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第四回 50Ω不平衡ってなんのこと


Dr. FB

1.カタログのアンテナ端子のスペックを見てみよう

無線機のカタログや取扱説明書にはスペック(仕様)が掲載されています。スペックを見ると、その無線機の受信感度や選択度などが分かります。ところが、いつ見ても同じ記載のスペックが何点かあります。例えば、電源電圧であるとかアンテナ端子のスペックです。

図1は、無線機のカタログに記載されているスペックです。赤の破線で囲ったスペックを見てみましょう。アンテナインピーダンスの項目には、「50Ω(不平衡)」の記述があります。インピーダンス50Ωは、アマチュア無線の国家試験にも出題されるのでなんとなく分かりますが、この「不平衡」とは何のことかよく分かりません。この記述は他社のトランシーバーでも同じような記述です。


図1 IC-7300のスペック(メーカーのカタログより抜粋)

2.平衡と不平衡

50Ω(不平衡)の意味は、簡単にいうと入出力はインピーダンス50Ω、アンテナの出力の一線はGNDと共通ということを意味します。つまり、同軸ケーブルを直接接続する電気回路になっているということです。

図2の平衡回路を見てください。信号源から出た信号は赤色と青色の二本のケーブルで信号の伝送を行っています。行きと帰りの二線に流れる電流は両方ともシールド線で覆われています。シールド線は伝送路の二線を外部ノイズから守っています。伝送回路に流れる電流をそれぞれ同じにしようとする回路を平衡回路、平衡接続といいます。

それに反して同じように信号を伝送するのですが、二線のうちの一方をGNDとしても使う回路を不平衡回路、不平衡接続といいます。不平衡回路でも信号を流すには二線が必要ですが、一線はGNDと共通になっているため、微妙に行きと帰りの電流が異なり、信号の歪みの原因となります。


図2 平衡・不平衡接続の例

我々の身近な設備として図3に三つの例を挙げました。
(1) 定電圧電源と無線機との赤黒DC電源ケーブルの接続 (不平衡接続)
(2) 今は見なくなったはしごフィーダーによるダイポールへの給電 (平衡接続)
(3) 一般的に使われている同軸ケーブルによるダイポールへの給電 (不平衡接続)


図3 アンテナにおける平衡・不平衡接続

3.アンテナにおける不平衡接続

電気回路は二本のケーブルを使い信号を伝えることは先に説明しました。アンテナも同様です。無線機のアンテナコネクタに同軸ケーブルを接続し、図4のようにその伝送路の末端をアンテナに接続します。芯線を周りの網線で巻くように覆っています。この網線は電磁シールドの役目をしていますが、この電磁シールドの網線はGNDの役目もしていますが、電流も流れます。


図4 5D2Vの芯線と網線

不平衡接続は、この二線のうちGNDを基準(ZERO電位)として信号を伝送しているため、外部からノイズの影響を受けると芯線の部分には影響を与えなかったとしても、基準となるGNDの電位が変動するので、結果的にはアンテナに供給される信号も変動することになります。つまり、芯線を流れる電流と網線を流れる電流とは同一ではないため、アンテナから放射される電波の指向性や効率に影響を与えるといわれています。さらには、網線部にも電流が流れることでコモンモードノイズやインターフェアという厄介な問題も考慮しなければなりません。


左:図5a 同軸ケーブルによる伝送  右:図5b 伝送路とアンテナ負荷

4.アンテナにおける平衡接続

図3に描いた平行二線フィーダーによるダイポールアンテナです。平行二線フィーダーはしごフィーダーとも呼ばれています。同軸ケーブルを使ったほうが簡単にアンテナを設置することができることから最近は見かけなくなりました。無線機と整合器までの間は、同軸ケーブルで接続したとして、整合器以降は平行二線型の伝送路でこの部分は平衡接続です。つまり二線には同じ電流が流れます。そのためからフィーダーからアンテナエレメントにも左右同じように電流が供給されることから指向特性もバランを入れない同軸ケーブルの給電と比べて優れているといえます。

5.アンテナインピーダンス 50Ω(不平衡)

無線機のアンテナコネクタの出力は50Ω(不平衡)となっていますので、このコネクターのすぐ後ろに平衡型の伝送路を接続するには、不平衡-平衡の変換回路が必要です。先に記載した図5では同軸ケーブルの末端にダイポールを直接接続した形となっていますが、ここにもほんとうなら同軸ケーブルの不平衡とダイポールの平衡のマッチングを取るためにもバランの挿入が必要です。

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