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Report from USA

アイランドチェイシング

K7NHE Bob

日本の皆さん、こんにちは。私の名前はボブといいます。コールサインはK7NHEです。私はアイコムの井上会長とはビジネスを通じて知り合いました。初めてお会いしたのは、1971年の11月、ワシントン州でした。その時、井上電機の販売パートナーとなることを決めました。それ以来、ずっと友だちでい続けています。

その後も井上会長とは親交を深め、アマチュア無線に対する熱い気持ちを分かち合える仲になりました。昔から絶えず無線に情熱を注ぎ、技術を発展させてこられた井上会長を心から尊敬しています。また、アマチュア無線の発展のために、手ごろな価格の無線機を設計、販売されていることも素晴らしいと思います。ハワイにご一緒させていただいた時、現地のハムとアイボールQSOしたのですが、アマチュア無線を通じて様々な方と良い関係を築いておられることがわかりました。


(写真上)サンユアン島のシャックにて、(写真下)地上高16mのタワーと私

私は1960年、13歳でアマチュア無線の免許を取得しました。祖父が鉄道会社で電信(テレグラフ)のオペレーターをしており、8歳の頃から電信には馴れ親しんでいました。その頃からずっと“コミュニケーション”という人と人のつながりに魅力を感じてきました。2014年にはエクストラ級の免許を取得し、さらに、FCCの業務無線の試験にも全て合格しました。

さて、現在、私は妻のキャロルとワシントン州の海岸に位置するサンユアン島に住んでいます。JA向けにはたいへん開けたロケーションです。私はSSBとD-STARが好きです。いまだ、高校生の頃に改造した真空管の無線機で、AMモードで運用することもあります。最近は、特に普段は行かない場所や、遠隔地から運用することが多くなりました。

そこで、今回はアメリカのアマチュア無線活動のトレンドとなっている、アイランドチェイシングについて、日本の皆さんにご紹介したいと思います。日本の皆さんは、アメリカのアマチュア無線局と聞くと、広大な敷地に大型のタワーを建て、kWのハイパワーで運用しているシーンを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、実際は皆がそうではありません。近年は、自宅での運用よりSOTA、ヨセミテやグランドキャニオンなどの国立公園、灯台や離島等、さまざまな場所からの移動運用がトレンドとなっているのです。

United States Islands Awards Program、アメリカ合衆国アイランドアワードプログラム(以下、USI)は、アメリカ全土の湖、川、海岸など、海水や淡水を問わず、様々な場所に位置する島に移動したハムとの交信数を競う、アマチュア無線のアワードです。USIは、当時も今もアマチュア無線の人気カテゴリとなっている“アイランドチェイシング”のさらなる活性化を図るため1994年に設立されました。USIの目的は、アイランドチェイシングのわかりやすく効果的なシステムを提供すること、アマチュア無線家の運用マナーを向上させることです。USIには、SWLの方から“アイランドチェイシング”の熱狂的なファンまで、様々なアマチュア無線家が参加することができます。もちろん、アメリカの別の離島アワードの獲得を狙っている方も参加可能です。

さて、ワシントン州の海岸沖には100を超える島々がありますが、その内のいくつかの島に、我々のサンフアン郡アマチュア無線クラブ局(SJCARS)が設置されています。今春、USIでは新たに5つの島での無線運用を開始することになりました。新しい島としての要件を満たすためには、その島の面積が35平方メートル以上である必要があります。また、オペレーターが2時間、20局との交信を成功させて初めて、正式にUSIに登録されるのです。(エリアは不問。日本の無線局でも可。)

昨年5月、5つの新しい島を登録することができました。これらの島々はとても小さく、離れた場所に位置しているので、プライベートボートでの上陸しかできません。小さなボートでの上陸、無線局の設置のためのアンテナや機材の準備、そして実際にセットアップして運用するまでには、海流や潮の流れなど、自然との大変な格闘がありました。

こちらは新しく登録された島々のリストです。USIが定めている公式のIDが与えられています。
スチュアート島/WA208
サテライト島/WA210
ジョンズ島/WA209
セメトリー島/WA211
ゴシップ島/WA212


5つの島のエリアマップ

島で運用するために、大きなハンマーを使用して、20mのGAPバーチカルアンテナをビーチに設置し、長さ約25メートル、幅8センチメートルの銅帯を海の中に投げ込み、アースを取りました。リグはIC-7300です。


K7LRK/ClarkがGAPバーチカルアンテナを設置しているところ

オペレーターは小さなボートの船内で運用します。船は、登録しようとしている島のビーチに係留しておけばよいことになっています。写真に写っているのは、K7LRK局クラークさんと、著者である私、K7NHEです。5つの島を登録するのに丸2日奮闘しました。


無人のCactusアイランドに上陸するところ。まるでハワイの様です!


ビーチに着けた船内でIC-7300で運用しています


スチュアート島にあるK7NHEの高さ20mのアンテナ

昨年8月には、「USアイランド・オペレーティングウィークエンド」にクラブメンバー以外のアマチュア無線家を招いてクラブ局での運用を行いました。新たに登録された島で、SSBやCW運用で多くの交信ができました。これまで一度もHFコンテストの経験がなかった新しいハム2名も楽しいひと時を過ごせたようです。KI7PJS局、XYLのペギーさんの初めてのHFコンテストでしたが、険しい離島での挑戦となりました。W7SLM局、スコットさん、N6AU局、ダンさんも参加しました。毎年8月に開催されるこのコンテストに、日本を含む世界中のアマチュア無線家に参加していただきたいと思います。


初めてのコンテストに挑戦中のKI7PJSペグさん


スチュアート島で運用中のW7SLMスコットさん


CWで運用中のN6AUダンさん

詳細はこちらのウェブサイトをご覧ください。
URL: http://usislands.org

アイランドチェイシングで一番難しいのは、海流や潮の様子を見ながらビーチにボートを着けることです。潮が引く前に、無線機とアンテナを設置し、20局と交信しなければ、次の潮が満ちるまでに12時間もビーチに取り残されてしまいます。逆にアイランドチェイシングのいいところは、地元の島で運用することが多いので、DXペディションよりコストがかからず、比較的簡単にできることです。

今年の8月にもまた、「USアイランド・オペレーティングウィークエンド」を開催します。我々はK7LRKとK7NHEのコールサインを使い、このワシントン州の珍しい離島にて、14 MHz SSBでオンエア予定です。QSLカードも発行します。またとない機会となりますので、ぜひ日本からも皆様奮ってご参加ください。

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次号は 12月16日(月) に公開予定

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