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アイコム、デイトンで「SHF-P1」、「IC-PW2」を展示

アイコム株式会社は、5月20~22日に米国オハイオ州ジーニア市のフェアグランド・エキスポセンターで開催された世界最大級のアマチュア無線イベント「Hamvention(ハムベンション)2022」会場で、同社が開発を進めている“SHFプロジェクト”のコンセプトモデル「SHF-P1」のプロトタイプ、およびHF+50MHz帯リニアアンプ「IC-PW2」を展示し、来場者の注目を集めた。


「Hamvention 2022」のアイコムブースで展示されたSHF-P1プロトタイプとIC-PW2に注目が集まった

アイコムは昨年12月、「ICOM SHF Project ~SHF帯への挑戦~」をテーマに掲げ、2.4GHz帯、5.6GHz帯に対応するアマチュア無線機の開発に着手したことを国内外に向けて発表した。プロジェクトの進捗状況は同社公式サイト内の特集ページで随時紹介されている。今年4月には開発中の無線機のコンセプトモデル「SHF-P1」のデザインスケッチを公開し、大きな話題となった。


SHF-P1のコントローラー部分(4月に公開されたデザインスケッチより)


SHF-P1のRFモジュール部分(4月に公開されたデザインスケッチより)

5月20日から22日まで米国オハイオ州ジーニア市で開催された世界最大級のアマチュア無線イベント「Hamvention 2022」(通称「デイトン・ハムベンション」)のアイコムブースでは、SHF-P1プロトタイプの展示が世界で初めて行われた。

世界初展示の「SHF-P1」プロトタイプについて

この展示によると、SHF-P1プロトタイプは2.4GHz帯と5.6GHz帯という2つのアマチュアバンドをD-STARのDD/DVモードを含むオールモードでカバー。無線機とアンテナ間のケーブルロスを最小限に抑えるため、アンテナ直下に取り付けるRFモジュールと、操作を行うコントローラーの2つに分かれて構成されている。両者はLANケーブルで接続され、RFモジュールへの給電もLANケーブルで行えるPoE(Power over Ethernet)という技術が採用されている。

コントローラーは、ポータブル機「IC-705」をベースにしたデザインで、操作系も可能な限りIC-705と統一。ワイドスパンのリアルタイムスペクトラムスコープももちろん搭載している。また、RFモジュールは防水型で、上部に2.4GHz帯と5.6GHz帯それぞれの専用アンテナ端子を設けている。

SHF帯では周波数の精度と安定度が気になるところだが、SHF-P1プロトタイプは、GPS(GNSS)信号を基準とする方式を採用。GPSアンテナで極めて高精度なタイムパルス(1PPS)を取得し、OCXOの周波数補正を行うことで、常に高精度の周波数と安定度を実現したという。


人気YouTubeチャンネル「AmateurLogic.TV」のリポーターがSHF-P1プロトタイプを取材中

会場では米国内はもちろん、世界中のアマチュア無線家が訪れ、SHF-P1を興味深く眺め、スタッフに詳細を尋ねたり、スマートフォンで撮影したりする姿が見られたという。


会場で配布されたSHF-P1プロトタイプの資料


会場で配布されたSHF-P1プロトタイプの資料

なお、アイコムの公式Twitterアカウントでは、「Hamvention 2022」で展示されたSHF-P1プロトタイプについて『詳細は近日公開の「ICOM SHF Project~SHF帯への挑戦~Vol.4」でお知らせします』とアナウンスしている。日本のアマチュア無線家に向けても近く詳しい情報公開がありそうなので期待したい。

HF+50MHz帯リニアアンプ「IC-PW2」も展示


「Hamvention 2022」ではIC-PW2(右側)も初展示された

「Hamvention 2022」のアイコムブースでは、このほかHF+50MHz帯リニアアンプの「IC-PW2」の展示も行われた。日本では2019年8月31日~9月1日に開催された「ハムフェア2019」の会場で参考出品として展示されたモデルだが、米国ではコロナ禍により2020年と2021年のHamventionが中止となった関係で、今回が初の展示となった。


展示された「IC-PW2」の正面と裏面

IC-PW2はファイナルに65V LDMOSを使用、長時間送信でも余裕の1kW出力が得られるフルパワー・フルデューティー仕様のHF+50MHz帯リニアアンプで、突起物を除くサイズはW425×H149×D435mmと、同社のHF+50MHz帯固定機「IC-7851」と同じサイズになっている。


「Hamvention 2022」でメディアの取材を受けるIC-PW2

フロントパネルのコントローラー(W166×H89mm)は4.3インチのカラー液晶ディスプレイ(タッチ操作に対応)を採用し、本体からの着脱も容易な設計で長さ3mのリモートケーブルが付属している。内部には機械式リレーを採用したオートアンテナチューナーを搭載。さらに2台のエキサイターと6つのアンテナが接続できるアンテナセレクターを装備し、1台でSO2R(Single Operator two Radios)にも対応している。


会場で配布されたIC-PW2の資料


会場で配布されたIC-PW2の資料


会場で配布されたIC-PW2の資料

サイクル25でコンディションが上昇中の現在、新型リニアアンプ「IC-PW2」は発売開始が待たれる1台といえるだろう。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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