アパマンハムのムセンと車
2024年5月15日掲載
連載20回目となります。この原稿を書いている時はゴールデンウィーク真っ盛りです。私の住む神奈川県から都内方向に向かうのは、結構空いていて楽ですが、逆方向(東名高速の下り車線側)は、朝の6時台から混雑が始まります。
実は今朝方の7時台に都内から自宅方向に走ったのですが、すでに東名高速下り車線の渋滞が始まっていました。「ヤラレタっ!」って感じですhi 皆さんのゴールデンウィークはいかがだったでしょうか?
皆さんのGWの計画はいかがでしたか?
この連載のテーマからは少し離れますが、ここ数日間アマチュア無線家を悩ませているのが、デリンジャー現象と呼ばれる太陽活動による通信障害です。まるで太陽からの怒りを受け取ったかのように、HF帯(特にローバンド)での通信が寸断され、遠方とのQSOが途絶えてしまうのです。
今回は、この神秘的な現象について、そのメカニズムから影響、そして今後の予測まで、詳細に解説していきます。余談ですが、私は人生で初めての経験でしたhi
太陽の黒点。活動期にデリンジャー現象は起きやすい
1. デリンジャー現象とは?
デリンジャー現象は、太陽フレアと呼ばれる巨大な爆発によって発生する通信障害です。1935年にアメリカの物理学者ジョン・デリンジャーによって発見され、彼の名前にちなんで名付けられました。
太陽フレアが発生すると、大量のX線や紫外線が放出されます。これらが地球の大気圏を取り巻く電離層に激突し、電離層の構成を大きく変化させます。
ちなみに、電離層とは、高度約50kmから1000kmまでの空間に存在する電気を帯びたプラズマの層です。この層は、普段は鏡のように電波を反射し、地上から遠く離れた場所への通信を可能にします。しかし、デリンジャー現象が発生すると、電離層のD層と呼ばれる部分が急激に電子密度が高まり、電波を吸収してしまうのです。これが、短波通信が途絶えてしまう原因となります。
2. デリンジャー現象のメカニズム
太陽フレアが発生すると、X線や紫外線などの高エネルギー放射線が地球に向かって飛んできます。これらの放射線は、電離層のD層に到達すると、原子や分子を電離し、大量の自由電子を発生させます。自由電子は電波を吸収するため、D層の電子密度が急激に増加すると、短波通信が遮断されてしまうのです。
太陽フレアのイメージ
3. デリンジャー現象の影響
デリンジャー現象は、主に昼間に発生し、数分から数十分間続きます。アマチュア無線以外にも、短波放送、航空通信や船舶通信など、様々な短波通信に影響を与えます。また、電力網の安定稼働にも影響を与える可能性があり、広範囲な停電を引き起こすことも懸念されています。
4. デリンジャー現象の予測
デリンジャー現象は、太陽活動と密接に関連しているため、太陽活動の予測によってある程度予測することができます。太陽活動は、約11年周期で盛衰を繰り返しており、現在(2024年)は太陽活動の活発な時期にあたります。そのため、今後数年間はデリンジャー現象が発生する可能性が高いと考えられています。
こうやって調べて書いてみて、アマチュア無線の国家試験勉強に出てきたことを思い出しましたhi 実際に体験された方、如何でしたか?
国家試験対策で勉強された方もhi
アマチュア無線を楽しむためには、良好な電波環境と十分なシャックスペース(無線設備を設置するスペース)を確保することが重要です。特に、アンテナ設置許可は、快適なアマチュア無線ライフを送るための重要なポイントとなります。
ここでは、アンテナ設置許可を引き出すための具体的なテクニックを、大家さんや不動産管理会社への質問方法も含めて、詳しく解説していきます。
集合住宅に建てられたアンテナ
1. 情報収集と事前準備
地域の条例確認: アンテナ設置に制限や許可が必要となる場合があるため、事前に自治体の条例を確認しましょう。
物件情報の確認: 物件情報にアンテナ設置に関する記載がないか確認し、大家さんや不動産管理会社に事前に質問する準備をします。
周囲の状況把握: 周囲の建物や電線、アンテナ設置場所からの景色などを事前に確認しておきましょう。
電波状況調査: ハムショップやアマチュア無線クラブなどで、電波状況に関する情報収集を行いましょう。
2. 大家さん・不動産管理会社への質問
アンテナ設置可能かどうか: 率直にアンテナ設置の可否を尋ねましょう。
設置場所の制限: 設置場所の制限や条件があるかどうか確認します。
設置方法の制限: 設置方法に関する制限があるかどうか確認します。
許可申請の手順: 許可申請が必要な場合は、具体的な手順を説明してもらいましょう。
過去の設置事例: 過去にアンテナ設置の許可があったかどうか、事例があれば教えてもらいます。
近隣住民への説明: 近隣住民への説明が必要かどうか、必要な場合はどのようにすれば良いか確認します。
ここでいちばん大事なのは、なぜアンテナ建設が必要なのかを、大家さんや不動産管理会社の担当者に理解してもらうことです。この説明が上手くできたために、HFのビームアンテナの許可をもらった人もいますhi
不動産屋さんとも交渉しましょう
3. 許可を引き出すためのテクニック
丁寧なコミュニケーション: 常に丁寧な言葉遣いを心がけ、誠意をもって接しましょう。
専門用語の使用は避ける: 専門用語を使用すると、相手が不安を感じてしまう可能性があります。分かりやすい言葉で説明しましょう。
メリットを強調する: アマチュア無線のメリットを具体的に説明し、設置許可の必要性をアピールしましょう。
対策を提示する: 電波干渉や景観への影響などの懸念事項に対して、具体的な対策を提示しましょう。
許可を得た事例を紹介する: 許可を得た事例があれば、その情報を共有しましょう。
書面による確認: 許可内容を文書化してもらい、トラブル防止に努めましょう。
わかりやすく丁寧に交渉しましょう
4. その他の注意点
無断設置は絶対に避ける: 無断設置はトラブルの元となります。必ず許可を得てから設置しましょう。
周囲への配慮: 設置場所は周囲への影響を最小限に抑える場所を選びましょう。
定期的なメンテナンス: 定期的にアンテナをチェックし、安全性を確保しましょう。
トラブル発生時の対応: 万が一トラブルが発生した場合は、迅速かつ誠実に対応しましょう。
保険の加入: 万が一に備えて保険に加入できるようでしたら加入しましょう。
保険に入れるなら是非入りましょう
5. まとめ
アンテナ設置許可は、アマチュア無線を楽しむための重要なポイントです。事前に情報収集をしっかりと行い、丁寧なコミュニケーションと具体的な対策を提示することで、許可を引き出す可能性を高めることができます。情報収集と事前準備を怠らず、周囲への配慮を忘れずに、アンテナ設置許可を目指しましょう。
昔、アマチュア無線の醍醐味の一つとして、移動中の通信手段というものがありました。携帯電話が普及したのは、約30年前と思いますが、それ以前は、一部のお金持ちと物好きを除いて、移動中の連絡手段はありませんでした。
そんなときのアマチュア無線は、移動中にも連絡が取れる、ということで注目を集めていたものです。その当時に免許を取った方の中には、モービルやハンディで連絡を取るため、という方も多いのではないでしょうか?
現代でもモービル運用を楽しみたいとお考えの方は多いと思います。では、どのようにすればモービル運用が手軽に出来るでしょうか?解説していきたいと思います。
1. 現況
現在の車は無線機を取り付ける場所がないものが多いです。セパレート式の無線機を選んだとしても取り付けに悩みます。取り付けだけではなく、電源の配線やアンテナケーブルの引き込み、アンテナの取り付けにも悩むところだと思います。
2. まずは簡単に取り付けてしまうには?
上記のような現状で、とりあえず簡単に取り付けて運用するには、次のどれかを選択するのが良いと思います。
・V/UHF帯のモービル機を選択する(操作部がセパレートになるものがベスト)。パワーは20Wまで。
モービル機の例。アイコムID-4100(アイコム株式会社Web Siteより)
・V/UHF帯のハンディ機を選択する。スピーカーマイクと電源ケーブルの準備は必須。
ハンディ機の例。アイコムID-52(アイコム株式会社Web Siteより)
ハンディ機を車載するなら必須の電源コードとマイク(アイコム株式会社Web Siteより)
・いっそ潔く、走行中は運用しないと割り切りしてしまうhi
パワーを20Wまでにしたのは、電源をシガーライターから取ることが可能だからです。この程度のパワーなら、車両のヒューズボックスから分岐して取り出す方法も使えます。
例: 株式会社エーモン ミニ平型ヒューズ電源(株式会社エーモンWeb Siteより)
アンテナは簡易的に運用するならマグネット基台一択です
マグネット基台の例。第一電波工業K3000(第一電波工業株式会社Web Siteより)
V/UHF帯はノンラジアルのアンテナを選択しましょう。HF帯ならマグネットシートをお忘れなく。
マグネットアースシートの例。第一電波工業MAT50(第一電波工業株式会社Web Siteより)
ケーブルはドアの隙間にはさんで車外に出すことになります。この状態で恒常的に使うと、ゴムの劣化や雨漏りなどが発生する可能性があります。
3. 無線機選びに注意することは?
V/UHF帯のハンディ機や、20W出力までのFMモービル機であれば、特に問題はありません。室内に取り付けなくても、助手席に置いておくとか、シートに挟んで使うなどを検討してみてください。
取り付けないで助手席にころがしておくと、急ブレーキの時や助手席に人を乗せる場合にジャマになります。そんな時によくやるのがシートに挟むような取り付け方です。この場合、放熱が悪くなる場合がありますので、そこは注意が必要です。
オールモード機をモービルで使う場合、例えばアイコムのIC-705ならば大丈夫ですが、他の10W機(例えばアイコムIC-7300S等の100W機がラインアップにある機種)は、送信機系統が10W機も100W機も同じ構成で、単に出力が出ないように絞っているだけなので、パワーの割に消費電流が多いです。
これらの消費電流の多い機種は、シガーライターやヒューズボックスから電源を取ることが容量的に難しいかと思います。もっとも運用するたびに、無線機用の別のバッテリーを車内に持ち込むようなスタイルであれば、話は別です。
最近流行のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、軽くて容量もあって、電圧もちょうどいい感じです。流行のポータブル電源よりは安いので、車への積み下ろしを気にされないなら、選択肢に入れてもいいと思います。いずれにせよ、エンジンのかけっぱなしは環境面からも安全面からも、好ましいことではないです。
4. まとめ
年々、無線機の取付は難しくなっています。新車だと余計に難しいんじゃないかと思います。キズも付けたくないでしょうし。
個人的には、安い中古車で思いっきりいじってしまうのもアリかと思います。室内に穴を開けてもいいと思いますし、ルーフトップに穴を開けてアンテナを付けるのもアリです。どうせ乗り換える時に下取りに出しても期待はできないでしょうけど、無線車としてヤフオクやメルカリなどで個人売買として売れば、もしかしたら値段が付くかも知れません。
なおご意見、ご感想、ご質問等については、筆者である私宛(jf1kktアットマークgmail.com)へご連絡頂けますと幸いです。
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