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新・エレクトロニクス工作室

第48回 令和のKCS VXO基板(逓倍用)を使った簡易SG

JE1UCI 冨川寿夫

2026年4月15日掲載

今回は令和の熊本シティスタンダード(KCS)シリーズのVXOになります。本来はトランスバータ基板に内蔵していた部分ですが、現在であればDDSやSi5351Aを使う方がトータルとして作りやすいと思います。そこでトランスバータ基板から外したのですが、CPUを使うと敷居が高いと感じられる方も多いのでしょう。そこで、VXO基板として別に作っておく事にしました。KCSで逓倍が必要なのは50MHzでしょう。そこでVXOとして50MHzを対象にしています。

ただ私としては、VXOをトランスバータに使う予定はありません。このような基板の使い道は様々あります。後述しますが、出力回路に少々細工をして写真1のような簡易SGにしてみました。これも一つの応用です。このような事情があり、基板としては逓倍用のVXO基板です。しかし実際に作ったのは、この基板を利用した簡易SGという事になります。この簡易SGも逓倍という事で50MHzにしています。


写真1 KCSの逓倍用VXO基板を使った簡易SG

また、KCSのトランスバータ基板では、逓倍する場合と基本波を使う場合で回路を変えるようになっていました。そのため、基本波用と逓倍用の基板を分ける事としました。今回は逓倍用としますが、基本波用の基板は別途紹介する予定です。

周波数構成

トランシーバにする場合、どのような周波数構成にするのかです。ここでは詳細は省きますが、表1のようなエクセルシートを作ってみました。これでどのような近接スプリアスが作られるのか、計算ができます。シングルスーパー用ですので、ダブルスーパーには使えません。また、プリミクスはもっと複雑ですので使えません。ここに置いておきますので、これで考えてみて下さい。


表1 スプリアス計算シート(ダウンロードしたシートの黄色いセルに値を入れて下さい)

使い方ですが、キャリアの周波数をf1として黄色のセルに入れます。ここでは11.2735MHzとしています。LOの周波数をf2として黄色のセルに入れます。ここでは3逓倍を考えて13.0MHzにしています。すると、それぞれ10倍波までの和と差を全て計算します。次に目的とする中心周波数に50.235MHz、スパンを5MHzと記入します。すると47.735~52.735MHzの範囲、つまり近接スプリアスとなりうる周波数のセルが薄いブルーになります。スパンの周波数は適宜変更して下さい。f2の×3にある一番上の行が取り出したい周波数の50.2735MHzになります。これはスプリアスではありませんが、薄いブルーになるのは仕方ありません。もちろん、どこまで高調波の影響があるのかは、その場合によって異なるのでしょう。とりあえず10倍波まで全部出ますので便利です。

今のところスプリアスは表1で全て解明できました。LOには周波数の幅がありますので数箇所で試すと良いと思います。まあ、あまり神経質になると使えるパターンも無くなりますし、表1程度で大体うまく動くと思いますが、ベストの組み合わせではありません。怪しそうなのが2倍波どうしの和で48.547MHzになります。ここにスプリアスが出る時は、LOの2倍波が下がるように対策すれば良さそうです。キャリアの2倍波はクリスタルフィルタを通りますので減衰されますが、油断は禁物でしょう。LOの4倍波も52MHzになりますので、いずれにしても3倍波だけを取り出すのがポイントです。実はIFに9MHzか10.7MHzを使う方が良さそうです。

スプリアス的には3逓倍しない方が有利になります。黄色のセルでf2を13MHzから39MHzにすると良く解ると思います。DDSやSi5351Aで直接発振させる場合は逓倍を使う必要がありません。CPUを使う事にはなりますが、このようなメリットがあります。もちろん、カバーできる周波数範囲や操作性というメリットもあります。

回路

発振回路をVXOで作るので、回路としては図1のように昔々と変わりません。一応ツェナーダイオードの代わりに3端子レギュレータを用いる事にしました。バリコンの代わりにバリキャップを使う方法もあるのですが、トータルで考えるとそれも良し悪しなのでしょう。ここではポリバリコンを使う想定としました。もちろん、バリキャップを否定するつもりはありません。特に変えないと作れない部品もありません。水晶は小型になりましたが、ジャンクも少なくなりました。これは特注するか探すしかありません。


図1 回路図

元々の熊本シティスタンダードの設定としては、50MHzでは3段の回路でした。14.55MHzで発振と2逓倍し、次段で更に2逓倍をして58.2MHzを得て、3段目では増幅をしました。トータルで4逓倍となります。ここから7.8MHzのIFを引き算して50.4MHzを得ていました。しかし現在のスプリアス規則では少々無理がありそうです。4逓倍をすると、スプリアスが近くなり取り除くのが更に難しくなります。表1で確認すると解ると思います。そこで発振と3逓倍を初段で行い2段目は増幅だけとし、更に複同調としました。これはスプリアス対策ですが、それでも50MHzで1W以上の場合は難しいかもしれません。近接スプリアスが出てしまう可能性があります。これはトランスバータ側の回路も関係してきますが、1W以下が無難という事になります。もちろん1W以下でも絶対大丈夫とは言えません。

周波数構成は表1の通りと想定して、図1の回路を書いています。つまり、発振周波数はf=(50.3-11.2735)/3程度を想定していますので、ほぼクリスタルは13MHzとなります。もちろん部品もそれによって変わりますが、回路としては注釈で逃げています。なお、C5とC15は1pFとしていますが、もう少し大きくする方が良い場合もあります。

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