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日本全国・移動運用記

第100回 奈良県北西部移動

JO2ASQ 清水祐樹

2024年1月5日掲載

奈良県は多くの市町村で構成されており、特に南部の吉野郡は一つの町村が非常に広く、交通アクセスも限られています。そのため、移動運用のニーズを満たす機会がなかなかありませんでした。今回は、1泊2日のスケジュールで、需要が高い市町村を厳選して移動しました。

11月18日(1日目) 山間部の黒滝村に行ってみると、予想外の展開に・・・

サテライト通信について、この連載で何度も取り上げている通り、2023年には衛星の運用終了が相次ぎ、使用可能な衛星が少なくなったため、運用機会が少なくなっています。

吉野郡黒滝村は山間部に位置しており、サテライト通信の移動運用が少ないという情報を得ました。自分自身も未運用だったので、この機会に運用したいと考え、山間部でも運用可能な、高い仰角のパスに合わせて予定を組みました。他の運用市町村は、黒滝村の行き帰りに運用しやすい所を選定しました(図1)。


図1 移動したルート

最初の運用地である御所市に到着すると、前日から続く激しい雨で、河川敷など未舗装の場所への立ち入りが難しい状況でした。そのため、舗装された駐車場での運用を選択しました。次に移動した五條市は、事前に候補として挙げていた公園の駐車場が十分に整備されていたため、ここで運用することにしました(写真1)。

雨が降っていたため、QSYの際に車外に出なくても済むように、この連載で何度も紹介している、釣竿に沿わせたワイヤーアンテナとオートアンテナチューナー、容量結合アースを使用して運用しました。HF帯の伝搬のコンディションは、御所市では18MHz帯でもQSOできており、それなりに良さそうな感じでした。五條市では7MHz帯と10MHz帯で多くの局から呼ばれ、他のバンドは時間切れになりました。


写真1 五條市での運用の様子

山間部にある吉野郡黒滝村に移動すると、風が強くなりました。ここでの最大の課題であったサテライト通信は、RS-44の天頂付近を通過するパスで無事にクリアしました。しかし、運用中に白いものが降ってくるようになり、草が生えている場所には雪が積もっていました。

11月の中旬で、筆者が住む愛知県では雪が降ることはまず考えられません。そのため、ノーマルタイヤで来ており、雪が降るとは全くの予想外でした。ID-52のGPS機能で高度を調べてみると、高度が思ったよりも高く、気温が下がるのも納得しました。

天気予報では、気温は大きく下がらないようで、路面の雪が溶けたタイミングで平地に戻り、天候回復を待ちました。夕方には雪と雨は上がり、その後は冷たい強風が続きました。

夜になってからは、大和高田市-葛城市-香芝市と移動して、以前に運用したことがある公園で手軽に運用しました。伝搬のコンディションは、日没前に7MHz帯のコンディションが低下して国内QSOができなくなり、夜のローバンドもあまり良くありませんでした。最後は、磯城(しき)郡田原本町の公園で、夜間のため駐車スペースの確保に手間取りながらも、ローバンドとサテライトを運用しました。

11月19日(2日目) 天候は回復し、運用場所の確保が難しい町へ

天候が回復し、朝は大和郡山市の公園で運用しました(写真2)。この市はCWの需要が意外に多いようで、HFハイバンドの伝搬も良かったため多くのQSOができました。


写真2 大和郡山市での運用の様子

続く生駒市は、広い平地が少なく運用場所の確保が難しいため、高台にある駐車場を利用しました(写真3)。


写真3 生駒市での運用の様子

さらに、生駒郡斑鳩(いかるが)町に移動しました。この町は法隆寺などが有名で、駐車場の確保が難しく、移動運用に適した場所が少ないようです。以前JARL奈良県支部大会が開催されたことがある施設の周辺に駐車場があったことを思い出し、駐車場の端の邪魔にならない場所で、短いホイップアンテナで運用しました。

最後は奈良市で運用しました。ここは固定局が多く、バンド・モードが何でも良いのであれば交信は容易ですが、サテライトのSSBは運用する局がいない様子でした。天気は良好で公園の駐車場は満車になっており、タイミング良く1台だけ空いた場所に駐車して、車1台分のスペースで何とか運用できました。

結果

QTH別、バンド別のQSO数を表1に示します。移動に時間がかかり、伝搬のコンディションもあまり良くなかったため、これまで紹介した移動運用に比べてQSO数は少なめになりました。


表1 QSO数。1.9~50MHzはCW、サテライトはCW/SSB。

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