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第十一回 ハンディー機のアンテナSWRと送受信の相関を検証 (その3)


Dr. FB

ハンディー機のアンテナシリーズのその3、今回が最終回となりました。シリーズその1では、ハンディー機に取り付けたアンテナのSWRの測定方法を説明しました。その2では台湾で購入した三種類のアンテナのSWRを自作のジグを使って実際に測定しました。そして今回のシリーズその3最終回ではどのアンテナを取り付けたときが一番よく飛ぶか、またよく受信できるかを電測の結果を用いて検証します。

シリーズ(その1) ハンディー機のSWR測定方法 https://www.fbnews.jp/202002/trivia/
シリーズ(その2) 市販のアンテナのSWR測定 https://www.fbnews.jp/202003/trivia/
シリーズ(最終回) 電測によるアンテナのパフォーマンス比較 今回


電測実験の様子(イメージ)

1. 電測の準備

図1、図2に示すような構成で電測(電波強度測定)を行いました。フレキシブルアンテナを含む4種類の被測定アンテナをそれぞれID-51に取り付け、0.1W(SLO)のパワーで送信します。この4種類のアンテナは、シリーズその2で紹介したアンテナです。電測における送信は、電波法を順守して行いました。

スペクトラムアナライザー(以下スペアナ)で測定する受信点の信号強度の単位はdBmです。その結果を表したグラフの目盛りもdBm表示となっていますが、ここでは絶対値は重要ではなく、4本のアンテナの比較ですので測定値は単に比較値として捉えています。文末には、測定結果のまとめとしてそれぞれ144MHz、430MHzアンテナのSWR特性、アンテナの輻射電力、受信点での信号強度を比較したデータを掲載し、それぞれの結果を検証しました。

2. 被測定アンテナを送信アンテナとして使用したときの性能測定(電測1)

電測1は、購入したアンテナを送信アンテナとして使った場合の各アンテナの飛び具合を比較したものです。飛び具合の測定は、受信点の電界強度を見ます。電界強度の強い信号をよいアンテナと判断します。よって受信側のアンテナは変更せず、送信側のアンテナをそれぞれ取り替えて行いました。


図1 市販のアンテナを送信アンテナとしたときの測定

3. 被測定アンテナを受信アンテナとして使用したときの性能測定(電測2)

電測2は、今回台湾で購入したハンディー機用のアンテナでも受信に差が出るのかを確かめるものです。送信電波を図2のように4種類の被測定アンテナを通して受信の信号強度を測定します。このとき送信側のアンテナは変更せず、受信のアンテナを取り替えて行いました。


図2 市販のアンテナを受信アンテナとしたときの測定

4. 測定のまとめ

測定したアンテナはVHF/UHFハンディー機用のデュアルバンドアンテナです。電測1、電測2の結果をそれぞれ144MHzと430MHzのデータとして縦に並べて比較しました。左の列が144MHz、右の列が430MHzです。上から順番にSWR特性、送信アンテナ特性、受信アンテナ特性となっており、データを縦に見るとSWRや周波数からそのアンテナの飛び具合や受信アンテナとしての性能を見ることができます。


左: 図3(a) VHFアンテナのSWR測定、右: 図4(a) UHFアンテナのSWR測定


左: 図3(b) 電測1の結果、右:図4(b) 電測1の結果


左: 図3(c) 電測2の結果、右:図4(c) 電測2の結果

(1) 144MHzのアンテナ測定結果

測定したアンテナは、144/430MHzハンディー機トランシーバー用でしたので、測定もハンディー機を用いて測定を行いました。

左の列の図3(a)~図3(c)を検証します。図3(a)のグラフからSWRの値は、144MHzでは測定した4種類のどのアンテナもSWR値は思うような低い値ではありませんでした。

144MHzのSWRは、フレキシブルアンテナ以外ではバンド内でも5~6もあります。HF帯の無線機であれば3以上は、アンテナチューナーで引き込めないほど高いSWR値です。そのアンテナをID-51に取り付けて送信すると受信点の電界強度は、図3(b)のようになり、周波数による電界強度の差はたいへん大きいことが分かります。また、フレキシブルアンテナ以外のアンテナでは、145MHz付近でいずれのアンテナも信号強度が低下する点があるのがわかります。Dr. FBも今回のこの電測でこういった事実をはじめて知りました。

ID-51の筐体とアンテナの共振点が最悪になる周波数が存在するのだと思いますが、それ以上の検証は今回の電測ではできていません。気になる興味ある結果です。参考ですが、送信時、送信側のトランシーバーを手で握ると、受信側の電界強度のディップ点(低下した点)が500kHzぐらいずれました。人体がアースに影響を及ぼしていることが分かります。

被測定アンテナを受信側に使ったときの結果が図3(c)です。受信の信号強度の差は、図3(a)のSWRのグラフと相関が取れているようにも見えます。要は、SWRのよいアンテナは受信でもよい結果をもたらしていると分かります。1/4λアンテナのアースは無線機のシャーシとなるため、面積の小さいシャーシでは十分アースが取れていないことが原因のようです。

(2) 430MHzのアンテナ測定結果

今回準備した144/430MHzデュアルバンドアンテナは、430MHz帯は、1/2λの構成となっているため、無線機のアースはSWRにさほど影響しません。図4(a)~図4(c)の三つのグラフがそれらを顕著に表しています。アンテナによって個体差はありますが、周波数によってSWRが大きく異なるとか、送信輻射や受信信号強度に大きく影響を与えることは、今回の電測からは見ることができません。430MHz帯は、1/2λの構成を用いたアンテナであるためアースの影響を受けていないと想像しています。

もう少し詳しく見てみましょう。赤色のグラフで示したNA-771のアンテナは、図4(a)から分かりますようにSWR特性がバンド内でほぼ1近くを示しています。このアンテナは送信にも受信にもよい影響を与えていることが図4(b)、図4(c)からも分かります。この電測から分かることは、430MHz帯は、バンド内でほぼ均一の特性を持っています。

送信では、フレキシブルアンテナとその他市販のアンテナとの信号強度の差は5dB程度あることが図4(b)より分かります。フレキシブルアンテナを使い433.00MHzで送信した時の受信点の信号強度は-40dBmでした。フレキシブルアンテナの代わりにNA-771を接続して送信すると受信点の信号強度は-35dBmとなり、アンテナを交換することで信号強度は5dB強くなりました。5dBの差は、通信距離にしてどれくらいかは今回の電測では確かめていません。また機会があれば実測で確かめたいと思っています。

図4(c)より、NA-771を受信に使うと他のアンテナで受信した時より信号強度の差が5dBほどあることが分かります。実際、フレキシブルアンテナで弱いD-STARの信号を受信したとき、信号がケロケロ音となりうまく受信できない場合でも、このNA-771のアンテナに取り換えるとケロケロ音がなくなり、きれいな受信ができました。

5. まとめ

台湾で購入した3本の144/430MHzのアンテナをこのような形で検証しましたが、一言でいうなら144MHzのアンテナとして使うときは、性能はあまり期待できません。むしろ付属のフレキシブルアンテナはよく貢献していることが分かります。また、144MHzの電測時にハンディー機を手で握ると受信感度がよくなったり、相手に届く信号が強くなったりする現象を確認しています。

反対に430MHz帯ではSWR値、受信、送信の電測結果はどれもよい結果を表しており、やはり1/2λのアンテナはアース(グランド)の影響を受けないとする理論に合致するものだと思っています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に猛威を振るっており大変な状況となっています。お亡くなりになられた方々に謹んでお悔み申し上げます。また罹患された方々には心よりお見舞い申し上げます。今般、この新型コロナウイルス感染症の拡大防止でお仕事にも行けず、外出も制限されているなかでこの記事を読んでいただきありがとうございます。筆者Dr. FBも日本のみならず世界各国でこの疫病が一日でも早く終息し、世の中の混乱が収まり、自由気ままに皆さんと一緒に行動できることを祈念しております。

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