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子供たちが、南極・昭和基地「8J1RL」との交信に挑戦!!

南極・昭和基地に設置されているJARL局「8J1RL」は、毎年5月のゴールデンウィークに日本の小・中・高校生のハムと優先的に交信する「こどもの日特別運用」を実施している。今年も5月5日にこのイベントが21MHz帯SSBで行われた。

JARLでは東京・大塚の事務局内に設置された「JARL中央局(JA1RL)」の無線設備を使って、8J1RLとの交信に挑戦する子供たちを事前に公募。この日16時、選抜された小学2年から高校3年までの11名(男子9名、女子2名)がJARLの会議室に集合した。


南極・昭和基地の8J1RLとの交信に挑戦するため、JARL中央局(JA1RL)に集まった11名の子供たちが、髙尾JARL会長と記念撮影


会場となった東京・大塚のJARL事務局会議室。引率の保護者も交信の模様を見守った

まず髙尾JARL会長が「南極には8J1RLというJARLの無線局があり、アマチュア無線の資格を持つ観測隊員の方々が空き時間に運用を行っています。今日は皆さんで、その局との交信に挑戦していただき、楽しい思い出を作ってください」とあいさつ。続いて南極観測隊のOBで組織する「南極OB会アマチュア無線クラブ」の会長、JR1FVH 小林さんが昭和基地での仕事と生活、無線運用について楽しく説明。さらにJA1RL運用委員会の7K2GMJ 新谷さんが南極から発射した電波の届き方や、これから挑戦する8J1RLとの交信の方法などを説明した。


あいさつする髙尾JARL会長(JG1KTC)


「南極OB会アマチュア無線クラブ」の会長、JR1FVH 小林さん


JA1RL運用委員会の7K2GMJ 新谷さん

この日集合した子供たちは4アマが3名と3アマが8名。そのため無線機はJA1RLの10W機(IC-7000S)と50W機(IC-7000M)が用意され、ほかにJA1RL運用委員会のスタッフ用として200W機のIC-7800もセッティングされた。アンテナは建物屋上に立つトライバンダーの4エレ八木を使用した。


用意されたJA1RLの無線設備。4アマ用のIC-7000S、3アマ用のIC-7000M、運用委員会スタッフが使用する200W出力のIC-7800もある。アンテナは屋上のトライバンダーを使用

8J1RLとはあらかじめスケジュールQSOの時間と周波数の打ち合わせがなされており、予定通り17時から、運用委員会スタッフが21MHz帯SSBで8J1RLを呼び出しを開始した。昨年は数回の呼び出しであっという間に応答があり、参加者全員がスムーズに交信を果たしたのだが、今年はHFハイバンドのコンディションが悪く、30分以上呼び出しを行っても南極側からの応答がない状態だった。

呼び出しの途中で、静岡県のDXerからJA1RLにブレークが入り、「こちら(静岡)では8J1RLがRS57で強力に聞こえています。高校生2名が交信に挑戦したいと待機しています」という情報がもたらされた。子供たちは沸き立ち、無線機のスピーカーから流れる音声をじっと聞いていたが、残念ながら信号の確認には至らなかった。


21MHz帯で8J1RLを呼び続ける、運用委員会スタッフのJO1LDY 黒木さん

18時過ぎから、無線機をIC-7800に変更し14MHz帯SSBにQSYしたところ、8J1RL(観測隊員の三浦さん)からの電波が確認できた。当初は信号が弱く、フェージングの谷間では聞こえなくなる不安定な状態だったが、時間の経過とともに少しずつ安定してきた。そこで髙尾JARL会長が参加者を代表してマイクに向かい、「今日は“こどもの日特別運用”ありがとうございました。大変な業務かと存じますが、1年間どうぞお気を付けて。また時間がありましたらぜひQRVしてください」と、8J1RLに感謝のメッセージを送った。子供たちもIC-7800の周囲に集まり、昭和基地からの声を真剣に聞き入っていた。


14MHz帯SSBで8J1RLとのコンタクトに成功。髙尾JARL会長が代表して感謝のメッセージを伝えた。子供たちも真剣に聞き入っている

例年の「こどもの日特別運用」の交信挑戦イベントなら、ここで終了となるのだが、今年は国立極地研究所と南極観測隊の厚意により、初の試みとして「有線電話」で昭和基地とJARLを結び、子供たちと観測隊員の“お話タイム”が設けられた。東京・立川市の国立極地研究所経由でつながった昭和基地の電話音声は、14,000kmも離れた場所からとは思えないほどクリアで遅延も感じられなかった。


有線電話回線で南極・昭和基地とつなぎ、子供たちが1人ずつ質問を行った

子供たちは、電話の向こうの観測隊員に1人ずつ「南極で寒い中、どんな仕事をしているんですか」「南極では災害が起きることはないのですか」「南極で一番印象に残ったことは何ですか」「トイレの処理はどのようにしているのですか」など、思い思いの質問を行い、その内容に最も適した業務を担当している隊員が受話器を持ち、1つずつ丁寧に答えていった。


電話機に向かう最年長(高校3年生)の参加者。昭和基地は質問内容に応じ、最も適した業務を行っている隊員が回答した

今年はコンディションに恵まれず、参加者が1人ずつ昭和基地と交信することは叶わなかったが、14MHz帯で届いた8J1RLの信号を聞き、さらに電話で観測隊員から質問に答えてもらえたことで、子供たちにとっても満足度の高いイベントとなったようだ。

8J1RLの「こどもの日特別運用」は来年も行われ、JARLも今年と同様、この交信挑戦イベントを行う予定となっている。

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