新・エレクトロニクス工作室
2026年1月15日掲載
次に、第43回では直接50Ωで測ってリップルだらけだった、4.5MHzのクリスタルを使った写真3のフィルタです。計算上のインピーダンスは1489.16Ωです。

写真3 4.5MHzのクリスタルで作った2.8kHz幅のフィルタ

測定結果13 接点2でフィルタから見たインピーダンスは1070+j285Ω(計算値は1800Ω)
このようにインピーダンスの相違がありそうです。ノーマライズは測定結果1~12と同じですので、冶具のロスと思われます。
次に考えたのが、1:9のマッチングPADと本機を組み合わせた方法です。つまり本機の入出力は50Ωを想定していますが、このようなケースだけ1:9を入れて450Ωにします。これで接点4を使ったところ、測定結果14のようになりました。このように一応ひどいリップルを減らす事はできました。

測定結果14 1:9のマッチングPAD2段で測定すると1.61k+j334Ω
これは後から追加した測定のため、同じ設定にしませんでした。スパンが半分の10kHzになっています。また、ノーマライズをフィルタに接続するコード同士で行いました(この測定だけです)。
なお計算上は450×9=4050Ωになりますが、表1と同様に測ると1.61k+j334Ωでした。計算とは異なりますが、これはフィルタから見た測定端でのインピーダンスです。従って、この程度の値で使うのが良さそうです。フィルタの計算値とも大きな相違はありません。なお、中央付近に0dBを超えている部分があります。恐らくどこかにインピーダンスのズレがあるのでしょう。
メーカ製ですが、ヘルツ(八光舎)製の写真4の9MHzのクリスタルフィルタです。このフィルタは40年ほど前に購入したものです。私の世代としては、八光舎といえば水晶とかフィルタです。この後で八光舎からヘルツに社名を変更した記憶があります。今では検索すると旗とハチマキのメーカがヒットします。

写真4 ヘルツ(八光舎)製の9MHzクリスタルフィルタ
このフィルタには図2のようなデータが付いていました。何個か購入しているのですが、下4桁の数字が同じですので該当フィルタのデータで間違いないようです。また、カタログでは入出力インピーダンス500Ωとなっています。

図2 ヘルツ(八光舎)製の9MHzクリスタルフィルタに付いていたデータ
図2と比較できるように10kHzスパンにして測ってみました。この結果は450Ωの接点4で測り、測定結果15のようになりました。もちろん条件に相違があるので、全く同じ結果にはなりません。ただ、通過帯域が高い周波数に少し広がったようにも見えます。これはマス目が長方形になっている為だけでは無さそうです。また、この冶具の欠点として入出力で結合するのでしょう。ノイズレベルまで測れていません。
450Ωであればトリファイラ巻きで作った1:9のPADがあります。試しに2個使って写真5のように測ってみました。

写真5 トリファイラ巻きで作った1:9のPADを使って測ってみた
その結果が測定結果16です。スペアナの設定は同じなのですが、もっと低いレベルまで測る事ができました。この方が図2に近いようにも思えます。
このように、ロータリースイッチの操作一発で状態を確認する事ができて便利です。このようなステップ毎の確認では正確な値が解らないと思われるかもしれません。このようなインピーダンスは、それほどシビアなものではありません。このように測っても「このあたりかな」程度だと思います。しかし、このように切り替えながら測るメリットは、使ってみて気が付きました。今までも1:4とか1:9の変換PADを使って測る事はできました。しかし、このような一点だけの場合、それで良いのかが明確に解らないのです。合っている感じ・・・ なのですが、このように前後を見ないと「ここだ」と明確に判断する事ができません。但し、逆にその位置が1:9で良いと決まったのであれば、それに合うPADを使って特性を測る方が低いレベルまで測れます。やはり本機では、ロータリースイッチでの配線が問題になるのでしょう。しかし、それとは異なるメリットもありました。試しにロータリースイッチの中間にアルミ板を置くと、結合するレベルが下がりました。多少ですが低いレベルまで測れました。もう少しコイルの間隔は広くする方が良かったようです。ちなみに現在の間隔は55mmです。
ロータリースイッチは1回路12接点を2個使っています。このタイプはストッパーが無く、1→12も12→1も自在に動けてしまいます。これは良いのですが、この場合だけは不便です。測定に熱中していると、知らない間に左右でズレる事があります。やはり、位置は確認する必要があります。
測定した結果を眺めていてふと考えたのですが、インピーダンスによってリップルが高い方と低い方に現れます。もちろん音質を重視するのであればNGですが、音声の高い方にリップルを持ってくる考えもあります。キャリアから遠い方にリップルを持ってくるという考えです。自作機であれば、そのような考えがあっても良いかもしれません。もちろん良し悪しはあるのでしょう。音質は悪化します。仮にトリファイラ巻きで合わせようとすると、ズレてしまうケースもあるはずです。その場合、どちら側にズレる方が良いのでしょうか、という事です。
いずれにしても、多少は便利になりました。そして、勉強にもなり知識も多少は増えたようです。インピーダンスが1kΩを超えるような場合、もうひと工夫が必要のようです。当初はタップ12を標準で使おうと思っていたのですが、タップ3あたりが無難なのかもしれません。しかし500Ω前後を細かくしたいという考えもありますので、単純ではありません。
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