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JARL、第13回定時社員総会を開催

2024年7月1日掲載

一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)は6月23日(日)に東京都内の民間会議施設で「第13回定時社員総会」を開催した。


東京・新宿のベルサール西新宿で開催された、JARL「第13回定時社員総会」の模様

JARLは一般社団法人に移行した2011(平成23)年度から、代議員である「社員」(定数138名、一部地域で欠員があるため開催時点の総数は134名)が集まり、この1年間の決算や重要事項の審議を行う「定時社員総会」を毎年6月下旬に開催している。今回は2年に一度となる通常選挙が春に行われ、そこで選出された理事候補者らの選任や、前会長である髙尾義則氏(JG1KTC)の会員除名が議題になったことから、例年以上に注目された。


東京都新宿区の民間会議施設「ベルサール西新宿」。例年ここでJARL定時社員総会が開催されている

総会開始にあたり、森田耕司JARL会長(JA5SUD)は「この1年間、組織の活性化と会員の理解をより深めるために“積極的な活動と情報の発信”と“組織運営の透明化”の2つを柱として多くの仲間と頑張ってきた。主なものとしては、理事会報告への詳細記載、各理事の決議の明記、委員会報告の公表など。さらに通常選挙における選挙公報の詳細版や推薦者の公表も行った。また社員総会の議事運営規程も見直し、社員からの準備書面と回答の事前公開も実現した。こうしたことによりJARLが少しずつ変わってきたと実感している。この2つの大きな柱をもっと推進することで、JARLはさらに素晴らしい組織になると確信している。社員の中には素晴らしい能力の持ち主の方がたくさんいるので力を貸していただき、組織を一層盛り上げていきたい。本日の定時社員総会には重要な案件があるが、皆様の良識を持って素晴らしい総会にしたいと考えている」という趣旨の挨拶を行った。


挨拶する森田JARL会長(JA5SUD)

総会成立審査と準備書面の公開について

議事開始前に事務局が行った総会成立審査の結果は下記のとおり。定款に規定された社員総数の過半数(68名)を超えているので総会は成立した。

・議決権を有する社員の総数: 134名(議決権数 134個)
・6月23日 12時50分現在の出席社員数: 106名
・議決権行使書の提出社員: 8名
・委任書面による出席社員: 12名
・合計出席数: 126名

今回の議題は全部で5つあるが、効率良く議事を進めるため、①第1号議題「令和5年度決算の件」、②第4号議題「定款改正の件」、③第2号議題「正員JG1KTC 髙尾義則氏を当連盟から除名する件」および社員提案の第5号議題「JG1KTC 髙尾義則氏の会員除名を求める件」、④第3号議題「役員選任の件」の順番で進めることが発表された。


会場前方に会長、副会長、議長団、理事・監事、JARL事務局員などが着席。今回はJARLが契約している法律事務所の同席はなかった

また今回の社員総会では、社員が事務局に事前提出した「準備書面」(質問や意見・要望を記載したもの。提出は任意)の内容と、それに対する執行部や事務局などからの回答が総会の2日前にJARL Web(会員専用ページ)で公開された。これによって総会の時間短縮を図ると同時に、総会に出席できない一般会員にも質疑内容が分かるようになった。


第1号議題から第2・5号議題までは山内貴博氏(7K1BIB)(左)と坂井志郎氏(JH4PHW)(右)が議長団を務めた

第1号議題「令和5年度決算の件」

まず第1号議題として「令和5年度決算の件」と、報告事項である「令和5年度事業報告」「令和6年度収支予算」「令和6年度事業計画」について審議が行われた。森田会長が決算や予算の状況を説明したが、その中では「令和6年中に郵便料金が3割以上の値上げされるため、QSL転送費の増加は避けられない」「JARL NEWSのペーパーレス化を本格的に取り組んでいく」「JARLのQSLビューローに未転送のQSLカードが500万枚滞留しているので、その解消にも対応していく」「JARL選挙の開票作業を受託していた業者との契約が終了したので、別の業者に委託するか、電子選挙システムなどを導入するか、2年後の通常選挙に向けて検討する」などの説明があった。

その後、志村監事による監査報告に続き、社員から準備書面以外の質問や、準備書面の回答に対する再質問が行われ、「最近のJARL会員数の減少について」「令和6年度の会員数増加の見込み」「地方本部からの各支部へ支部費が支払われるタイミングについて」「各種キャンペーンの内容がよく変わるが実施効果はあるのか」などが出された。

13時53分、質問が出尽くしたところで挙手による採決が行われ、第1号議題は賛成116票、反対9票、保留5票で原案通り可決した。


挙手採決はJARL職員が列ごとに計数を確認した

第4号議題「定款改正の件」

これまでJARLの定款では、理事のうち1名を専務理事とすることが定められていた。しかし専務理事は事務局常勤で年額900万円の報酬が発生する。そのため2022年の第11回定時社員総会でそれまで専務理事を務めてきた日野岳 充氏(JE1KAB)の理事就任が否決されてから現在までの2年間、JARLは専務理事を置かずに会長代行などで業務を行ってきた。

こうした経緯から定款を改正し、専務理事を置かないことを可能にする一方、新たに「常務理事」というポジションが設けられるようにして、会長に加えて複数の理事で業務分担ができるようにすることになった。定款改正には社員総数の3分の2以上の賛成が必要だが、森田会長からの趣旨説明に対し会員からの質疑はなく、挙手採決の結果、圧倒的多数の賛成(計数省略)で第4号議題は原案どおり可決された。


第4号議題は圧倒的多数の賛成で原案通り可決

第2号議題「正員JG1KTC 髙尾義則氏を当連盟から除名する件」、第5号議題(社員提案)「JG1KTC 髙尾義則氏の会員除名を求める件」

続いて、JARL前会長で昨年の第12回定時社員総会の直前に辞任届を提出し、その後の理事会で解職決議を受けた髙尾義則氏(JG1KTC)の会員除名について審議が行われた(第2号議題は理事会提案の議題、第5号議題は社員有志38名が提案した議題)。この議題に入るところで、髙尾氏が係員の案内で議場入りした。


弁明のために議場入りし、会員除名の提案理由を聞く前会長の髙尾義則氏(JG1KTC)

まず森田会長が第2号議題の提案理由を説明、次に第5号議題の社員提案者を代表し、石岡洋一氏(JK7LXU)が提案理由を説明した。続いて、議長から弁明を求められた髙尾氏が30分間にわたって弁明を行った。弁明後、議長が指名した社員が髙尾氏に質問を始めたが、髙尾氏はその質問を遮って議場から途中退出した。

その後、社員らは「髙尾氏に質問し確認したかったこと」や、会員除名に関する賛成・反対の意見を述べ、出尽くしたところで会員除名の賛否を問う挙手採決に移った。採決の結果は賛成81票、反対40票、保留9票で、賛成票が除名に必要な総社員の3分の2(90票)に達しなかったため、髙尾氏の除名は否決された。

第3号議題「役員選任の件」

最後に第3号議題として、令和6年通常選挙で選ばれた理事候補者15名(全国選出5名、地方本部長10名)、理事会推薦の理事候補者2名(ただし書き理事)、同じく理事会推薦の監事候補者2名の選任が審議された。

出席社員から候補者への個別質問に続き、投票用紙で1名ずつ無記名投票を行った。この投票と開票には時間を要し(約1時間45分)、途中で退出する社員もあったが、最終結果は次のようになった(選任には出席社員の過半数の賛成が必要)。

<理事>
・JF1NEF 森野候補   可決(賛成票 87)
・JG1KTC 髙尾候補   否決(賛成票 41)
・JI1DWB 大矢候補  可決(賛成票 125)
・JL1ALE 菊池候補   可決(賛成票 82)
・7K1BIB 山内候補   可決(賛成票 111)
・JH4PHW 坂井候補 可決(賛成票 121)
・JA2HDE 木村候補    可決(賛成票 120)
・JH3GXF 安孫子候補   可決(賛成票 110)
・JR3QHQ 田中候補   可決(賛成票 103)
・JH4NMT 松田候補  可決(賛成票 66)
・JA5SUD 森田候補   可決(賛成票 107)
・JA6HUG 中村候補   可決(賛成票 66)
・JR7JAW 槻木澤候補   否決(賛成票 50)
・JA8DKJ 三井候補     可決(賛成票 103)
・JH8HLU 正村候補   可決(賛成票 95)
・JA9PPC 森田候補    可決(賛成票 115)
・JF0JYR 髙橋候補      可決(賛成票 105)
 は理事会推薦の「ただし書き理事候補」

<監事>
・JA1MEK 志村候補   可決(賛成票 71)
・7N2HJY 武藤候補    可決(賛成票 117)

なお、理事就任が否決された2名(髙尾候補、槻木澤候補)のうち、槻木澤氏については規則に基づき、東北地方本部長として2年間の任期を務めることになる。

この開票結果の発表をもって、18時38分に第13回定時社員総会は閉会した。

終了後の理事会で新執行部が決定

社員総会終了後、第3号議題で就任が決まった新理事15名と新監事2名は、18時50分から別室で理事会を開催し、下記のとおり会長(1名)、副会長(2名)、常務理事(2名)が決まった。なお改正された定款に基づき、今回は専務理事を設けないことになった。

・会長: JA5SUD 森田耕司氏(再任)
・副会長: JA2HDE 木村時政氏(新任)
・副会長: JA8DKJ 三井 武氏(新任)
・常務理事(総務担当): 7K1BIB 山内貴博氏(新任)
・常務理事(IT・技術担当): JH4PHW 坂井志郎氏(新任)


写真左から常務理事 総務担当の山内貴博氏(7K1BIB)、副会長の木村時政氏(JA2HDE)、会長に再任された森田耕司氏(JA5SUD)、副会長の三井 武氏(JA8DKJ)、常務理事 IT・技術担当の坂井志郎氏(JH4PHW)

これら執行部を含む、理事・監事の任期はいずれも2年間(2026年6月の「第15回定時社員総会」終了時点まで)となる。

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