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Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

第55回 公益財団法人 日本無線協会の皆さん

Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

皆さんこんにちは、JH1CBX Masacoです! 先月は久しぶりに個人コールでの交信ができ、元気なお声を聞くことができました♪ 繋がってくださった皆さん♪ エネルギーの交換ができて嬉しかったです! ありがとうございました! でも今年はアイボールの機会がないまま過ぎてしまいそうなので、なんだか寂しくて人恋しいです・・・。私はやっぱり、いろんな方と触れ合い出会う中で元気のチャージができてるんだなぁと感じます。秋も深まり朝夕の気温差も大きいので、心も体も冷えないようにあたためて過ごしましょうね! マスク生活がまだ続きそうですが保温にはよさそう♪

さて今回は、アマチュア無線家をはじめとする無線従事者の方々に身近な組織、公益財団法人 日本無線協会を訪問するため、東京都中央区晴海に向かいました!

第55回 公益財団法人 日本無線協会の皆さん

アマチュア無線技士をはじめとする“無線従事者”の資格を取るには「国家試験に合格する方法」と、一部の資格は「養成課程を受講し修了試験に合格する方法」の2つがありますよね。いま、すべての資格の無線従事者国家試験は、総務省が指定した試験実施機関である公益財団法人 日本無線協会が行っています!

国家試験を行う機関…というと、ものすごく厳格でハードルが高~いイメージがあるのですが(汗)、「どんな方が試験問題を作るのだろう」とか「一番受験者の多い資格は!?」とか、いろいろお話を伺いたくて、オリンピック選手村もすぐ近くにある、東京都中央区晴海の日本無線協会本部にお邪魔しました!

実は私、2017年にJAIA(日本アマチュア無線機器工業会)とJARL(一般社団法人 日本アマチュア無線連盟)が共同でアマチュア無線のPR動画を作ったときに、ここにお邪魔して、4アマの当日受付試験や合格発表の瞬間をリポートさせていただきました♪ 今回はそれ以来の訪問ということになります。


2017年にJAIAとJARLが共同制作したアマチュア無線PR動画「アマチュア無線をはじめよう ~国家試験編~」の1シーンです。江間忠ビルの1階ロビーで撮影しました♪

日本無線協会が入居する、晴海3丁目の江間忠ビルに到着して、写真撮影の準備をしていると、「Masacoさん、こんにちは!」と、事務局次長の梅田さんと総務部副部長の菅谷さんに声をかけていただきました。菅谷さんにはPR動画の撮影でも大変お世話になりました。

--梅田さん初めまして! 菅谷さんご無沙汰しております!

「まずは日本無線協会のことを簡単にご説明しますので、2階の応接室へどうぞ」

--はい、ありがとうございます。


菅谷さんのご案内で2階の応接室へ向かいます!

日本無線協会のあゆみと業務の概要

応接室で、梅田さんと菅谷さんから、日本無線協会の歴史について教えていただきました。

その昔、無線従事者の国家試験は国(当時の郵政省)が直接行っていました。電話級や電信級といった入門用のアマチュア無線技士資格の国家試験も、春と秋の年2回しか開かれなかった時期があったそうです。

そして、アマチュア無線がブームになりつつあった1981(昭和56)年、「財団法人 無線従事者国家試験センター」が設立! 電話級アマチュア無線技士資格の指定試験機関に指定され、翌1982(昭和57)年からマークシート方式で国家試験をスタートしました。その後、1984(昭和59)年には電信級アマチュア無線技士や特殊無線技士の指定試験機関にもなりました。

1990(平成2)年には名称を「財団法人 日本無線協会」に変更し、財団法人 日本電波協会と統合して無線従事者の養成課程もスタート。さらに第二級アマチュア無線技士(2アマ)や第一級アマチュア無線技士(1アマ)などの指定試験機関になったほか、主任無線従事者の指定講習機関の指定も受けました。そしてついに1995(平成7年)には第一級総合無線通信士など、上級8資格の指定試験機関の指定を受け、すべての無線従事者資格(23資格)の国家試験を行うようになりました。


事務局次長の梅田さん(中央)と総務部副部長の菅谷さん(右)にお話を伺いました

--すべての無線従事者国家試験の実施というと、全部合わせて年間でどれぐらいの回数の試験を行っているのですか?

「地域ごとに異なる日程で開催している第三級アマチュア無線技士(3アマ)、第四級アマチュア無線技士(4アマ)を除けば、通常の年で120回以上です。3アマ・4アマまで含めると、通常の年で200回以上になります」

--凄い回数ですね!!

「日本無線協会はここ東京・晴海の本部のほかに、北海道から沖縄まで全国10か所の支部があり、それぞれで地域を分担しながら実施しています」


日本無線協会は「ハムフェア」や「関西アマチュア無線フェスティバル」でも臨時の3アマ・4アマ国家試験を実施しています(2020年度は中止)。この写真は近畿支部が担当した「関西アマチュア無線フェスティバル」での臨時試験受付風景です

--国家試験だけでなく、養成課程なども行っていらっしゃるのですね。

「はい。特殊無線技士を中心に、航空無線通信士や第四級海上無線通信士など9資格の養成課程を行っています」

--アマチュア無線技士の養成課程は行っていないのでしょうか。

「アマチュア無線技士の養成課程はJARD(一般財団法人 日本アマチュア無線振興協会)や民間会社さんが行っていますので(笑)」

お話を伺うと、日本無線協会で行っている養成課程の中には、受講時間がかなり長いものもあるそうです。例えば第一級陸上特殊無線技士は54時間(8日間)、第四級海上無線通信士は88時間(14日間)、航空無線通信士は100時間(16日間)! どれもプロの資格で、合否がそれぞれの受講生の仕事に直結していますから、受講される皆さんは真剣そのものだそうです。

ちなみに養成課程は、日本無線協会が開講日を決めて受講者を募集する“公募型”のほかに、企業などから「社員のために会議室等で養成課程を開いてほしい」といった“受託型”のものがあるそうです。


日本無線協会が主催する養成課程の授業風景

プロ資格の養成課程は民間企業でも行っていて、受講時間はどこも同じ(法律で規定)ですが、日本無線協会は丁寧で分かりやすく、全国で受講できることを特徴にしています。

また、養成講習以外では海上、航空、陸上の「主任無線従事者講習」や、第二級総合無線通信士、第三級海上無線通信士、第四級海上無線通信士の「認定講習課程」、船舶無線局の「認定新規訓練」なども行っているそうです。

「主任無線従事者講習」ですが、プロの無線の世界では無線従事者資格のない人でも、無線局の免許人から選任された“主任無線従事者”の監督下なら一定の無線設備の操作が行え、その代わりに、主任無線従事者は定期的に指定機関で講習を受講することが法律で義務づけられています。この講習は日本無線協会だけが行っているそうです。

また「認定講習課程」は、一定の資格と業務経歴がある人が、上位資格の取得を目指すときに、法律で決められた認定講習課程を受講し修了試験に合格すれば国家試験を受けなくてもその資格を取得できるという制度だそうです。

そして「認定新規訓練」は、義務船舶局(船舶安全法で無線設備の設置を義務づけられたもの)の操作または監督を行う人は、無線従事者資格だけでなく認定新規訓練も修了して「船舶局無線従事者証明」を受けなくてはならないという法律に基づいたもので、日本無線協会および海技大学校が行っています。

「認定新規訓練は、日本の船舶に雇用されている外国人の船員さんなども対象になるので、職員がブルガリアやフィリピン、インドなどに出向いて、英語で訓練を行うこともあるんですよ」

--うわー、知りませんでした。大変なお仕事ですね!

ちなみにこうした養成課程などの講師を務める常勤職員は、本部と10支部の合計で約60人。ほかに立ち会いを行う試験員などが嘱託で約150人在籍しているそうです。

試験室を見学!

お二人からお話を伺ったあとで、建物内にある試験室などを見学させていただきました!

階段を上がって3階へ。このフロアには3つの教室があり、養成課程や国家試験に使われています。この日、3号室では第一級海上特殊無線技士の養成課程が行われていました。講習は7日間連続で合計39時間の授業を受けるそうですが、皆さんは講義をものすごく熱心に聞いて、ノートに要点をまとめているのが印象的でした。


3号室では第一級海上特殊無線技士の養成課程が行われていました

1号室は広い部屋! この日は空いていましたが、アマチュア無線技士の国家試験でもよく使われる部屋だそうです。椅子に座るだけで、ちょっと緊張します!?


広い1号室。国家試験の会場としても使われています。席に座るだけでドキドキ!


答案用紙のマークシートの記入方法が掲示されていました。小・中学生の受験者の中には「初めてマークシートを使う」という人もいるそうです


2017年にお邪魔したとき、4アマ試験開始直前の1号室の様子を撮らせていただきました

ちなみに、いつもの国家試験の場合、この長い机に2名ずつが着席する形式ですが、現在はソーシャルディスタンス確保のために、1つの長机に1名しか座らない配置にしているそうです。そのため試験会場が足りなくなった場合は、近くの別の民間会場を借りて対応しているそうです。

最後に2階の受験申請書の受付窓口へ! ここもソーシャルディスタンスを確保したコーナーになっていました。


2階の受験申請書受付窓口です!


新型コロナウイルスの感染防止のため、徹底した対策が取られていました

もう一度会議室に戻る途中で、私は前から聞いてみたかった質問をお二人にさせていただきました。

--前から知りたかったのですが、国家試験の問題はどなたが作っていらっしゃるのですか?

「日本無線協会には、法規、英語、地理、電気通信術の問題を作る“第一審査部”と、無線工学の問題を作る“第二審査部”という2つの部署があります。試験問題作りは、総務省出身で制度的なことを理解している職員とか、工業系高等学校の校長を退任したり、通信事業者の技術職を経験した職員などが担当しています」

--問題作りにはご苦労も多いのではないでしょうか?

「はい。試験問題作りには高度な専門的知識は当然ですが、経験とノウハウ、水準維持が必要なので、とても大変です。そのため職員が交代する場合も、引き継ぎには1年程度かかる場合があります」

--わあ、ビックリです!

「さらに、作成した問題は更に高度な専門知識をお持ちの外部有識者に事前チェックを依頼しています。上級資格の問題は特に慎重に行っています。また試験問題は印刷や管理まで、すべて日本無線協会の内部で行っています」

--国家試験を行うのは、とても大変なんですね…。

ちなみに2019年度ですが、無線従事者国家試験の受験申請者は43,720名! そのうち資格別で一番多かったのは第一級陸上特殊無線技士で9,561名。2番目が第二級陸上特殊無線技士で6,268名、3番目が第一級陸上無線技術士で6,018名だそうです。

逆に受験申請者が一番少なかったのは、第二級海上無線通信士で38名。次が第一級海上無線通信士で58名。そして国内電信級特殊無線技士の101名と続くそうです。

では「アマチュア無線技士の受験申請者はどれぐらいですか?」と伺ったところ、第四級アマチュア無線技士が3,076名、第三級アマチュア無線技士が2,173名、第二級アマチュア無線技士が984名、第一級アマチュア無線技士が2,069名というデータを教えていただきました。2アマがちょっと少ないのは「JARDのeラーニング養成課程を受講される方が多いと思われます」ということでした♪

そうそう、日本無線協会のホームページでは、3アマ・4アマを除く21資格の過去1年間の国家試験問題と解答をPDF形式で公開しています。これから試験を受ける方は参考になりますよ!

新型コロナウイルスの影響で初めての「試験中止」も…

今度は国家試験の計画立案や受付、実施、合格発表などを担当していらっしゃる、試験部長の森さんと、試験部調査役の松下さんにお話を伺いました。


試験部長の森さん(中央)と試験部調査役の松下さん(右)にお話を伺いました

--今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、4月初めに政府の緊急事態宣言も出ましたので、ご苦労も多かったのではないでしょうか。

「はい。4月4日と5日に、4月期の1アマと2アマの国家試験を全国11か所の会場で行う予定でしたが、総務省と協議をして4月3日の夜に急遽、試験の中止を決めました」

--試験前日の夜に中止決定ですか! それは大変でしたね…。

「その夜は、本部も各支部も受験者への中止連絡に追われました。ご連絡が取れず、またホームページの周知に気付かずに、当日試験会場へ来られた方には、その場で中止のご説明と、返金や次回への振り替えのご案内をしました。試験そのものを全国一律で中止したのは、これまでの歴史の中で初めての出来事でした」。


試験前日の4月3日に急遽、試験中止が決定。ホームページにも「中止のお知らせ」が掲載されました

--受験者の方から苦情はありませんでしたか?

「緊急事態宣言も出たことから“仕方ないね”という方が多かったのですが、中には“この日を目標に、家庭教師をつけて一生懸命勉強してきたのに!”とおっしゃる方もいらっしゃいました」

--ああ、その方のお気持ちも痛いほどわかります・・・

この4月4日以降、日本無線協会は7月期までのすべての国家試験と養成課程を中止に…。そして8月から、ソーシャルディスタンスの確保など、感染防止対策をしっかり取った上で再開したそうです。“就職などで資格取得が絶対必要”という方も多いことから、例えば「7月に中止になった試験を、臨時で11月に実施する」といった対応も行っているそうです。

また日本無線協会の本部では、毎月1回、事前申し込みがいらない3アマ・4アマの当日受付試験(合格発表も当日行う)を実施していましたが、こちらも9月から再開! でもソーシャルディスタンス確保のため定員は80名に縮小して、受験希望者は事前に電話で予約する方式にしたところ、なんと予約開始の初日で満員になってしまったそうです(試験結果の当日発表も当面行わないことになりました)。


当日受付試験では試験後1時間程度で合格者番号の発表(貼りだし)を行っていますが、現在は中止しているそうです

--最近のアマチュア無線技士の国家試験で、かなりお年を召した方や若いお子さんの受験者はいらっしゃいますか?

「はい、1アマや2アマの試験ですが、戦前生まれの80代という受験者もいらっしゃいます。逆に若い方では、小学校5年生と3年生の姉妹が1アマを受験に来られたこともあります」

--え、小学校5年生と3年生で1アマに挑戦ですか!?

「ご両親がハムで、お子さんを熱心に指導されたようです」

--同じ試験室で受験された方はビックリだったでしょうね。

松下さんは「以前の試験立ち会い中に、小学生ぐらいのお子さんから“この漢字は何と読むのですか?”と質問されたことがあります。それも含めての試験なので、教えることはできませんでしたが…」と教えてくださいました。幅広い年齢が受験するアマチュア無線の試験らしいエピソードですね。

伊藤専務理事にお話を伺いました

最後に、日本無線協会の専務理事 兼 事務局長の伊藤さんからもお話をいただきました。


専務理事 兼 事務局長の伊藤さんにお話を伺いました

「アマチュア無線技士の受験者は減少傾向にありましたが、最近はある程度“下げ止まり”になり、これ以上は下がることはないだろうと思います。日本無線協会は公益財団法人という性格上、受験者を増やすためにどんどんPRを行っていくということは難しいのですが、周知広報に努めていきたいと思っています。

ところで、世の中で求められている資格はいろいろありますが、私は無線従事者もその重要な資格の1つだと思っています。例えば皆さんがお使いのスマートフォンも、実は1台1台が無線局です。端末のユーザーにその意識はないかもしれませんが、スマートフォンや携帯電話の仕組みを支えているたくさんの基地局には無線従事者が必要です。一時期、電気通信事業は光ファイバーが中心になりつつありましたが、最近は「5G」の実用化で、また一気に無線が主体になってきました。

“無線従事者”という言葉はちょっと古めかしいのですが、この資格は今後も絶対に必要です。特にこれから主流になる5G、その後の6Gなどの基地局操作には、かなり上位の無線従事者資格が必要になります。移動体通信会社の中には、会社として第一級陸上無線技術士の資格者を増やす取り組みを始めたところもあります。日本無線協会はこれからも、わが国唯一の総合的な無線従事者の育成機関として事業に取り組み、電波利用の健全な発展に寄与したいと思います」。

そうですよね! いつも持ち歩いているスマートフォン、自宅のテレビ(地デジ、4K、8K!)、衛星通信などなど、“どこでも連絡が取れたり、情報が得られたりするシステム”の管理や運用には無線従事者が欠かせません!! 伊藤さん、良いお話をありがとうございました。

そうそう、日本無線協会のホームページにある「電波と無線従事者」コーナーが、無線従事者資格の種類や操作できる内容、役割などを分かりやすく案内していて、とても参考になりますよ!


日本無線協会のホームページに掲載されている「電波と無線従事者」コーナー

公益財団法人 日本無線協会の皆さん、お忙しい中お邪魔させていただき、ありがとうございました。毎年200回を超える無線従事者国家試験を、それぞれの資格の水準を維持しながら継続していくのが、とても大変なことだと感じました。


日本無線協会の皆さん、ありがとうございました!!

お話を伺って、私もいつかは2アマ、1アマ、できればプロの資格もかっこいいなぁ…なんて、ちょっと「資格欲(!?)」が・・・。見学させていただいた試験会場で、皆さんが作った問題に脳内フル回転で答える日が来るという奇跡は起こるのでしょうか・・・?!

なかなか収束しない新型コロナウイルス、そしてオリンピックの延期開催など、いろいろイレギュラーなことが続きますが、どうぞ頑張ってくださいね!

(JH1CBX Masaco)

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次号は 12月15日(火) に公開予定

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