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海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その112 YLコンベンションでのスヴァールバル諸島など 1998年(2)

JA3AER 荒川泰蔵

YLコンベンションでのスヴァールバル諸島など

今回は1998年のヨーロッパです。1991年からスタートした国際YLミーティングが、この年はノルウェーのYL3名が主催して、北極圏のノルウェー領スヴァールバル諸島で、YLコンベンションとして開かれ、日本からもJR3MVF三好京子さんをはじめ、多くのYLさん達が参加されたようで、数名の方々からレポートを頂きました。今回はそのスヴァールバル諸島から紹介します。尚、今月の「あの人は今(第37回)」は、7M1HDU大泉早智子さんの紹介です。

1998年 (スヴァールバル諸島 JW0YL, JW/JA5GSG, JW/7K1OUO, JW/7M1HDU, JW/JR3MVF)

JA5GSG大村育子さんは、1998年の夏に開かれたスヴァールバル極地YL'98コンベンション(Svalbard Polar YL'98 Convention)に参加、14MHz, SSBでJW0YLを運用し、23局とQSO出来たとアンケートを寄せてくれた。「北欧へは10人のグループで出かけましたが、やはりハイライトはSvalbard島での短い滞在でした。JWからのOn the airは珍しくないのですが、JW0YLは、やはりSpecial Callsignですし、また主催者のLA6ZH, Mrs. Ruth達は14.190MHzでのOn the airをヨーロッパにもPRされていたようですので、JW/JA5GSGの運用は致しませんでした。OMも含めて110名程の参加者の内、70名程もの運用申込者があり、他にも日中は観光ツアーの参加もあって、運用は8月22日の午前8時33分から9時20分の間で、僅か23分間ほどしか運用できなかったのは残念でした。しかし初体験の私には意義あるものになりました。使用したリグはTS-440Sで、アンテナは33mHの5エレメント八木でした。(1998年10月記)」


写真1. JW0YL大村育子さんの、参加者達のサインを貰ったQSLカード。

そして、四半世紀後の2022年3月に、EAHG(Ehime Award Hunters Group)会報・Vol.376号(2022年3月6日発行)に、大村さんのスヴァールバル諸島の思い出の記事を見つけ、問い合わせますと、当時を思い出して3枚の写真と手記を送ってくれました(写真1~3)。「スヴァールバル国際YLミーティングは1998年8月20日から24日にかけてロングイェールビーンに70名(OMやSWLも含む)が集まりました。滞在中は白夜が続き暗くはなく、日中は少しの光ですが温かく感じました。真夜中でも白夜ですので集合写真が撮れました。LA6RHA, Unni、LA8FOA, Ingrid(当時はSWL)、JW8KT, Inger達の素晴らしい仕事や心遣いは、とても短く感じる5日間でした。それぞれに炭鉱ツアー、氷河を歩く、ヘリコプターでの氷河巡り、私はフィヨルドのカヤックツアーに参加して、とてもエキサイティングな体験をしました。1,000人ほどが住むロングイェールビーンには大学、北極探検博物館、鉱山、マーケットや商店もあり、ランチをしたり、お土産を買うこともできます。またフィヨルドの小さなボートで、ロシア人の入植地にもみんなで出かけ、極地の暮らしの一端を垣間見ることもできました。Unniさんたちが持つ特別シャックから、JW/JA5GSGでのOn the airも素晴らしい思い出です。この時の友ともずっと友達、素晴らしい人生に感謝しています。(2022年3月記)」


写真2. YLフォーラムの主催者達、左からLA8FOA, Ingrid(当時はSWL)、LA6RHA, Unni、LA6ZH, Ruth、JW8KT, Inger、LA9THA, Turid。


写真3. 白夜の真夜中に撮影した、YL達の集合写真。
前から2列目中央が、JA5GSG大村育子さんとJR3MVF三好京子さん。

7K1OUO佐藤いづみさんは、YLコンベンションに参加し、JW0YLの運用をさせて貰ったと。アンケートで知らせてくれた(写真4及び5)。「1998年の夏に開かれたスヴァールバル極地YL'98コンベンション(Svalbard Polar YL'98 Convention)に参加する機会を得て、Svalbardから、特別クラブ局JW0YLを運用させて頂きました。同時にJW/7K1OUOの臨時運用許可証も頂きましたが、これは日本の免許の英文証明をもとに、ノルウェーのYL達が取得してくれました。(1998年9月記)」


写真4. (左)7K1OUO佐藤いづみさんの、コンベンション参加証。
(右)JW/7K1OUO佐藤いづみさんの臨時運用許可証。


写真5. (左)JW0YL佐藤いづみさん達のQSLカード。(右)JW0YLを運用する佐藤いづみさん。

7M1HDU大泉早智子さんも、上記佐藤いづみさんと共にYLコンベンションに参加し、JW0YLの運用の他、JW/7M1HDUを運用させて貰ったと。アンケートで知らせてくれた(写真6及び7)。「1998年の夏に開かれたスヴァールバル極地YL'98コンベンションに参加して、スヴァールバル諸島で、特別クラブ局JW0YLを運用させて頂きました。また日本の免許の英文証明をもとに、JW/7M1HDUの臨時運用許可証も頂き、ロングイェールビーンの灯台での移動運用を経験させて頂きました。ここでは白熊が出没するのでと銃を持たせてくれました。(1998年9月記)」


写真6. (左)7M1HDU大泉早智子さんの、コンベンション参加証。
(右)JW/7M1HDU大泉早智子さんの臨時運用許可証。


写真7. (左)JW0YL大泉早智子さん達のQSLカード。(右)銃を携帯して屋外で移動運用中のJW/7M1HDU大泉早智子さん。

JR3MVF三好京子さんは、第4回国際YLミーティングに当たる、スヴァールバル諸島での大会に参加し、JW0YLとJW/JR3MVFを運用したとアンケートを寄せてくれた(写真8~10)。「1991年からスタートしたinternational YLミーティングの4回目が、1998年8月20日から24日までスヴァールバルでSvalbard Polar YL'98として開催されました。主催者LA6RHA, Unni、LA9THA, Turid、LA6ZH, Ruth達3名の連名で案内状が出され、14ケ国から50名余のYLに加え、OMの参加もあり、賑やかな国際ミーティングになりました。北極圏ですので、私達はトロムソ空港で特別仕様の飛行機に乗り換えて、Longyearbyenの空港に静かに着陸しました。ここは北緯78度です。


写真8. (左)YLミーティングのプログラム表紙。(中央)オプションツアーの写真などが掲載された、
SVALBARDのパンフレット。(右)白熊に注意! の道路標識。

このミーティングの期間中にJW0YLの特別コールサインでの運用と、希望者には各自にJW/JR3MVFのようなコールサインも発給されました。特別局はホテルから歩いて10分弱の海に近い場所にあるスヴァールバルの地元のクラブ局からの運用でした。運用希望者が多く、短い時間の運用でしたが、割り当てられた時間を楽しむ事ができました。私は主催者の一人、友人のLA6RHA, Ms. Unniと430メガでQSOし、QSLカードも発行してもらいました。彼女は既に何度かペディションでJWから運用していて、JW6RHAで運用されました。


写真9. (左)シャックにてJW/JR3MVFを運用する三好京子さん。
(右)JW/JR3MVF三好さんへの、JW6RHA, UnniさんのQSLカード。

スヴァールバルでしか経験できないユニークなオプショナルツアーも組み込まれていました。Boat tripの船上で飲んだ北極の氷で作ったウイスキーの水割りは特別の味がしました。地元のハムの皆さんも参加された白夜でのパーティはとても幻想的で、国際交流の素敵な思い出深い時間でした。(2022年2月記)」


写真10. YLミーティングでのパーティ風景。

1998年 (英国 M/AH0R/P, GB4YOU)

JH6RTO福島誠治氏は、英国のイングランドでM/AH0R/Pを運用したとアンケートを寄せてくれた。「フランスとイングランドに観光に出かけた折に少し運用しました。免許は2種類得ることが出来ました。1通はAH0R(アメリカのエクストラ級)を基にしたクラスA相当のレシプロ許可で、UK領土内でのみ有効です。返還前の香港で合格していた学科試験により、もう1通のクラスBの正規免許を得ました。これにはCEPTの権利が含まれています。コールサインは前者がM/AH0R/Pで、後者がM1DKJです。申請料はいすれも15ポンドでしたが、レシプロは6ヶ月有効、正規免許は1年有効でした。宿泊したホテルはロンドンの町外れでしたが、ロケーションは割といいところでした。週末スカンジナビアコンテスト(CW)にQRPでエントリーし、少しばかりQSOしました。次にイギリスを訪れる時は日程を調整して、CW試験を受験し、クラスAの免許が受けられるようにしたいと思っています。早く日英の相互運用協定が締結されることを願っています。(1998年11月記)」

7K1OUO佐藤いづみさんは、ノルウェーでのYLミーティングに参加の後、英国でガールガイドの友人を訪ね、クラブ局GB4YOUを運用したとアンケートを送ってくれた(写真11及び12)。「ノルウェーで開催されたSvalbard Polar YL'98に参加した後、長い間夢見ていたガスケルさんとお会いすることが出来ました。私は約2年前から少しずつ計画して、この旅の無事と又有意義なものである様にと気を配って参りました。イギリスではガスケルさんのあたたかい歓迎に感激しました。そして思いもしなかったGB4YOUの運用はガールガイド連盟の奥深さに驚きました。日本でもあの様な経験をガールスカウトが出来ればどんなにすばらしいでしょう。


写真11. (左)GB4YOUを運用する7K1OUO佐藤いづみさん。
(右)その運用でQSOしたG0NPAスティーブさんが届けてくれたQSLカード。

1992年9月号のCQ誌で、荒川様の記事に出会ってから6年、私達はまだこの活動をはじめたばかりで、ここまで続けられるとは思いませんでした。荒川様よりイギリスのガールガイドをご紹介いただいたことがきっかけで、私達の漠然としていた夢が現実となったのです。なにしろRowenaに追いつきたい一心で7M1HDUと共に1アマを取得したのですから・・・。ただこれがゴールではなくスタートだと思っています。今後共JL1ZDLメンバーの育成に力を注ぎたいと思っています。(1998年9月記)」


写真12. (左)英国のガイド連盟が発行したThinking Day on The Airのレポートの表紙。
(右)その中の海外の項に、日本ガールスカウト群馬第4団アマチュア無線クラブJL1ZDLの活動が紹介されている。

7M1HDU大泉早智子さんは、7K1OUO佐藤いづみさんと共に英国でGB4YOUを運用したと、手紙と共にアンケートを送ってくれた(写真13~15)。「私は8月19日から9月4日まで、ノルウェーで開催されたYLミーティングに参加した後イギリスに回り、5年程前から荒川さんのご紹介で文通しているイギリスのガイド(日本ではガールスカウトと言います)のG0RKG, Rowenaに会って、オックスフォードでGB4YOUを運用させて頂きました。


写真13. (左)GB4YOUの144MHz用アンテナを上げているところ。(中央)GB4YOUを運用する7M1HDU大泉早智子さん。(右)その運用場所であるオックスフォードのユールバリー国際スカウトキャンプ場のパンフレット。

Rowenaはイギリスのガイド最年少でフルクラスAの試験に合格し、年齢制限を待ってG0RKGを取得して、イギリスのガイドのステーションマネージャーを務めています。私もそれに刺激されて、1アマを取得しました。GB4YOUはステーションマネージャーの監督のもとに、スカウトであれば誰でも運用できる特別局で、青少年の通信や科学技術の体験には大変良い事だと思いました。やはり、スカウト運動の発祥の地イギリスならではの事なのでしょうか。日本でもこのような事が可能になれば素晴らしいと思いました。また交信頂いたG0NPAスティーブさんが、QSLカードをわざわざ届けに来てくれたのには感激しました。この後、ガイド連盟やバックスロッジなどを見学し、ヘリテージセンターで電鍵を見つけました。


写真14. (左)GB4YOUの運用でQSOしたG0NPAスティーブさんが届けてくれたQSLカード。(右)イギリス・ガイドのへリテージセンターで見つけた電鍵に触れる7M1HDU大泉早智子さん。

スカウト運動の創始者ロバート・ベーデン・パウエル卿が書かれた『スカウティング フォア ボーイズ』の中にもモールス符号の記述があり、現代で言う情報通信の分野を重要視されていたことがうかがえます。(1998年10月記)」


写真15. (左)スカウト運動の創始者ロバート・ベーデン・パウエル卿が書かれた『スカウティング フォア ボーイズ』の背表紙と表紙。(右)その中の一節にモールス符号が紹介されている。

「あの人は今 (第37回)」7M1HDU大泉早智子さん

今月号のスヴァールバル諸島と、英国の項で紹介させて頂いた7M1HDU大泉早智子さんから、その後のご活躍と近況をお知らせ頂きましたので紹介させて頂きます(写真16~18)。「1998年のSvalbard Polar YL'98 Conventionへ高校2年生の時に参加した後、翌年1999年にCQ出版社から『楽しくおぼえる1アマ攻略』を、更に2年後の2001年には『楽しくおぼえる3アマ攻略』を、7K1OUO佐藤いづみさんと共著で出版させて頂きました。また、ガールスカウト日本連盟群馬県第4団アマチュア無線クラブ(JL1ZDL)で活動を続けていて、JL1ZDLガールスカウトの「環境」アワードマネージャーを務めています(CQ誌2022年3月号166頁参照)。


写真16. (左)『楽しくおぼえる3アマ攻略』の表紙(2001年)。
(右)「環境」アワードの一つであるアニマルアワード(2022年)。

その後、高崎ニューセンチュリーライオンズクラブの結成に携わり、会長としてライオンズクラブ国際協会の国際協調プログラムとしてのアマチュア無線を推進しています。その一つとして、「ライオンズQSOパーティー」及び「電波によるライオン狩りコンテスト」のアワードマネージャーを務めています。


写真17. (左)「ライオンズQSOパーティー」のアワード(2022年)。
(右)「電波によるライオン狩りコンテスト」のアワード(2020年)。

また、総合的な学習の時間における「スクールコンタクト」の実践事例や規制緩和の必要性などを学会で発表。現在は日本大学の大学院で博士の学位を頂き、高崎商科大学の准教授として奉職しています。アマチュア無線家の皆様にはいつも暖かくご指導いただき大変感謝しています。(2022年2月記)」


写真18. (左)東京ハムフェア2018のIOTAブースにて、左からJA3AER筆者、JA9IFF中嶋康久氏、7M1HDU大泉早智子さん、後ろはJA1FNO須之内建史氏(2018年)。(右)東京ハムフェア2018にて左から7M1HDU大泉早智子さん、JM1DNV大泉寛氏(早智子さんのお父さん)、JR0DLU大堀忠嗣氏(2018年)。

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次号は 9月 1日(木) に公開予定

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