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日本全国・移動運用記

第62回 長崎県 離島以外の全市町移動

JO2ASQ 清水祐樹

長崎県は地形が複雑で、陸路で移動するには時間がかかるため、移動運用の機会が少ない都道府県の一つでした。そこで、長崎県の離島以外の全市町(長崎県に村は無い)を4日間で移動する弾丸ツアーを計画しました。

計画

長崎県には、離島を除くと16の市町があります。これらを4日間で(4日目は朝のみ)移動運用します。1日目は北部、2日目は中部、3日目は南部、4日目は内陸にある波佐見町に移動する基本構想を考えました(図1)。

1日目の4市町の移動ルート選定には、かなり迷いました。
・佐々町のリクエストが多かったので、運用時間を十分に確保したい
・前日は、佐世保市の市街地に宿泊する
・佐世保市の市街地から佐々町へは、自動車専用道路で容易にアクセスできる
・平戸市と松浦市は隣接しているけれども、道路状況の関係で移動に時間がかかる

これらの事情により、佐々町と佐世保市は2回に分けて運用することにしました。2日目は西海市から大村湾に沿って移動して、最後は長崎市。3日目は島原半島を巡回するルートに決定しました。


図1 長崎県の離島以外の市町を、4日間で回るルート

移動手段はマイカーで自走としました。愛知県から長崎県までは高速道路で12~13時間かかります。それでも、現地での長時間の運転が楽なこと、機材が十分に持参できること、電源容量に余裕があることなどのメリットを考慮して、マイカーを選択しました。

アンテナは、前回・前々回と同じ7m釣竿+アース板付きオートアンテナチューナーAH-4 (https://fbnews.jp/202009/unnyouki/index.html)を自分の車で使用しました。

1日目は、佐々町から運用開始

前日の夜に、佐賀県武雄市のサービスエリアで1.9MHz、3.5MHz、サテライトを運用したところ、山に囲まれたロケーションでありながらも多くの局とQSOできました。特に1.9MHz帯は、8月にはあまりQSOができなかったにもかかわらず(2020年10月号の記事)、9月になって日没が早くなると、短いアンテナでも多くの局が聞こえるようになりました。

サテライト通信でSSB/CWが使える衛星は午前5時台に集中しているので、それを狙って翌朝は佐々町から運用を開始しました。早朝は駐車場が開門前だったので、適当な空きスペースを見つけて運用しました(写真1)。


写真1 佐々町での運用の様子。公園の駐車場が開門された後の、2回目の運用にて撮影

午前5時では周囲が真っ暗で、あらかじめ地図で見つけておいた公園で店開きしました。次第に明るくなってくると、周囲は写真1のように、山に囲まれていることが分かり、サテライト通信は、山に遮られていつ聞こえなくなるか、ヒヤヒヤしながらの運用でした。

早朝では1.9MHz帯と3.5MHz帯しか聞こえないので、その後は平戸市で運用した後、佐々町に戻って2回目の運用を行い、佐世保市、松浦市、さらに佐世保市2回目の運用を行いました。この日はEスポの発生が無く、18MHz帯より高い周波数は全く聞こえませんでした。

地形の影響により、サテライト通信は困難の連続

2日目は西海市の公園で運用した後、大村湾に沿って南下しました。川棚町、東彼杵町は、海岸でまずまずの場所が見つかりました。しかし、大村市の市街地では、運用に適した場所がなかなか見当たらず、市街地から離れた港に移動しました(写真2)。

ここで、HF帯の伝搬状況が良くなり、7MHz帯から28MHz帯までQSOできるようになりました。特に28MHz帯は、1エリアが強力に聞こえたと喜んでいても、10分後には何も聞こえなくことがあります。通常は、7MHz帯から28MHz帯まで順番に高い周波数に上がっていくところ、28MHz帯が不安定な時には、まず28MHz帯でQSO可能な局は全て確保しておき、24MHz帯から下がっていくと良い場合があります。今回もこのようなQSY DOWN作戦で、多くの局と複数の周波数帯でQSOできました。


写真2 大村市での運用の様子

サテライト通信は、地形の影響で衛星の信号が短い時間しか聞こえず、どこも苦労しました。海岸付近で運用する場合、衛星が水平線から上がる時刻(AOS)以前、あるいは水平線まで下がる時刻(LOS)以降にも、衛星からの電波は聞こえることがあります(図2a)。

長崎県の場合、海岸付近でも、海の向こうにさらに陸地がある場所が多く、そのためAOSから数10秒後に、ようやく衛星の信号が聞こえました(図2b)。さらに、東日本の局とは距離が離れていてドップラーシフトによる周波数変化が大きく、特にSSBの周波数調整は瞬時の判断を要求されました。


図2 海岸付近でサテライト通信を行う場合の概念図
(a)海岸付近で運用する場合、衛星が水平線から上がる時刻(AOS)以前、あるいは水平線まで下がる時刻(LOS)以降にも、衛星からの電波は聞こえることがある。
(b)長崎県の場合、海岸付近でも、海の向こうにさらに陸地がある場所が多い。そのためAOSから数10秒後に、ようやく衛星の信号が聞こえた。

島原半島の天気はFB、しかし電波伝搬のコンディションは…

3日目は、長崎市の北にある時津町(とぎつちょう)、長与町で運用した後、東に進んで島原半島を回りました。海岸や干拓地に近い場所で、周囲に山が少ない場所をうまく見つけることができました(写真3)。天気がとても良く、快適な一日でした。

島原市、南島原市のCWのリクエストが多かったので、海岸に近い高台のロケーションの良い場所で、運用時間を長めに確保しました(写真4)。ただし、西側は雲仙普賢岳があり、この方向は山でブロックされていました。

通常、九州地方からは、昼間に10MHzで東日本の局が強力に入感することがあります。しかし、この日は電波伝搬のコンディションは不調で、7MHzで長時間粘って何とかQSOできる場面も多くありました。


写真3 諫早市での運用の様子


写真4 南島原市での運用の様子

結果

QTH別のQSO数を表1に示します。9月18日の佐賀県での運用を加えると、3,000QSOを超えました。朝と夜は1.9~7MHz帯、昼間は7~14MHz帯で主にQSOできました。50MHz帯にもチャレンジしてみたものの、QSOはできませんでした。

なお、今回の移動運用の時には、ISS(国際宇宙ステーション)のクロスバンドレピータでの運用を計画していました。ISSは西から東に移動してきます。クロスバンドレピータを受信すると、西の空からの聞こえ始めには6エリアと海外局との交信が多く聞こえるため、それに便乗して海外局との交信を狙っていましたが、残念ながら運用停止されていました。


表1 運用日・バンド別のQSO数。佐々町と佐世保市は2回に分けて運用した合計数。1.9~28MHzは CW、サテライトはCWとSSB。(クリックで拡大します)

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次号は 12月15日(火) に公開予定

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