレッドボードで作りましたから予期しなければならなかったことでした)。

「どんな音だったの」、「(私)ハイ、こちらです」
初めは、「こんな音(1)」でした。何も聞こえない。
ブレードボード上を手でトントンすると、「こんな音(2)」になりました。いわゆる接触が悪いのでしょう。
その次は、ブレッドボード上をラジオペンチでコンコンしましたところ、さらに「こんな音(3)」になりました。

「こんな音(2)」と「こんな音(3)」はAM放送なのですが、HDSDRの受信モードをAMにしても言葉にはなりませんでした。LSBかUSBモードで受信したものです。

SDRのI信号、Q信号と呼ぶ信号をオーディオケーブルを通じてパソコンにつなぎ、フリーのSDRソフト「HDSDR」で表示させたのが写真7です。AM放送のきれいな波形が出ているときと、写真7のような状態の時がありました。


写真7 HDSDR上に信号表示

「こんな音」たちの正体は、周波数が1179kHz、MBSラジオでした。この周波数を狙って同調させたのではないのですが、聞えてきた信号を他のラジオと鳴き合わせて判明しました。

「こんな音(3)」の音はエコーのように2つの放送が聞えていますが、これは、作成したSDR受信機の出力をPCに繋いで出力した音声と、IC-705にも同じ周波数を受信して鳴らしているため、エコーのように聞えています。すごいですね。「やった」と思いました。でも周波数を変えるためにtinySAの発振周波数を変えてもこの音が鳴り続けました。

「これは失敗ということじゃないの?」、「(私)ハイ」と言う訳で、受信周波数を変えようにも他のチャンネルに移動できない。これはきっとどこからかの信号を拾って再生しているという訳のわからない回路になっています。最初からうまく行く訳はありませんが、ブレッドボードではなくちゃんとした基板上に構築して行くことにしました。

今回は(今回も)うまく動いておりません。次回にはちゃんと聞こえるSDRに仕上げて、回路図等詳細情報をお知らせできればと思います。

9R-59Dはどうなった

「良かった探し」をすると・・・
MF帯とHF帯のAM放送は調整によりご機嫌よろしく入感しています。調整だけでなく抵抗・コンデンサも経年劣化で抵抗値やコンデンサ容量がかなりずれているものがありましたので少しずつ交換した結果です。HF帯7.2MHz帯のAM放送は非常にクリアに入感します。

しかし、HF帯のAM放送を聞いている状態で「SSB-CW」に切り替えると小さな音で微かに放送音が聞こえるだけです。SSB-CWの復調回路のプロダクト検波が動かなくなってしまってしまいました。少し前まで音量は小さいとは言え動いていたのですが。

という訳で、「ますます泥沼にハマっています」と言うのが9R-59Dの現状です。

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