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無線をせんとや生まれけむ。

第十一話 日本語放送を聴いてベリカードをもらう (その2)

無線(CQ)をせんとや生まれけむ。
短波(ラジオ)聞かんとや生まれけん。
呼ぶ、かの局の信号(こえ)聞けば
我が身さえこそゆるがるれ。

JF3SFU 永野正和

皆さま、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

台風のあと、めっきり秋っぽくなりました。あっという間の11月です。さて、その後、短波の日本語放送はお聞きいただけたでしょうか?アマチュア無線も楽しいですが、HFのトランシーバで海外からの日本語放送を是非お聞きいただきたいと思います。綺麗なベリカードなどももらえますし、なによりも放送自体が楽しいです。

今月は、先月に聞き逃した放送局をもうすこしと、その後、返信のあったベリカードをご紹介しつつ、日本語放送の最長老、HCJBの尾崎一夫師に、HCJBが放送局としてスタートした頃のエピソードや、あのBCLブームが起こる前の雰囲気についておうかがいしましたのでご紹介いたします。

その後のベリカードの返信

第十話を出稿したあと現在までに返信がありました局は3局です。ベリカードは受信報告書を送ってから到着まで、2-3か月かそれ以上かかるような気がしますので、残りは来月あたりかもしれません。返信があれば追記したいと思います。モンゴルは相変わらず送付を受け付けてもらえません。

①ベトナムの声放送
2020年8月22日(土) 21:00-21:27(JST)
受信周波数: 12020kHz
SINPO=55444

やはり、エアメールでやってくる「紙のベリカード」は格別です。
A28A(返信日数28日エアメールで送付、エアメールで返信)です。


またまた麗しいベリカードです

②中国国際放送(CRI)
2020年8月25日(火) 21:08-21:59(JST)
受信周波数: 7325kHz
SINPO=55544
e-mailによる受信報告に対する、e-ベリカードです。
E35E(emailによる受信報告書に対して35日でeベリカードを受領)です。

eベリと書きましたが、受信日時、周波数等の記載がなく、厳密にいえば完全なベリカードではありません。受信報告を受け取りましたという確認カードです。ご返信いただいてこんなことを書くのはいかがなものかとも思うのですが、できれば受信データ(最低、受信日時と受信周波数)の記入はお願いしたいところです。


大変美しいカードです

③Radio Thailand
2020年8月22日(土) 22:00-22:15(JST)
受信周波数: 9390kHz
SINPO=45444
15分間の日本語放送です。
番組構成は前半にタイに関わる国際ニュース、後半に国内のニュースがあり、その後、時間があれば、タイの流行歌(はやり歌)などがオンエアされ、放送終了となります。

ところで、残念なことに、10月1日より、放送が中断されています。メールで状況をおたずねしましたところ、諸般の事情により数カ月放送を休止しますと返信がありました。昨年も同じようなことがありましたが無事復活、放送が再開されましたので今回も期待したいと思います。

A51Aでベリカードが届きました。美しいカードですが、このカードも残念ながら受信日の記述がなく、完全ではありません。そもそもベリカード自体に受信日の欄がありません。美しい印刷のベリカードなのにおしいですね。


HSK9はRadio Thailandのコールサインです

日本語放送の受信

先月に引き続いての受信です。
まずは、Voice of IndonesiaとアルゼンチンのRAEです。それからVoice of Koreaです。

①Voice of Indonesia
2020年10月10日(土) 21:00-22:00(JST)
受信周波数: 3325kHz
SINPO=22322

3325kHzを一週間程連続でモニターしましたが、なかなか良い状態で受信できずにいます。3320kHzにVoice of Koreaがいて、強烈にかぶってきます。このインドネシアの日本語放送ですが、出力は10kWとやや低く、信号は弱い場合が多いです。また、変調がやや浅く、放送内容を聞き取るのは大変です。後半の30分は良い感じで浮き上がってくることもあります。パラで4750kHzでも送信していますが、変調がのっていない感じです。(キャリアだけ)


3320kHzにノッチを設定(緑のライン)、少しでも混信を低減しながらの受信

〇ベリカード
未着です。これは以前に取得したベリカードです。


2003年2月に受信(この周波数の信号は良く入感していました)

②RAE
2020年10月14日(水) 17:00-18:00(JST)
受信周波数: 5850kHz
SINPO=34222

かつて、アルゼンチンからの放送は幻の日本語放送と言われました。現在は、米国フロリダのWRMI送信所から、週2回の放送です。フロリダ送信となり受信状態は良くなった印象があったのですが、今回のチェックではあまり良い状態とはいえません。ローカルノイズが耳障りでしたが何とか放送内容は聞き取ることができました。


放送時間が平日なので、タイマーによる帯域録音です

〇ベリカード
こちらも未着ですので、以前取得したベリカードです。両方ともアルゼンチンからの送信波の受信です。左は2003年に受信した時のもので、2005年にご退職された高木さんのサインがあるのですが、受信周波数が記載されておらず残念至極です。右は2008年の受信で、フルデータが記述されていますが、こちらには高木さんのサインはありません。2008年のカードは、経費節減か、あるいは印刷ミスか、単色印刷になっています。


左:2003年受信、右:2008年受信

③Voice of Korea
2020年10月18日(日) 16:00-17:50(JST)
受信周波数: 9650kHz
SINPO=55544

北朝鮮からの放送で、日に3回の放送時間帯があります。複数の周波数で放送されています。受信する時間帯によって、良好に受信できる周波数が数波あります。(放送周波数は第十話をご覧ください。)

日本語放送のなかで、最もプロパガンダ色が強い放送局です。この放送局のニュースはとてもクセがあり、日本のメディアのニュースなどと聞き比べますと放送の雰囲気や、情報の取捨選択は独特のものがあります。しかし、見方を変えれば、国連による経済制裁や、新型コロナ禍、それから先の台風被害などで、国力の維持に懸命なのかもしれません。

まぁ、なんです。ミサイルの照準が日本に向いていると聞けば怖い事ですが、知らされていないだけで、どこの国のミサイルの照準が日本に向いているか、わかったものではありません。また、飛んでくるのはミサイルだけでもないようにも思えます。
そんなことを感じながら放送を聴いていますが、残念ながら受信報告書を出す勇気はありません。(汗)

世界の国が仲良くとまではいかなくとも、それなりのお付き合いをしあいながら、安全に共存するにはどうすればよいのか。BCLはそんなことを考える機会をくれる良い趣味だなぁと今更ながら思う次第であります。


この時間帯は31mbが強力でした

Short BK-1: HCJB放送前夜・アンテナ物語

BCLブーム以前の日本語放送について、短波による日本語放送の最長老、HCJBの尾崎一夫師におたずねしておりましたら、師から本稿用にと書きおろしを頂戴いたしました。ありがたく使わせていただきます。

師とは、2006年6月3日、オーストラリアのクヌヌラ送信所からの放送再開にあたり、ご要望により、候補にあげられた複数の放送予定周波数を数カ月にわたりモニタリングしました。放送は無事スタート、受信報告書をいの一番、スピードポストでお送りしましたところ、再開第一号のベリカードをいただきました。それ以来、受信状態の報告を兼ね、毎週メールのやり取りをさせていただいております。


記念のベリカードです

<HCJB放送前夜・アンテナ物語>

文: HCJB日本語放送ディレクタ兼アナウンサー・尾崎一夫

1931年米国シカゴの港から高さ4フィートの木箱に詰められた250ワットの送信機が南米エクアドルへ向けて送られました。エクアドルの港町の岸壁に着くと税関倉庫に入れられたのですが、見たことのない機材だったようで、散々関吏たちにたらい回しにされた後、損傷なく無事に受け取るとこが出来ました。送信所として見つけた場所は羊小屋でした。小屋というよりは泥土で固めた壁の囲いが土塀に沿ってあり、その上にトタン屋根がのせてあるだけです。その中を改造し、設置場所になるテーブルだけは作り、送信機を置くことにしました。その深夜、大きな雨の音で目を覚ましました。土砂降りです。それはまるで空から射撃されているようでしたが、アンデスの高地に降る大粒の雨はやがて大きな雹(ひょう)となりトタン屋根を打ちつけていたのでした。

送信アンテナについては、電話会社に「長い電信柱」が欲しいと申し出たところ、持ち込まれたものはなんとユーカリの木でした。それも長さが30メートルもありエッフェルタワーでも見上げているようでした。早速、穴を掘り、木にアンテナを取り付け、控えていた 作業者達が一斉に力を合わせて「よいしょ、よいこらしょ!」と持ち上げて長さ200フィートのアンテナが完成したのです。

1938年。クラーレンス・ジョーンズ博士(HCJB創始者)は北米マサチューセッツの教会でHCJBでは、将来は500ワット送信機が必要だと訴えましたところ、ある婦人から5ドルの献金がありました。博士はそれを手にしながら、「残るは 9,995ドル」だと最初の捧げ物に感謝したそうです。

ちょうどその頃、 ジョーンズ博士が語るHCJBの話をシカゴのクリスチャン放送局WMBIのエンジニアであるモーアさんが聞いていました。エクアドルでは電圧が不安定なので困っているという話を聞き、モーアさんは 「アマチュア無線で使っている私のボルテージ・レギュレータが役に立つかもしれない。」とすぐに手紙を出したのです。その手紙を読んだジョーンズ博士はシカゴに飛び、モーアさんを訪ねました。そのような出会いがあり、モーアさんはHCJBの技術部長として大奮闘することになります。

ジョーンズ博士が船でエクアドルのグアヤキル港に着いた時、そこに、たまたま米国から受信機製造の技術関係者がチームで現地調査に来ていました。これから放送を始めると聞くと、「高いところはダメですよ。特にエクアドルなんて。アンデスは山ばかりで、鉱脈は磁力が強いので、放送電波など発しても弱められるか、吸収されるか、掻き混ぜられてしまって使い物にはなりませんよ。」と忠告されたのです。一ケ月前、ワシントンの政府機関からも同じ忠告を受けています。しかし、神から与えられた使命はCome Up to this mountain (この山に来て登れ)です。背後で支援してくださる教会、犠牲的に賛同して労してくれている人達とともに迷いなく、神の羅針盤が指す山に登ることにしたのです。

2020年5月、日本初の宇宙飛行士毛利衛さんがエクアドルをテレビ取材で訪問されました。その時の印象を「エク! 赤道におりた宇宙飛行士」という本にまとめられてが、表紙の裏に次のようなコメント載せられています。

エクアドルの最高峰チンボラッソ。
ここは地球上で
いちばん宇宙に近いところ。
地球が楕円形であるために、
チョモランマよりも
二千メートルほど
地球の中心から遠いのだ。

(参考資料)
Radio The New Missionary by Clarence Jones (HCJB創設者)
Come Up to this Mountain by Lois Neely
エク!赤道に降りた宇宙飛行士 毛利 衛、林 公代共著

Short BK-2: BCLブーム前後のHCJBの様子について

あわせて、ブーム前夜の雰囲気について、また、ブーム後の状況についても尾崎一夫師におたずねしました。

尾崎: 南米に向けての日本語放送は1964年5月1日スタート、エクアドル時間で午後5時からの生放送でした。日本に向けての日本語放送は翌年の1965年がスタートです。日本に向けての放送でターゲットとなるリスナーについて、確信はなく、正直言って「闇夜に鉄炮」状態でした。しかし、送りっぱなしにならないよう、またリスナーが共感できる番組作りを念頭に、妻の久子を引っ張り込んで番組の企画制作から進行までを行いました。

日々の放送をおこなっているうち、南米をはじめ日本のリスナーの方々からも、「家庭的な雰囲気の放送ですね。」というコメントをいただけるようになり、肩の荷がおりました。今後も恰好をつけず、自然体でリスナーに応えることに全力を注ぐスタイルで番組を続けていきたいと考えています。今後ともよろしくお願い申し上げます。

お話しと共に、師よりご提供いただいたデータ(日本からの受信報告書数など)を見ていますと、1964年は、114通で、翌年は400通あまり、それが1974年には急に17,000通となり、ピークは1976年で6万通をこえます。その間、南米からのお便りはコンスタントに1,500通あまりですので、南米のリスナーは、生活の一部として放送を楽しまれていたと想像できます。

その後の日本はといえば、1986年あたりから2000年まではブーム前とよく似た数字である1,500-2,500通、2015年から直近までは大体1,000通から1,500通の間で安定して推移していますので、日本でも同様に定着したリスナーがおられることなのだろうと思われます。

おまけ: 必死のパッチのベリカード(中南米編をちょっとだけ)

すっかり少なくなってしまった中南米の短波局です。中南米は、英語局は少なく、必死のパッチに拍車がかかります。しかし、本場の民族音楽(セルタネージャ、フォルクローレ、アルゼンチンタンゴなど)を聴くことができますので、放送を聴く楽しみはありました。

〇Radio Habana Cuba
社会主義国らしからぬ(さすがラテン!)陽気な放送局です。
底抜けにあかるいラテン音楽が良く流れます。


〇HCJB
エクアドル送信の日本語放送で所有する一番古い日付のベリカードです。出てきた古いログブックの記載によりますと。受信機はユニカUR-2Aに10m長8m高ロングワイヤーとあります。
SINPO=22232、ベリカードA29A
なかなか厳しい受信状況だったようです。


〇Radio Nacional Arcangel San Gabriel(LRA-36)
アルゼンチンの極地(南極)にある放送局です。なかなかの珍局です。受信は必死のパッチだったと思います。アナウンサーのおねえさんの声が妙に色っぽかったことだけが記憶にあります。(笑)


〇Radio Aparecida
ブラジル局で今なお放送している少ない生き残り局です。最近、私のシャックでは聞こえません。


〇Radio Senado
2011年は聞こえていました。2020年のWRTHには掲載されていません。ネットを見ますとFMでは放送をしているようですので、短波放送からは撤退したようです。


〇Radio Nacional de Venezuela
残念ながら、短波放送からは撤退しました。結構強力に入っていた局で、元気のある放送局でした。ベリカード以外にも色々な印刷物や、カレンダーなどを送ってくれました。


さて、秋も深まってまいりました。ローバンドは面白いシーズンに突入です。BCL的には、中波が楽しめるのではないでしょうか。

さて、一年間お付き合いいただきましたこのシリーズも来月が終話です。来月は何のお話を、、、と考えている今日この頃の私です。新型コロナは一向に収束しませんが、気を付けて本年あと少し走りきりましょう。では、また来月お目にかかります。

ごきげんよう。
Very Best 73&88。

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次号は 12月15日(火) に公開予定

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