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FBのトレビア

第二十七回 2.4GHz無線LANアンテナ
アマチュアの2400MHzに使えるか

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Dr. FB

CWやSSBでDXが聞こえない日はあっても、FT8では毎日のようにDX局が入感しています。「すごいモードだ!」と日々驚くばかりです。FT8は、HFバンドのみならずVHF、UHFでも運用が盛んですが、2400MHzというさらに高い周波数帯の話題をご提供しても日頃のアマチュア無線には活かすことができず無意味かもしれません。それでも世の中の5G (5th Generation)の流れで、アマチュア無線にもミリ波の時代が到来するのではないかと思いながら802.11b/g対応(2.4GHz帯)の無線LAN用アンテナを解体しました。

無線LANの2.4GHz帯とアマチュア無線の2400MHz帯

Wi-Fiの周辺機器では2.4GHzと5GHzの二つの周波数帯が割り当てられています。スマホと周辺機器の接続のように比較的距離の短い通信の他に、2.4GHz帯では外部アンテナを接続することで結構離れた2点間の通信を行うことができます。有線LANの接続ができないような地域、場所ではこの2.4GHz帯を使った2点間のデータ通信が行われています。これをビル間通信とも呼んでおり、ここからが我々アマチュア無線家が興味を持つ部分です。図1がそのビル間通信に使われている2.4GHz帯のアンテナです。


図1 2.4GHz(802.11b/g)用無線LANアンテナの設置例

2.4GHz帯の無線LANに使われている周波数は、1chの2.412GHz(2412MHz)から13chの2.472GHz(2472MHz)まで0.005GHz(5MHz)刻みの13チャンネル分と、14chの2.484GHzの合計14チャンネルが割り当てられています(なお14chは、11bのみで日本限定)。一方、アマチュア無線に割り当てられている2400MHz帯の周波数は2400~2450MHzですから無線LANの周波数と被っている部分があります。これが功を奏したというべきかどうかわかりませんが、無線LANのアンテナをアマチュアの2400MHz帯で使うことができると考えています。

2400MHz帯の波長は12.5cmと短く、高い周波数には高度な技術も必要となりますが、アンテナの自作には手ごろな大きさといえます。2400MHz帯の無線機も一部のマニアの間でしか使われておらず、ここでアンテナの話題をご提供しても測定や実験もできませんが、見て楽しむ技術として図1のアンテナを解体しました。その中身を図2、図3に示します。

アンテナの解体

今回入手したアンテナは、2.4GHz帯を使用した無線LAN(Wi-Fi)用の屋外設置用のアンテナです。図2は、アンテナの外観です。写真でわかるようにプラスチックで覆われており防滴仕様となっています。


図2 プラスチックで覆われた部分は約35cm

アンテナのカバーを外した内部写真を図3に示します。想像していた通り八木アンテナでした。構成は8エレの八木アンテナとなっており、ラジエーターの部分は帯域を取るためか折り返しダイポールとなっています。2400MHzの波長は計算では0.125m(=12.5cm)で、ラジエーター部の左右の長さはλ/2ですので、6.25cm (= 62.5mm)となります。実測は計算より10mm近く短く、53mmです。



図3 アンテナの内部写真

マッチング部はHF帯の多素子の八木アンテナでよくみられるヘアピンマッチです。マッチング部やその他エレメントの実寸を図3に示します。マッチング部の拡大写真を図4に示します。


図4 ヘアピンマッチ部の構造

アンテナの特性図

分解したアンテナと同等のアンテナの特性図を図5に示します。


図5 分解したアンテナの特性図(アイコムホームページより引用)

FBDX

<参考>
文中の無線LANの周波数を説明する箇所ではIEEEの802.11b/gの説明に合わせて「GHz」、アマチュア無線の周波数帯を説明する箇所では総務省のアマチュアバンド使用区別に合わせて「MHz」表記としています。また規格名は、IEEEを省略しています。

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