アパマンハムのムセンと車
2026年6月15日掲載
連載45回目となります。実は昨年、エアコンの冷房が効かなくなってしまい、今シーズンに買い換えようと思っておりました。先日、暑い日が続いたので、あわてて購入したのですが、ここ数日は涼しい日が続いております。こんなんだったら慌てて買わなくても良かったかも? なんて思ってしまいます。まあ、来月になればイヤでも暑くなるでしょうし、早めに手を打てたので良かったと思うことにしますhi

新調したエアコン
しかし台風もやってきましたし、皆さんの台風対策は大丈夫だったでしょうか? では、今回も進めて行きましょう。

台風対策は万全にhi
最近の新型車を見渡すと、ヘッドライトの主流はすっかりLEDになりました。キレのある真っ白な閃光は、夜間の視認性を高めるだけでなく、車のデザインそのものも大きく変えました。「LEDヘッドライトが普及したのは、青色LEDが発明されて白い光が作れるようになったから」という話を耳にしたことがある方も多いでしょう。結論から言うと、その認識は完全に正解です。
今回は、この歴史的背景を振り返りつつ、アマチュア無線家ならではの視点を交えて、LEDヘッドライトのメリット・デメリット、そしてハロゲン車からの「LED化」の注意点について深掘りしてみたいと思います。

青色LEDの例(秋月電子通商Webサイトより)
●なぜ「青」がヘッドライトを変えたのか? (LEDの歴史的背景)
LED(発光ダイオード)の歴史は意外と古く、1960年代には赤色LEDが実用化されていました。しかし、光の三原色(赤・緑・青)のうち、波長が短くエネルギーが高い「青色」だけは、長年実現が極めて困難でした。
転機が訪れたのは1990年代です。日本の研究者たち(赤﨑勇氏、天野浩氏、中村修二氏)によって、窒化ガリウム(GaN)を用いた高輝度青色LEDが発明され、世界は一変します(3氏はこの発明と実用化に貢献したことによって、2014年にノーベル物理学賞を受賞したことは、まだ記憶に新しいですね)。
では、青色LEDからどうやって「ヘッドライトに使える強烈な白色光」を作っているのでしょうか? 実は、赤・緑・青のLEDを混ぜて白を作っているわけではありません。現在主流の白色LEDは、「青色LED」と「黄色に光る蛍光体(YAG蛍光体など)」を組み合わせたものです。青色LEDの光の一部を蛍光体に当てて黄色い光を出させ、元の青い光と混ざることで、人間の目には「白」に見えるという仕組み(補色の関係)を利用しています。
この構造は非常にシンプルで発光効率が高く、自動車のヘッドライトに求められる「大光量」を小さなチップで実現できるようになったのです。2007年、レクサスLS600hに世界初のLEDヘッドライト(ロービーム)が採用されて以降、一気に普及が進みました。

プリウスのヘッドライト(トヨタ自動車Webサイトより)
●LEDヘッドライトのメリットとデメリット
自動車メーカーがこぞってLEDを採用するのには、明確な理由があります。
メリット
デメリット
●ハロゲンからLEDバルブへ交換する際の注意点
古い年式の車や商用車に乗っている方にとって、市販の「後付けLEDバルブ」への交換は魅力的なカスタマイズです。しかし、ポン付けで解決とはいかないのが現実です。アマチュア無線家として必ず押さえておきたいポイントを解説します。

交換用LEDヘッドライトバルブの例(フィリップスWebサイトより)
交換のメリット
・圧倒的な明るさと、シャープな白色光によるドレスアップ効果。
・消費電力低下による電装系への負担軽減。
交換のデメリットと「無線家視点」の注意点
・凶悪な「スイッチングノイズ(EMI)」:
アマチュア無線家にとって最大の敵がこれです。LEDを安定して光らせるためには、12Vを適切な電圧に変換するドライバー(DC-DCコンバータ)が内蔵されています。安価で粗悪なLEDバルブは、このドライバーのスイッチング周波数から発生するノイズ対策が甘く、点灯した瞬間にHF帯からV/UHF帯まで強烈なノイズ(Sメーターが振り切れるレベル)を撒き散らすことがあります。購入時は「ノイズ対策済(CISPR25基準クリアなど)」を謳う国内有名メーカー品を選ぶか、配線にフェライトコアを噛ませるなどの自己防衛が必要です。
・光軸とカットオフライン(車検の壁):
ヘッドライトは、対向車を幻惑しないよう「すれ違い用前照灯(ロービーム)」の照らす範囲(カットオフライン)が厳密に定められています。リフレクター(反射板)は、ハロゲン球のフィラメントの位置を前提に設計されています。LEDチップの位置がフィラメントから1ミリでもズレていると、光が乱反射してグレア(幻惑光)を生み出し、車検に通らないばかりか非常に危険です。チップの配置がハロゲンのフィラメントを忠実に再現している製品を選んでください。
・放熱スペースの確保:
先述の通り、LEDは自己発熱に弱いため、バルブの後部には巨大なヒートシンクや冷却ファンが鎮座しています。ヘッドライト裏のスペースが狭い車の場合、「買ったはいいが、つっかえてカバーが閉まらない」という悲劇がよく起きます。事前に自分の車のクリアランスを採寸しておくことが必須です。
●結び
青色LEDの恩恵をダイレクトに受けている現代のヘッドライト。無線機のファイナル(終段)トランジスタの熱設計やノイズ対策に頭を悩ませるアマチュア無線家にとって、LEDバルブの「放熱機構」や「ドライバー回路」は、非常に親和性の高いメカニズムと言えます。愛車のナイトドライブを快適にするLED化ですが、電波環境と交通安全への配慮を忘れずに、信頼できる製品でスマートなアップデートを楽しんでください。
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