ものづくりやろう!
今回も私の3Dプリンタ奮闘記について紹介させていただきます。
3Dプリンタを4月27日に購入しましたので、既に2か月以上経過しています。その間、3次元CADを使って設計の真似事をしたり、設計したものをプリントしたりして過ごして来ましたが、実用になるようなものはほとんど設計できていません。設計できるスキルが無いと言ったほうが正確かもしれません。ただ、今までシャーシ加工等、機械的な工作に苦労することが多かったので、はやく3次元CADをマスターして3Dプリンタでオリジナルケースが自由につくれるようになりたいと思っています。
奇抜なケースをもとめているのではないのですが、私が3次元CADで図面に落としてみると、長方形の板に丸い穴や四角い穴が付いたなんともオーソドックスな(味気の無いと言ったほうが正確です)ケースしか書けません。「タカチのケースのほうがカッコいいじゃん」と思います。それでいいのかもしれませんが、我ながら下手くそな物ばかりです。自作ですからケースに凝る必要は無いとは思いながらも、自分の作ったものを毎日見ていると、「もっとかっこいいケースにしたいな」と思うことがままあります。その代表例がubitxのケースです(図1はubitx v6で最新のキットです)。
ubitxはHF SIGNALS社の販売しているHF帯(3-30MHz)の出力5W、オールバンドSSB,CWのトランシーバキットです。3年前にubitx(確かv4「バージョン4」だったと思いますが)をインドから取り寄せました。キットとは言ってもほぼ完成品で多少の結線を行う事ですぐ完成しました。今のubitx v6「バージョン6」はケースが別売りで購入できるのではないかと思いますが、バージョン4では購入者が自分で適当な箱を見つけてケースにしていました。かっこいいケースに入れて、できればJARDの保証認定を出したいと思ったこともありましたが、おせんべいの入ってた金属ケースに入れていましたが、見た目がよくなかったのでベニヤ板の上に乗せ換えて、それからずっとこの板の上に乗せたまま「サブのサブ」の受信機として使用してきました。
図1 ubitx v6(basic kit)
(https://www.hfsignals.com/index.php/ubitx-v6-buy-the-basic-kit/)
結局今回も自分の設計したものではなく、他の人が設計された物をプリントするだけの内容になってしまいました。
ubitxのシャーシを自分で作ろうと意気込んだものの、
・部品をどのように配置しようか?
・はめあいはどれくらいとればいいのか?
・プリントする時に空中に浮いたような部品になるけどプリントできるのだろうか?
等々疑問が湧いてくることばかりです。そこで、もし先人が作られたubitxのケースがあるのならばと物色開始です。
前回「STL finder」というサイトでパドルを見つけましたので、再度このサイトで検索をかけました。ヒットしたケースの中で気になったケースがありましたのでクリックすると、「MakerBot Thingiverse」というサイトに案内されました。データをダウンロードするとなかなかいいものです。「私が下手な設計するよりも、公開されているもののほうが良さげじゃない」と、もはや自分で設計する気持ちはゼロ状態になり、ダウンロードしたデータを3Dプリントすることにしました。設計者はDU2RKさんとのこと。感謝、感謝です。全部で18個のファイルがありました。18個全部が必要なのではなく、その中から必要なファイルを自分でチョイスしなければなりません。
なお、同じページに、LEDでバックライトを付けられるように設計されたフロント面(図3)や、拡張ディスプレイを付けるためのディスプレイスタンド(図4)なども紹介されていました。私も一時、拡張ディスプレイを付けようとしていましたので非常に興味深く見ました。ただ、今回はバックライトや拡張ディスプレイが必要ありませんので、基本的とおぼしきファイルをダウンロードしました。
図2 MakerBot Thingiverse(「ubitx」の検索結果)
図3 LEDバックライト点灯用パーツ
図4 拡張ディスプレイスタンド用パーツ
3Dプリンタの部品を順番にプリントしていきました。ギャップの調整後にプリントを開始すれば、あとは待つだけでした。
実際にプリントしたものを図5に示します。
図5-1 プリントしたパーツ
図5-2 プリントしたパーツと部位名
今回は前回プリントしたパドルに比べてサイズが大きい物が多くあり、プリントにかなり時間がかかりました。参考までに印刷時間を記載します。
部品のプリントだけで少なくとも56時間以上は使っています。ケース上面に表示される印刷時間の計測データをなくしてしまいましたが、18時間経過まではおぼえています。いずれも土曜日、日曜日に在宅時に集中してプリントしました。知り合いの学生さんに聞くと、「プリントのスイッチを押してそのまま学校に行きます。」との事ですが、私は見ていないと心配ですので時々見に行きました。長時間かかるとはいえ、きれいなケースが徐々にできてくるのを見るのは楽しく、また自分で加工しているよりは楽ですね。
ちなみに、おおざっぱに3Dプリンタ用フィラメントの重さを推定しましたところ、このケースをプリントするのに400gも使っていません。フィラメントは購入時金額が1kg約2300円程度でしたので、400gで900円程度でしょうか。資材の費用だけ考えれば安価なのかもしれません(3Dプリンタの費用と時間は換算していませんが)。
プリントを終えてもすぐに組み立てに入ることができません。造形物を支えるために本来プリントされない部分にサポート材が自動的に挿入されるので、これを除去する必要があります。
サポート材は比較的取り外しやすいように造形されているそうですが、結構苦労しました。例えば、図6はケース上面ですが、角が丸くなるようにアールをいれてありますが、造形上はサポート材が自動的に入ります。これをルーターやペンチで取り除きます。わたしはカッターで取り除きました(図7)。取り除きの処理が不完全だと図8のように残っています。
図6 プリント直後(サポート材がついた状態)
図7 サポート材除去作業
図8 サポート材残存状態
サポート材除去作業はなかなか面倒です。さらに私はケース下部のサポート材を取り除く際に力が入りすぎて、ボルトが入る支柱を折ってしまいました(それも4本あるうちの2本も折ってしまいました。ただ、接着剤で接着できる部位でしたので大事にいたりませんでしたが)。
また、図9に示しましたボリュームの支持板もサポート材がべったりとついておりましたので、そのサポート材を外しましたが、全体の3分の1以上がサポート材になっていました。サポート材は捨てるしかありませんので少しもったいない気がしました。3次元CADで設計し、プリントの方向によりサポート材の量が変わってきますので、十分プリント方向を考えてプリントしていきたいと思います。
図9 ボリューム支持板のサポート材
上: プリントしたボリューム支持板(サポート材除去前)
左下: ボリューム支持板(部品) 右下: サポート材(部品より少し小さいゴミです)
サポート材を除去していよいよ組み立てる事ができます。
各部品やモジュールをケースに実装していきました(図10)。はんだ付けを終え、動作テストまで来ました。ロータリエンコーダのツマミを付けましたが、どうも滑りが悪いので前面パネルとの接触部分と軸穴を削っていましたら、削りすぎてスカスカになってしまいました。2時間44分かけてプリントするのは後日にして、今は手持ちの黒のツマミを付けることにしました(図11)。
さて、このubitxは保証認定をうけていませんのでずっと受信機として動かしてきました。今後も受信機として動かしていきますので、送信にかかわるスイッチやコネクタ(マイク端子、CW用キー端子)は接続・配線していません。しかし、せっかく新しい服を着せましたので、可能であればいつか保証申請してみたいと思います。チェックの結果受信もOK、マイシャックの以前に置いてあった場所よりは少しいい席に受信機の場所を確保して、そこに置くことにしました(図12)。
図10 組み立て途中
図11 ubitx-v4:前面
図12 ubitx-v4:運用中
3Dプリンタで自分だけのケースが作れます。たのしいですね。
でも、私はまだ3次元CADを完全にマスターしていません。もう少し頑張ってなんでもつくれるようになりたいと思います。それまでは、どなたかの作った類似品をつかわせていただきます。
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