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日本初の10.1GHz帯D-STARレピータ局が開設

2025年2月17日掲載

2025年2月5日、大阪市平野区に日本初の10.1GHz帯D-STAR(DVモード)レピータ局が開設された。管理団体関係者から提供された写真と共に紹介していこう。


大阪市平野区加美南にあるアイコム株式会社の本社屋上には、ひときわ目立つ巨大なアンテナタワーが2本設置され、HFからSHF帯までさまざまなアンテナが取り付けられている。


写真左奥がアイコム株式会社の本社(大阪市平野区加美南)。JR3VEレピータはこの屋上に設置されている。右手前はアイコム加美事業所の建物(大阪市平野区加美鞍作)

この屋上に430/1200/2400MHz帯のアナログFMレピータ局「JR3VE」が設置されているほか、約80m離れたアイコム加美事業所(大阪市平野区加美鞍作)には430MHz帯(DVモード)/1200MHz帯(DV/DDモード)のD-STARレピータ局「JP3YHH」が設置され、いずれも24時間運用を行い、近隣のアマチュア無線家が盛んに利用している。


アイコム本社屋上に従来から設置されている430/1200/2400MHz帯FMアナログレピータ局「JR3VE」の無線設備。430MHz帯のレピータ装置(ID-RP4010V)と1200MHz帯のレピータ装置(ID-RP1200VD)はメーカー出荷時の設定でアナログまたはデジタルに対応

このほど、アイコム本社屋上に設置されているJR3VEに、日本初となる10.1GHz帯のD-STAR(DVモード)のレピータ設備が増設され、2月5日にインターネット接続で正式運用を開始した。

10GHz(10.1GHz帯/10.4GHz帯)のアマチュアバンドは、2023年夏にアイコムが世界で初めて144/430/1200/2400/5600MHzと10GHz(トランスバーター CX-10Gの接続が必要)をD-STARを含むオールモードでカバーするトランシーバー「IC-905」と「IC-905XG(CX-10G付属)」の発売を始めてから、運用者が増加している今注目の周波数帯だ。しかしこれまでD-STARレピータは1局も開設されていなかった。


2023年夏に発売が開始されたIC-905。トランスバーターのCX-10G(写真上部)を取り付けることで10.1GHz帯および10.4GHz帯の運用も可能になる

そこでJR3VEレピータ管理団体では、同局に10.1GHz帯のD-STARレピータを増設することを計画。日本のアマチュア無線レピータ局の免許人であるJARL(一般社団法人 日本アマチュア無線連盟)と協議を重ね、2024年12月にJARLから10.1GHz帯を含む「D-STARレピータ局の開設・増設等の募集」が出るとすぐに応募、JARLによる審査と免許手続きを経て、このほど運用が始まった。


2024年12月、JARLから10.1GHz帯D-STARレピータ局の募集が行われた(赤丸部分)

管理団体の関係者によると、JR3VEに増設された10.1GHz帯D-STARレピータの詳細は次のとおり。

●レピータ設備
・局名称: 平野2(識別子「JR3VE A」)
・運用周波数: ダウンリンク 10.2451GHz / アップリンク 10.1751GHz
・無線機: ID-RP1200VD(改造機)+CX-10G(改造機)
・無線機の終段管名称・個数: HMC952A×1
・無線機の終段管電圧・定格出力: 6.0V 0.5W

●空中線
・型式: 単一型(自作)
・地上高: 約30m

10.1GHz帯のD-STARレピータ装置は市販されていない。そのためJR3VE管理団体ではIC-905用の10GHzトランスバーター「CX-10G」を改造し、IFを2400MHzから1200MHzに変更。これに改造を施した1200MHz帯D-STARレピータ装置「ID-RP1200VD」を接続することで10.1GHz帯に対応させた。


改造によって10.1GHz帯に対応したD-STARレピータ装置

送受信に使うアンテナは無指向性だが、市販品ではなく管理団体による自作品だという。これは「アイコム本社の屋上には、以前からアイコムの社団局で使っているIC-905XG用のアンテナ(パラボラを含む)が設置され、本社1階ショールームからIC-905XGのコントローラーで運用を行っていました。そのため“屋上からの10GHzの伝搬範囲”は知っていたのですが、市販の単一型アンテナを使ったときの伝搬範囲には満足できず、いろいろと試行錯誤の結果、自作することにしました」という経緯によるものだ。


以前からアイコム本社屋上に設置されているIC-905XG用のRFデッキとアンテナ(レピータ局のアンテナは別途設置)

また、レピータ局の開設時はエリア(電波到達範囲)の調査が必要だが、関係者は「10GHzは反射や回折など、さまざまな伝搬が考慮されるため、IC-905XGを所持している管理団体関係者を中心に、苦心しながらエリア調査を重ねました」と振り返っている。

さまざまな苦労と工夫を経て開局した日本初の10.1GHz帯D-STARレピータ。気になる利用状況だが「管理団体が予想していた以上のアクセス数があります」という。

「“10.1GHz帯に対応した無線機は持っていなくても、地元のD-STARレピータ局経由でゲート越えをすれば、10.1GHz帯のレピータにアクセスできる”という点が人気で、呼ぶ局が多いですね。中には画像交換を楽しむ局もいらっしゃるようです。またエリア内(山かけ)では、夕方から夜にかけて出てくる局が多い印象です」と述べていた。


予想を超える賑わいを見せている日本初の10.1GHz帯D-STARレピータ局。夜にはIC-905XGで画像交換を楽しむ局もみられたという(利用者からの提供写真)

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