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おきらくゴク楽自己くんれん

その34 軽トラモバイルシャックで行く
全都道府県移動運用完成を目指す九州ツアーを敢行

JF3LCH 永井博雄

2024年2月1日掲載

皆さんこんにちは。昨年末トラブルに見舞われた軽トラモバイルシャックも修理ができてから車両の何点か気になる点も直していただき、良好な状態で新しい年を迎えることができました。

12月は仕事がたて込み大変ハードな状況が続き12月30日まで働かせていただきました。その分年明けゆっくりさせてもらおうと1月8日までの長期休暇をいただきましたので、この際思い切ってかねてから企んでいた佐賀県と長崎県での移動運用を行う長距離ツアーを敢行しました。


昨年3月以来の九州上陸を計画

1. 全都道府県移動運用を目指すきっかけ

1992年の開局後これまで都道府県で初めて移動運用を行った日付をまとめて表にしてみました。

開局当初は都道府県を意識することはなく、もっぱら自分のアワード取得を意識して極力奈良県内での運用に注力していましたが、次第に移動運用の深みに入っていくごとに他道府県での運用が増え、最も遠い北海道と沖縄県での移動運用を終えた2020年頃から全都道府県がクリアできそうな気がしてきたので意識して運用の実績のない県での移動運用を増やしていきました。2020年初頭には残り19県となっていましたが2022年4月には11県まで減らしていきました。


各都道府県初運用の記録

昨年1月に7エリア全県をクリアし、3月には4エリア、5月には5エリアと怒涛の勢いでクリアを続け、この勢いに乗って残る6エリア2県(佐賀・長崎)をクリアすべくこのお正月休みのクリアツアー実施を狙っておりました。ちょうど長期間の休暇を得ることができたので一気に決めてしまおうと決意しました。

2. ツアーの目的に移動サービスを加える

長期の休暇が取れたとはいえ毎年の行事がありますのでそれをこなしてからの出発となります。元旦は家族と過ごし1月2日には約30年間続けてきた奈良県山辺郡山添村でのQSOパーティ移動運用を実施して準備を終え、1月3日夜の出発となり5日間のツアーという事になりました。

今回ただ単に佐賀県・長崎県で移動運用をするというのも面白くないので、いつもお世話になっている方々に佐賀県・長崎県での移動運用で需要がありそうな移動地を訊ねてみると複数の方々からリクエストをいただきました。対象の市町で運用できそうな地をネットで調べて運用計画を練っていきました。

大雑把に言うと
・福岡県大野城市、太宰府市
・佐賀県伊万里市
・長崎県平戸市

と4つの市が運用必須の運用地となりました。他にも道中に運用に適した場所と時間が見つかったらそこでも移動運用、という感じで進めて行くことにします。

それにせっかく時間に余裕のあるツアーですので贅沢はできませんが、日頃食べることができない地元の味なども楽しめたらいいなと考えておりました(笑)

3. 長期ツアーに対応する準備

電源の関係では前々回記事に書いたように100Ahのリン酸鉄リチウムイオン電池を使い、ミニセラミックヒーターでモバイルシャック内を暖房し消費する電力は走行時に軽トラのバッテリーから充電をして補うつもりです。これにより数日間の持続的室内環境の維持が可能かの実証実験も兼ねることになります。

前回の走行充電では軽トラバッテリーからの電力を受け入れる理想ダイオードの放熱板がかなりの高温になっていたので、今回は放熱器を大きいものに交換して長期間の充電でも安心して使えるように対応しました。

今回も使用するリチウムイオン電池専用充電器は10A仕様です。従って充電に使う電力は14.4V×10Aで144Wとなります。これはハロゲンヘッドランプのハイビームを使用した時より少し多い電力(60W×2=120W)となりますが、軽トラのオルタネーターは十分に充電に使う電力供給することができるだろうと判断しました。

余裕はあまりないと思われるので、基本的に明るい時間帯のみ走行充電をするようにします。ヘッドライトを点けて走行充電を続けた場合使用する電力が軽トラのオルタネーター(発電機)の発電量を超えてしまう可能性があるからです。その場合、車のバッテリーが走行中にも拘わらずあがってしまうことも考えられるので、そのような縛りを設けることにしました。軽トラには標準よりも容量の大きい鉛バッテリーを付けていますので少々の発電量不足でもあがってしまうことはないとは思いますが、古い車でもありオルタネーターが健康であるという保証はないので念のための対応です。

4. 室内暖房の対策

前回の耐寒車中泊では300Wのセラミックヒーターを使い、上がり過ぎる室内温度に合わせてオンオフを繰り返す不便な使い方を余儀なくされました。また300Wを消費すると100Ahの電池では3時間の運転しかできないので油断するとすぐに電池が空になるため、今回200Wの物を購入し持っていくことにしました。

これは前回使用の300Wの物と比べて価格は2倍程度でしたが運転音が非常に低く快適な室内環境を作ることができそうで期待が膨らみました。それに就寝時は電気毛布(40W)を使い限りある暖房用電力の節電に努めます。


200Wのセラミックファンヒーター

またこれまでAC100Vを得るために使用していた古い300Wの矩形波インバーターではファンヒーターが始動できないことがあり(容量不足?)、また電気毛布の温度調整が効かないなどいろいろ不都合が多かったので、今回は600W正弦波インバーターを使うことにしました。これで安定した暖房環境が得られることになりましたが失う環境もありました(詳細は次号)。


600Wインバーターと10A充電器の走行充電接続

5. 持っていく無線設備

いただいた運用リクエストは全てHF帯での要望ですのでIC-7300MとAH-730に釣り竿バーチカルがあれば事足りるのですが、どのような移動環境になるかわかりませんのでIC-9700とIC-705に高ゲインのモービルホイップアンテナも積み込んでおきます。

無線機用電源としては50Ah・30Ahのリン酸鉄リチウムイオン電池と無線専用電池パックBL-50TXも持っていき万全の電源容量で挑みます。あとはパソコンや筆記具などいつの運用に必要なものも積み込んでおきます。

6. いよいよ全都道府県制覇に出発

1月2日はいつものQSOパーティ移動を終えて3日となりました。朝から荷物の積み込みで家とモバイルシャックを行き来して準備を整えますが、あれもいるこれもいると思いつくままの作業ですから、なかなか準備を進めることができないのはいつもの事であります(汗

今年もお正月の高速道路の休日割引は3日まで実施されず4日の深夜割引(1時から4時)が適用となる時間を見計らって出発予定時間を決めていましたが、よく考えれば高速道路SAで就寝するのなら早く出たとしても全然かまわないことに後になって気が付きました(汗

古い軽トラに重いシャックを載せた状態ですからあまり速度を出せません。乗車姿勢も垂直背面シートですから、休憩は1時間から1時間半ごとに取るようにします。できる限り西に向かい眠たくなったところで就寝するという予定で走っていきました。

そしてとうとう広島県東部の福山あたりで眠気が増してきたので、ちょうどその場のサービスエリアに滑るように入り、車を停めてモバイルシャックに移ります。

この日はそれほど寒くなかったので電気毛布(40W)で暖を取り、普通の毛布を併せて使いくるまりました。4時間くらいの睡眠での電気毛布の使用でしたので100Ahバッテリーはさほど消耗せずにすみました。

7. ツアー2日目


奥に見える大型トラックのアイドリングで目覚めた

いつもながら高速道路の休憩施設での車中泊は大型トラックのエンジン音との戦いです。遮音性能の低い当シャックでは、うるさいエンジン音で浅い眠りしかとることができません。あの大きなエンジンを運転手一人のために何時間もアイドリングし続けて毎日騒音と大量のCO2をまいています。運輸の関係者(行政・事業者)は運転手休憩のための環境改善の対応を改めてほしいとつくづく感じる朝であります。

今日は九州に入ることを最低限の目標として、軽トラックに負担をかける高速道路走行はそこそこに、ゆっくりと一般道を走り関門トンネルを通って九州に入る予定にしました。


この道の駅は人と車でいっぱい

途中山口県に入ったところで高速道路を降り、一般道で西に向かいます。燃料タンクが小さい上に燃費の悪い軽トラに山口県で一番安いとPRしているガソリンスタンドで給油しました。午後となり道の駅があったので休憩に入り今回初めての移動運用をと思いましたが、駐車場はいっぱいで写真の場所しか空きがなく、とても目立つところで人の行き来も沢山あり、さすがにアンテナを立てることは出来ませんでした。他人に迷惑をかけてまで運用しなければならない理由なんて一つもないですからね。

アクティブに移動運用をされている方々もその辺をわきまえて活動されていることと思っております。という事で今回はココまで。続きは次回にしたいと思います、それではまた。

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