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アパマンハムのムセンと車

第44回 モービル&アパマン運用に役立つヒント

JF1KKT 横田勝彦

2026年5月15日掲載

知っておきたい「航続距離」と「充電」の現実

「180kmや250kmでは、旅行に行くのに足りないのでは?」と不安に思うかもしれません。しかし、以下の3点を踏まえると、軽EVはアマチュア無線家の移動運用スタイルに非常に合致しています。

① 自宅がガソリンスタンドになる:

自宅に充電コンセントを設置(工事費約10万円~)すれば、寝ている間に満タンになります。毎日のようにガソリンスタンドへ行く手間がなくなります。戸建ての方はガソリン代で工事費のモトが取れますので、ぜひ検討すべきです。

② WLTCモードの8割が実走行の目安:

カタログ値が180kmなら実走行は約140~150km程度です。高齢者の1日の平均走行距離は30~50km程度というデータもあり、数日に一度の充電で十分事足ります。

③ 急速充電の普及:

現在は高速道路のSAや道の駅、コンビニに急速充電器が普及しています。旅先で30分休憩(お茶やお土産選び)をしている間に、次の目的地までの電力を補充できます。

あなたにぴったりの一台は?

・「移動運用や車中泊を本格的に楽しみたい」

  • → 迷わず ホンダ N-VAN e: をお勧めします。助手席までフラットになる空間は、一人旅の最高の秘密基地になります。

・「災害時の電源としても使いたい、荷物もたくさん載せたい」

  • → ダイハツ e-ハイゼット / スズキ eエブリイ が最適です。1500Wの電源は、移動運用やキャンプだけでなく停電時にも家電を動かせる安心材料になります。

・「自分でカスタムしてシャックを作りたい」

  • → 三菱 ミニキャブEV(日産 クリッパーEV)が最適です。構造がシンプルで頑丈なため、DIYで棚を作ったりと、自分好みに室内を改装したい方に向いています。

・「とにかく快適に、近所の移動を優雅にしたい」

  • → 日産 サクラ を選べば、その加速と静かさに「これからの時代の車」を実感できるはずです。補助金(国や自治体から最大数十万円)を賢く活用すれば、ガソリン車との価格差も縮まります。まずは一度、お近くの販売店で「エンジンのかかっていない状態での静かさ」を体験してみてください。新しいカーライフの扉が開くはずです。

最近は移動先でエンジンをかけっぱなしにしていて注意されたという話を耳にします。そもそもエンジンのないEV車を選ぶことで、移動先の周囲にも迷惑をかけない運用ができると思います。

●EV車のマメ知識・・・ WLTCモードの話
電気自動車(EV)を検討する際、必ず目にするのが「WLTCモード」という言葉ですね。かつての「JC08モード」よりも実走行に近いと言われていますが、「EVならではの特性」を知っておかないと、納車後に「思ったより走らないな?」と戸惑うことになりかねません。賢い車選びのために、EVにおけるWLTCモードの見方と、走行環境による違いを分かりやすく解説します。

・WLTCモードとは?

WLTCは「Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycle」の略で、世界基準の測定方法です。以前の基準に比べ、「市街地」「郊外」「高速道路」という3つの走行シーンを想定して計測し、それらを平均して「1回の充電で走れる距離」を算出しています。しかし、ここで面白い(そして注意すべき)のは、「電気自動車は、ガソリン車とは得意・不得意が真逆である」という点です。


●モード別の「EVの得意・不得意」
ガソリン車は「高速道路の方が燃費が良い」のが常識ですが、EVはその逆です。WLTCの各モードでEVがどう振る舞うかを見てみましょう。

① 市街地モード(低速・ストップ&ゴー)

  •  ・EVの挙動: 大得意です。
  •  ・理由:
  • 信号待ちでのアイドリング消費がゼロなのはもちろん、減速する際にモーターで発電してバッテリーを充電する「回生ブレーキ」が働くためです。
  •  ・結果:
  • カタログ値(平均値)よりも、実際の走行距離が伸びることがよくあります。

② 郊外モード(信号が少なく、中速で流れる)

  •  ・EVの挙動: 最も効率が良い環境です。
  •  ・結果:
  • 回生ブレーキによる充電と、空気抵抗が少ない速度域での巡航のバランスが最適だからです。

③ 高速道路モード(時速80km~100km以上の連続走行)

  •  ・EVの挙動: 苦手分野です。
  •  ・理由:
  • EVには「変速機(ギア)」がほぼありません。速度が上がるほどモーターが高回転になり、電気を激しく消耗します。さらに、高速域では空気抵抗が急増し、回生ブレーキを使う機会も減るため、航続距離がグンと短くなります。
  •  ・結果:
  • 高速道路を走り続けると、カタログ値の6割~7割程度まで落ち込むことも珍しくありません。

●カタログ値と「実走行」のギャップ: 3つの落とし穴
WLTCモードは実態に近いとはいえ、以下の要素はテストに含まれていません。

・エアコン(特に暖房)

ガソリン車はエンジンの熱を暖房に使えますが、EVは電気を使ってヒーターを温めます。冬場に暖房をガンガン使うと、走行距離はカタログ値の50%~60%程度まで落ちることがあります。
知恵袋: エアコンの代わりにシートヒーターやハンドルヒーターを活用すると、体感温度を上げつつ電力消費を抑えられます。

・高速道路での速度

WLTCの「高速道路モード」の最高速度は約97km/hです。新東名など制限速度120km/hの区間をその速度で走れば、電力の減りはさらに早まります。

・バッテリーの保護

スマホと同じで、EVも「0%になる直前」や「100%満タン」はバッテリーに負荷がかかります。実際には残量20%~80%の間で使うことが多いため、日常的に使える距離は「カタログ値の6割程度」と見積もっておくのが、精神衛生上もっとも安心です。

余談ですが、私の実体験として、バッテリー残量5%くらいでしばらく乗らずにいたら、バッテリーがダメになってしまいました。そこまで放電させたのなら、すぐに充電すべきでした。携帯やスマホでも同様のことは経験しているのに、まんまと引っかかりましたhi 保護ついでに言えば、急速充電より普通充電のほうがバッテリーにはやさしいです(お財布に対しても普通充電の方がやさしいですよ)。

●賢い比較のポイント
比較表などを見る際は、以下の視点を持ってください。

① 「航続距離180km」の軽EVの場合

  • ・近所の買い物や通院なら: 180km近く走れる(大満足)
  • ・高速を使って隣県へドライブなら: 100km~120kmで充電が必要(要注意)

② 「航続距離250km」の軽EVの場合

  • ・冬場の車中泊で電気毛布や暖房を使うなら: 翌朝の走行分を考えて、余裕を持って目的地に到着したい

まとめ

WLTCモードはあくまで「公平な比較のための目安」です。「街乗り中心ならカタログ値通り、高速や冬場は半分~7割」。この公式を頭の片隅に置いておくだけで、充電計画に余裕が生まれ、EVライフを心から楽しめるようになります。「ガソリンスタンドに行かなくていい」という解放感は、一度味わうと本当に快適なものですよ。


充電中の電気自動車

なおご意見、ご感想、ご質問等については、筆者である私宛(jf1kktアットマークgmail.com)へご連絡頂けますと幸いです。

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