ラジオ少年
2023年11月15日掲載
Part 1ではコイルのインダクタンスを測るインダクタンスメータの動作原理を簡単に説明しました。今号ではその実験と製作に進みます。製作はできるだけ簡素化することを目標に回路の半分を占める発振回路(Lo)には手持ちのファンクションジェネレータを用います。まずは、回路図を起こしてバラックで実験を行い、うまくいった部分から製作に取り掛かります。
完成したインダクタンスメータ
図1は、前号でも示したLC並列共振回路を用いた簡易インダクタンスメータのブロック図です。このブロック図を回路図にしたものが図2です。LC共振回路(同調回路)に供給するRFの信号を半導体で生成するのと異なり、ファンクションジェネレータで代替するので、回路図はたいへん簡素になります。
図1 簡易インダクタンスメータのブロック図
図2の回路図でLoと同調回路を取り出し、図3のような回路で実験を行いました。実験ではC2にポリバリコンを使いました。ポリバリコンの最大容量は260pFで、実験では最大容量より少し戻した250pF付近と思われる位置にセットします。J2の端子にLxとして既知の0.3mHのコイルを接続しました。250pFと0.3mHの並列接続における共振周波数f0は、2πルートLC分の1の公式から581kHzと分かります。
オシロスコープあるいは微小な電圧を測定できる直流電圧計を図3に示したポイントに接続します。ファンクションジェネレータの周波数を計算で求めた581kHzに合わせ、C2のポリバリコンをゆっくり回してオシロスコープあるいは電圧計の指示値を最大にします。このときがLx=0.3mHに対するコンデンサの容量が250pFといえます。このときのコンデンサの容量(250pF)の位置を記録しておきます。
図3 同調回路の実験
図4は、図2の回路を4×5cmのユニバーサル基板に組み込んだ基板です。図5は樹脂ケースに入れて完成した内部です。回路は5Vで動作させますが、1.5Vの乾電池4本では6Vになるため、直列にD3を挿入し、その接合電位差分の0.7Vを差し引いた5.3Vを電源として供給しています。また、D3を入れることで乾電池のプラスマイナスの逆接防止の機能もあります。実験では250pFのポリバリコンを使いましたが、容量固定のコンデンサでも問題ありません。
図4 ユニバーサル基板に図2の回路を組み込んだ基板
図5 完成したインダクタンスメータの内部
図6 完成したインダクタンスメータの外観
この簡易インダクタンスメータは、メータにインダクタンスの値が直接表示されるものではありません。J2の端子に被測定インダクタ(コイル)を接続し、250pFのコンデンサとの並列共振回路を構成します。実験では250pFのポリバリコンを使ったので、本製作にもそのままそのポリバリコンを使いました。その回路にファンクションジェネレータの信号(f)を加えて、出力電圧の変化からインダクタンスを計算で求めるものです。
J2に接続したコイルのインダクタンス(Lx)が全く不明では測定しにくいですが大体の値が分かれば、fを可変すると下に示した表からLxの値が分かります。
例えばゲルマニウムラジオを製作するにはポリバリコンとコイルが必要です。ポリバリコンの容量はおよそ250pFです。このとき自作したコイルをJ2に接続し、fを可変しながらメータの振れを観測します。581kHz付近でメータの振れが最大となれば、Lxのインダクタンスは0.3mHであると分かり、これでAMラジオの下限から上限までバリコンの可変でカバーできることになります。
コイルのインダクタンスがミリヘンリー(mH)のものであれば、メータのピークははっきり分かりますが、マイクロヘンリー(μH)オーダーになると、目を凝らしてメータの振れを観測しないと分かりにくいです。それでも電圧のピークがメータに現れますのでだいたいのインダクタンスを求めることはできます。
LC並列共振回路の共振周波数は、2πルートLC分の1の公式を使い筆算で求めることができます、電卓で有名なカシオが掲載している便利な計算サイトを、最後にご紹介します。
https://keisan.casio.jp/exec/user/1320287966
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