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Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

Masacoの自由帳

第十一回 桜咲く 涙咲く それぞれの春

JH1CBX Masaco

冬の寒さが終わり、新年度が始まる春へ後押しするかのようにピンク色に染まる満開の桜。ただ眺めているだけで、元気になり、心はやわらかい光がさしたように華やかな気持ちになる! 今年も大騒ぎはできないけれど、マスクの下で口元がほころび、何気ない日常の幸せを感じてしまう。日本人はなぜこんなにも桜に心を揺さぶられるのでしょう・・・。


井の頭公園の満開の桜が教えてくれた

上京して3年が過ぎた春、一人暮らしをしていたマンション近くの井の頭公園(編注: 井の頭恩賜公園、東京都三鷹市・武蔵野市)の桜の美しさに、周りも気にせず、ハラハラと涙を流したことがあります。見事に咲いている花。私自身、大きな花を咲かせたい! という希望だけを抱えて故郷から出てきたのに、現実は、なかなかステージに立つことができず、生活に追われる毎日でした。当時は早朝からコーヒーショップで、午後はアパレル関係の販売、夕方から百貨店のお総菜屋さん・・・。またある時期は、広告出版業でのアルバイト。都内のあらゆる出版社へ出来上がった広告原稿の受け渡し、しかも1日に何十件も電車で都内を動き回るのです・・・ かなり原始的ですよね・・・ (笑)。おかげさまで東京の路線図はしっかり頭に入るし歩き回るので健康維持にもなり、一石二鳥でした! 社員にならない? と誘われたこともあるくらい、朝から晩まで力を使い果たし、でも楽しく、充実していて、夢さえもぼんやりしていた数年があります。ボイストレーニングだけは、何とかやり繰りして、通い続けていましたが、この時期は誰とも連絡すら取っていませんでした。歌の活動での嬉しいニュースというお土産を持って帰ることすらできず故郷を遠ざけていたのです。何事も一度エンジンを止めてしまうと、タイヤが順調に回りきるまで、かなり時間がかかってしまいますよね・・・ 歌に対する思いが止まりかけていたあの日、満開の桜が問いかけているようでした。「夢を諦めるの? 何のために上京したの?」。アルバイトをするために家賃やレッスン費を稼ぐためだけに東京へ来たんじゃないのに・・・ 何をしているんだろう・・・ 私。その場から動けず、ただただ・・・ 色んな思いがめぐり、がんばれよ! と背中を押してくれていた故郷の顔が浮かんでいました。


心の花

今日のために力いっぱい咲いている桜に自分自身を重ね合わせ、散っていく潔さも美しく、とてつもなく心が動いたあの日。あの桜に出会わなかったら、私は憧れの東京に住んでいることだけに満足して、本当の気持ちと向き合わず、騙し騙しで、音楽で生きる! というエンジンは止まったままだったでしょうね。夢を諦めるというよりも、何をするにも資金がないと動けない現実を突きつけられた数年間でもありました。上京のための資金は社会人の時に必死で貯めた100万円を握りしめていました。でも家賃や生活道具にすぐに消えました。それと、上京する日の朝に、あれだけ反対していた父から、「誰にも言ったらアカン、お母さんにも内緒やで・・・ お父さんのへそくりやから・・・」と手渡された茶封筒は、50万円と、今読み返しても涙が出てくる励ましの手紙が入っていました。この応援金は、どうしても生活費には使いたくなくて、その後、初めてワンマンライブをした時の費用に充て、両親を招待しました。結局は、バイトで忙しい・・・ は、ただの言い訳で、上京組なら誰もが通る、その日暮らしの生活は当たり前の試練。時間がない! ではなくて時間は作るもの! 「忙しい」という言葉は使うな! 運気が逃げる! と助言されたことがあります。夢にかける熱意がある限り、どんな状況でも生きている限り何とかなる! と強く思わないと生きていけない・・・。本気で向き合った時、その思いや情熱や努力が、いつか誰かに伝わり、拾っていただき、広がっていく世界だと知りました。桜はどんなに寒い冬も時が来るまでじっと根を伸ばし、何があっても揺れ動かない佇まいでいる。絶妙のタイミングで、全力で咲き誇り、散ってゆく、そして若葉は未来への申し送りのようで、その一途な姿こそが、日本人の心や魂に訴えてくるのかなぁと感じます。私たちに人生そのものを教えてくれているかのようです・・・。

あの時、一度失っていた情熱も流した涙も、全ては肥料となり、変わらず信じて応援してくれているあなたと、もっともっと花を咲かせたいと毎年春が来るたびに初心に戻ります。人として、歌を通して、背伸びはせずに、身の丈にあったことをする、コツコツと・・・。出会えた人にほんの少しでも元気をおすそ分けできる身近な存在でありたくて。私の活動や存在があなたにとっての「前向きな明日への伴走者」でいられるならば、最高に嬉しいのです。そのツールは歌であっても、アマチュア無線であっても、ナレーションのお仕事であっても、私がただそこにいるだけであっても、同じ思いです。

世界に笑顔が戻りますように

新年度、新たな門出、満開の桜で賑わうニュースが流れる一方、戦争から逃れるウクライナの人々、重い選択を迫られる国と国、勇気と絶望が交差する先行きの見えないニュースが続き、毎日を不安に過ごしている方を思うと、本当に悲しくて胸が痛みます。一個人でもなにかできることがないのか・・・。一人一人の争いをストップさせる思いが大きな力になり国を動かすんじゃないか・・・ と思ってみたり・・・。なかなか希望の光が見えない中で、無力を感じています。でもある方が、感情は伝播するから、今すぐ何かできなくても個々がまずは近くにいる人と温かい気持ちで接したら、その気持ちを受け取った人がまた別の人にその優しい感情を伝え、また次の人へ・・・ と思いを運ぶことで、少しづつ閉塞な雰囲気を変えられる手助けになる! と言っていました。当たり前に思えることや、簡単な言葉ほど難しいかもしれませんが、「感謝」と「笑顔」でまずは傍にいる人を幸せに、そして自分自身を大事にするその先に、穏やかな日常や平和へ繋がっているんだと信じています。安易な考えかもしれませんが、核兵器を持たない日本だからこそできる何か良い判断や着地点を見つけてほしいです。戦争が今すぐにでも終わることを願う今。同じ空の下で、桜が綺麗とほほ笑んでいることが罪のように思えてしまう今年の春・・・。新年度への期待を膨らませ上京したあの日の思い、そして井の頭公園の桜が今も私を励まし続けてくれる春・・・。



下記、私のCDに入っている歌です。先日、受験生だった少年から、メールが届きました。

「受験がうまくいかず投げ出したかった時、父が車でこの歌をかけてくれ、ずっと聞いていました。自分にとっての応援ソングになりました! 歌に励まされ、最後まであきらめず取り組むことができ希望校へ進学できました。これからはスマホで通学に聞きます。」

お会いしたこともないけれど、歌で繋がり、希望の春が迎えられたこと、何よりもうれしいメッセージに私が勇気をもらいました。ありがとう♪



【あなたとともに咲かせましょう】

♪あなたとともに咲かせましょう 一日精一杯生きて
この足もとに 根をおろして

1
信じた道 この想い 花びらに重ねて
香りいっぱい届くように 歌いつづけたい

あなたとともに歩みましょう 明日も心通うように

ひそかな思い込めながら 春をむかえるまで きっとその時間ときまで

2
向かい風を受けながら 立ち止まるときでも
真心いつも忘れずに 愛にむかいあう

あなたとともに咲かせましょう 微笑みずっと絶やさないで

声をかけあい振り返らず 春をむかえるまで きっとその時間ときまで

Ah 明日へつながってる あふれだす涙は実りを祈っている
空一面咲き誇る桜に 色づく夢乗せて

たくましい根を しなやかな根を すこやかな根を 張ってゆこう
あなたとともに 咲かせましょう

春をむかえるまで きっとその時間ときまで 春をむかえるまで きっとその時間ときまで

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次号は 6月 1日(水) に公開予定

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