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おきらくゴク楽自己くんれん

その47 話題のミニPCはモバイルシャックに最適でした

JF3LCH 永井博雄

2025年4月1日掲載


皆さんこんにちは。小さいながらも太陽光発電まで搭載した軽トラモバイルシャック。奈良県東部山地にある我が家では冬はなかなか日光を浴びることができないので、多少の充電はできますが実用域には達していません。その間に他の装備を整えていきます。

1. モバイルシャックで使うPC

これまでモバイルシャックで出かける時はその都度ノートPCを乗せ降ろししていました。従来から移動運用中は常にノートPCの電池残量に注意しないといけないのが煩わしいと感じておりました。愛用のノートは最近バッテリーが弱ってきたようですぐに容量がなくなるようになり、バッテリーを新調しようかと考えましたが本体も相当古いので思い切って新しいPC購入を考えるようになりました。

そんな時に兼ねてから欲しいと思っていた15.6インチモバイルディスプレイが格安で売られているのを見つけ思わず購入してしまいました。ちょうどモバイルシャック内で時間を持て余すときなどに動画などを楽しめる環境が欲しかったので、チャンスがあれば購入しようと考えていたところでした。


100均木製ガーデンフェンスを活用

購入したモバイルディスプレイはVESAマウント用ネジ穴がありました。しかしこれを使うとすると何か金具が必要となり、費用もかかるのでどうしようか考えている時にたまたま100均でちょうど使えそうな木製ガーデンフェンスを見つけました。これを使いモニターを格安でモバイルシャック窓下の壁につけることができました。

2. ミニPCとは

最近、手のひらサイズのコンパクトなミニPCに興味を持っておりました。すでにご存じの方も多いでしょうが、これまでになかったカテゴリーのパソコンでご存じでない方のために少し説明させていただきます。昔から移動運用では主にノートPCが使われていますがその昔はもっと小さなパソコンも使われていました。私は機会(お金)が無く使っていませんでしたが、ヒューレット・パッカードのHP200LXや東芝のリブレットなど、小さな筐体のPCがスペースに限りがある移動運用で活躍していました。それ以後はCPUの高性能化と共にバッテリーの進歩とスマートフォンの普及によりこれらの超小型PCはほぼなくなってしまいました。

しばらく型にはまったPCばかりとなっていましたが、近年ディスプレイをもたないノートPCのような中身を持った手のひらに乗る小さな箱型PCがたくさん発売されるようになりました。中でもインテルのN95やN100といった低電力で動作する高性能CPUを搭載した機種が発売されるようになり、使用する電力に限りがある移動運用に向いているのではないかと考えました。

モバイルモニターを設置したこともあり、省電力なPCをが欲しいとなったわけです。そこで注目したのは、N100の後継CPUであるN150搭載の格安モデルです。後継CPUとはいえスペックはN100とあまり変わりないですが、ゲームや動画処理などするのでなければ処理能力は十分ではないかと考えました。熱設計電力(TDP)はわずか6Wです。通常、演算能力に優れたCPUはTDP値が数十ワットと高いものですが、このインテルNシリーズの消費電力が低さはかなり魅力的です。

3. 設置してみます

ということで事で、ちょうどN150を使ったモデルがセールで2万円を切る価格で売られていたので購入しました。OSはWindows 11 Pro。ストレージはSSD 256GBで拡張可能。メモリーは8GBですが大きな容量に交換可能です。


ミニPC

これが今回購入したモデルです。インターフェースは小さい上に廉価版ながら大変に充実しています。大きさは幅114×奥行106×高さ42.5mmです。前面にはパワースイッチとUSB 3.2 Gen 2が2個あります。そして背面にはUSB 3.2 Gen 2が2個、HDMI端子2個、2.5Gbps LANポート、3.5㎜オーディオ出力が配置されています。DC12V電源は丸型端子です。USB-Cでない事は少し残念に思えますがこれが後に幸いすることになります。Wi-Fi 6にBluetooth 5.2まで搭載しており正に至れり尽くせりの装備です。


裏面のインターフェース

筐体はオールプラスチック製でシールド性が低い状態です。動作時内部から発生するノイズの心配が大きいですが、金属筐体のミニPCはだいたいプロセッサーの能力などが高級となり消費電力も大きくなってしまうトレードオフの関係です。金属筐体のモデルもノイズが少なくなる保証もないですし、そもそも高くて買えません(笑)のでどのくらいノイズが生じるか? とにかく使ってみることにしました。


窓下の物入れにピッタリ

シャック内に設置してみます。窓の下に取り付けたディスプレイの横に小物入れ箱があり、そこにちょうどいい具合に納まりました。


各インターフェースポートが既設の小物入れ箱にフィット

ミニPCのUSBポートからモニターに5V電源を供給することも出来るのですが、壊れた古いPDモバイルバッテリーをディスプレイ専用電源(出力1A以下)とすれば、よりミニPCの使用時間を延ばすことができるのでFBです。Wi-Fiで動画鑑賞をしながら運転音(冷却ファン)を確認しましたが、さすが省電力CPUです。ほとんど熱を感じることはなく、ファンが回っても微かに音がするだけで大変快適です。

DC電源電圧12V(3A)はACアダプタが付属していますが、モバイルシャック内ではAC100Vを得るのにインバーターを運転する必要がある時があります。これだと室内の配線がわずらわしい上にインバーターノイズが気になりますので、インバーター運転せずともPCが使えるようにPD対応大容量モバイルバッテリーの使用を考えました。

幸いIC-705を12Vで駆動するために買ったPD12V 3AケーブルとPD対応バッテリー28000mAhが使えそうでしたが、バッテリーの制御が壊れてしまったらしく1A以上の負荷がかかるとトリップしてしまうので、仕方なく40000mAhのPDモバイルバッテリーを新調しました。痛い出費でしたがより大容量となった分、ミニPCをより長時間使用できるようになったので良しとします。

ミニPCのUSBポートからモニターに5V電源を供給することも出来るのですが、壊れた古いPDモバイルバッテリーをディスプレイ専用電源(出力1A以下)とすれば、よりミニPCの使用時間を延ばすことができるのでFBです。Wi-Fiで動画鑑賞をしながら運転音(冷却ファン)を確認しましたが、さすが省電力CPUです。ほとんど熱を感じることはなく、ファンが回っても微かに音がするだけで大変快適です。


40000mAh大容量PDモバイルバッテリー


ミニPC設置が完了

これでモバイルシャック専用のPCシステムが完了しました。マウスはBluetooth式、キーボードも2.4GHzの無線式にすることで配線も少なくすることができました。これでもUSB 3.2 Gen 2がまだ2つ空いています。無線機との接続も余裕です。これでノートPCを使う時よりもテーブルの上をスッキリさせることができました。

このPCにはTurbo HAMLOGとCTESTWINにWSJT-Xをインストールしておきました。Wi-Fiを使い、家の駐車場からクラウドに保存しているファイルをダウンロードすれば、いつでも最新のログを持って出かけることが可能となります。各無線機に対応するドライバもインストールしておきました。

4. ミニPCの注意点

今のところいい事ずくめのミニPCですが注意しておかないといけない点があります。

まずは今回購入したものを含めてミニPCのほとんどは中国の新興メーカーの製品だという事です。小さな筐体にいろいろな機能が満載されているという事は、設計はそれなりの冒険をしてしまっている可能性があります。耐久性もこれまでの実績に乏しいメーカーがほとんどです。アフターサービスも広告では24時間対応など親切な対応をアピールしているメーカーが多いですが、聞くところによると実際にはそれとは程遠い対応をしているメーカーも存在するようです。私が購入した製品のメーカーは評価が高い方ですが今後ともそうあり続ける保証はありませんし、そのあたりを覚悟しておかなければなりません。仮に万一のことがあっても本体2万円以下なのでそこまで痛い事にはならないのですが、情報などを失うことは耐えられませんのでバックアップは万全にしたいと思います。

次にOSの問題です。購入したPCにはWindows 11 Proがインストールされていました。しかしこれまでいくつかのメーカーで正規でないOSがインストールされた状態で出荷され出回ったことがあったようで、購入後使えなくなるという事が起こったようです。現在もそのようなPCが出回っているかどうかはわかりませんが、購入後は確認しておいた方がいいようです。私のPCには正規版がインストールされており現在まで問題なく使うことができています。

このような注意点がありますので、心配な方はこれまで通り実績のあるブランドの商品を選ぶことをお勧めします。いくらPCを安く買ってもその後に手間がかかってしまっては元も子もありませんから。トラブルも含めて楽しみたい人向け、と言っていいかと思います(笑)

5. その他の装備

移動運用先で食事を用意するためにこれまではガスのシングルストーブをカセットガス(CB缶)で使っていました。ですがセットが面倒ですし、火災や一酸化炭素中毒など何かと危ないことや大容量リチウムイオン電池を使うようになったこともあり、電気式コンロを購入しました。

・コンパクト電気コンロ


500Wヒーター電気コンロ(海外用110V仕様品)

写真の電気コンロは発熱面が直径100mmのコンパクトタイプ。海外のAC110V仕様で500Wですから日本のAC100Vですと400Wプラス程度の出力となります。それでも数分でカップ麺用のお湯を沸騰させることができました。海外仕様品なので差込プラグも海外仕様になっていないか心配でしたが、それはちゃんと日本のプラグに合うものが付いていました。

・矩形波750Wインバーター


750W矩形波インバーター

写真のインバーターで750W出力の物が4千円を切る価格(処分価格?)で売られていました。すでにモバイルシャックには正弦波1000Wインバーターがあるになぜこれを買ったかと言いますと、正弦波インバーターは運転するとものすごいノイズを発生させるので無線運用をしている時には一切使えない代物でした。しかし正弦波インバーターは降ろすわけには行けない理由があります。正弦波でないと使えない電気機器があり、電子式コントロールが付いている製品、私の場合だと電気毛布が正弦波インバーターでないと動作してくれません。

そこで正弦波インバーターよりもノイズの少ない矩形波インバーターを使って無線運用中でもインバーターを使ってお湯を沸すとかミニエアコンなどを使えるようにするため購入しました。もちろんこの矩形波インバーターでもノイズは発生するのですが、正弦波インバーターよりはかなり少なくなるので仕方なく使うと言った感じでの使用となります。

モバイルシャックを作った当初は、快適な移動運用環境を作るために電源にリン酸鉄リチウムイオン電池に限定しストレスフリーな無線環境を目指していましたが、あれやこれやと装備していくうちにPDモバイルバッテリーやAC100Vインバーターに太陽光充電器にインバーターとどんどんノイズ源を増やしてきてしまいました。快適な無線運用と人的に快適な環境はトレードオフの関係にあるようです。これからはどちらを取ってどちらを捨てるか考えながらよりよい使い方を探っていくことになりそうです。それではまた。

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