新製品インプレッション
351MHz帯デジタル簡易無線用ハンディーロッドアンテナ
SRH350RR (第一電波工業株式会社)
2025年2月3日掲載
ダイヤモンドアンテナのブランドで有名なアンテナメーカーである第一電波工業株式会社より、昨年末にデジタル簡易トランシーバー(以下「デジ簡」)用ハンディアンテナの新製品が発売開始されました。ようやく入手できたので、遅まきながら使ってみることにしました。
10段ロッド式エレメントが採用されたSRH350RR。
イベントのスタッフ間連絡やグループ登山などでもよくデジ簡を使いますが、現地の状況によっては「あともう少し交信距離が欲しい」と感じることがあります。アマチュア無線なら携帯機(5W)→車載機(20W)→車載機(50W)と免許に応じてハイパワー機に入れ替えることができますが、デジ簡の出力は最大でも5W。そのため少しでも飛びを良くしようとすると、利得の良いアンテナに取り替える必要があります。しかもイベント会場や山の上での「ここ一番」の時にさっと取り出して付け替えるには、携帯性が良くてハンディ機にも取り付けやすい形状のアンテナが必要ですが、なかなか良いアンテナに巡り会えず、悩ましい日々を過ごしていました。そんな中、アマチュア無線機のハンディ用としては高利得で定評のロッドアンテナ: RH770(接栓: BNC-P)、SRH770(接栓: SMA-P)と見た目がそっくりなSRH350RRが発表されました。長年愛用しているRH770: 144/430MHz帯高利得2バンドハンディーロッドアンテナでは山での移動運用で飛距離を伸ばすのにたいへん役立ったので、その兄弟アンテナとも呼べるSRH350RRは今後イベント会場や山での救世主になるのでは? と期待が膨らみます。
北海道旭岳山頂でID-51にRH770を使い、遠くの局と余裕で交信できた。
アマチュア無線では自作も含めて様々なアンテナを使うことができますが、デジ簡の場合は使うアンテナも込みで技術基準適合証明(工事設計認証、以下「技適」)を受けています。技適登録されていないアンテナを使用すると電波法違反で罰せられる場合があるので、注意が必要です。メーカー純正アンテナ以外を使う場合は、まずはメーカーの商品ページなどで確認をしておくと安心です。
技術基準適合証明(工事設計認証)登録されているアンテナ一覧。
IC-DPR6の製品ページでは「単一(V) 1/2λ×2段 5.15(dBi)」の記載があるため、SRH350RRは技術基準適合証明対応として使えることがわかります。
SRH350RRについて、メーカーサイトの新製品情報ページでは「このカテゴリーのハンディタイプでは初の最大利得《5.15dBi》をマークしており、ここ一番で飛ばしたい時に他のアンテナを寄せ付けない結果が期待出来ます。」と紹介されており、圧倒的な自信が窺えます。実際に公開されているスペックは下記の通りでした。
351MHzデジタル簡易無線用ハンディーロッドアンテナRoHS
●価格: 10,780円(税込) 9,800円(税別)
●全長: 約115cm(最大)/ 約24cm(最小)
●重量: 約95g
●周波数: 351MHz帯
●利得: 5.15dBi
●インピーダンス: 50Ω
●接栓: SMAP
●形式: 1/2λ2段ノンラジアル
●空中線型式: 単一型
最短時の長さ比べ。上: SRH350RR(デジ簡用)、下: RH770(アマチュア無線用)
取り付けた時の長さ比較。左: SRH350RR、右: IC-DPR6純正アンテナ
実際にデジ簡のIC-DPR6にSRH350RRを取り付けて、受信した時の様子を比較してみました。
IC-R8600とアンテナの異なるIC-DPR6で受信比較。
左: 標準アンテナ、右: SRH350RRをつけたIC-DPR6。
標準付属アンテナをつけたIC-DPR6では電波状態表示が「弱」を示した弱い信号も、ディスコーンアンテナに接続したIC-R8600はもちろん、SRH350RRをつけたIC-DPR6は電波状態表示「強」で受信することがわかりました。やはりSRH350RRは「ここ一番の時に頼りになる」アンテナであることがわかりました。今後デジ簡を運用する際には必ず持って行くべきアンテナだと実感しました。
動き回る仕事では周囲に危険がなく動きのじゃまにならない長さのアンテナが望ましいので、通常は付属品などの短いアンテナを使っていますが、「ここ一番」の時には付け替えて運用できるように、今後の移動時にはSRH350RRも持参したいと思います。
またグループで運用する場合は、動き回る情報発信担当者は通常アンテナ、本部での情報収集担当者はSMA型ハンディ用基台にSRH350RRを取り付けて基地局として活用すると、より安定してSRH350RRを活用できると感じました。
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