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今月のハム

JQ1BVI 平野岳さん

2023年11月1日掲載



壁には数々のコンテストの賞状や盾が並ぶ

東京都立川市在住の平野岳さん。自宅にタワーを設置して無線を楽しみながら、自宅より30分程度離れた場所にも別宅シャックを構え複数のタワーを設置し、こちらでは個人やマルチオペでのコンテスト参加を中心に楽しんでいる。

平野さんは高校2年生の時、同級生で小学生のころからアマチュア無線を楽しんでいたJM1DTF宮本さんからアマチュア無線の話を聞き、さらに所属していたボーイスカウトでアマチュア無線に関する技能章として「無線通信章」があるのを知った。宮本さん達とボーイスカウトでクラブ局を作ろうということになり、電話級(現第4級アマチュア無線技士)の試験を受けた。しかし、その時は平野さんしか合格できず、クラブ局開局は実現できなかった。

その後、せっかく資格を取得したので無線を始めようと個人局の開局申請を行い、1983年12月にJQ1BVIの免許を取得した。平野さんは開局以前より短波ラジオ(ICF-2001)でBCLやアマチュア無線の21MHz帯も聞いていたそうだ。

開局時は、ゼネラルカバレッジ受信もできるHF機とアンテナチューナーを購入し竹竿を利用した7MHz用の逆Vダイポールアンテナを設置した。初めて電波を出した時は21MHzで30分くらいCQ出して、ようやくファーストQSOに至った。そのうち近隣の局との毎晩のラグチューや、1日に200局位の交信をするようになっていったと話す。

コンテストへの初参加は開局翌年の1984年のALL JAコンテストで、ニューカマー部門にエントリーした。開局時から所有していたのはHF機のみであったため、コンテスト後に新たに50MHzオールモード機を購入したという。その後は50MHz FMでラグチュー楽しむようになり、50MHzの伝搬や移動運用の事を色々教えてもらうようになった。特にJP1IGX橋立さんから移動運用の面白さを教えてもらった。平野さんは当時雑誌の製作記事で出ていた、園芸用のイボ竿(鋼管にプラスチックの表面処理をしたもの)を利用した5エレのログペリアンテナを製作して使ってみたところ、自宅から3エリアまで届いたことなどで50MHz帯にはまっていった。

大学時代には静岡県に引っ越し、静岡市内の日本平にある大家さんの畑の一角に別宅シャックを構えた。週末には原付バイクで無線機と50MHz帯ヘンテナを持って静岡県内各地へ移動運用に出掛けては、1回の土日の運用で100QSO以上をこなし、静岡時代の4年間で延べ5万QSOしたそうだ。またJF1WLK長瀬さんにRBBSを教えてもらい、当初NECの文豪ミニで楽しんでいたが、8086CPUを搭載した初代東芝ダイナブックPCを譲っていただき転送系のパケット通信を始めたのもこの頃だったという。

大学卒業後は、実家の国分寺市に戻りルーフタワーにSS-96(50MHz帯9エレ)とTA-33(HFトライバンド八木3エレ)を設置し無線を楽しんでいたそうだ。

その後結婚した時に埼玉県所沢市に移り、自立タワーを設置した。また1アマも取得して1kW局に増力した。その時の工事では業者が竪穴を掘った中にタワーを落としこんだ状態で、すぐタワーを建てたそうで、基礎コンクリートが無い状態でタワーが建ってしまったのには驚いたそうだ。

1994年にはパソコン通信サービスNIFTY-Serve内のアマチュア無線フォーラム(FHAM)で、JM1LRQ荒井さんと知り合い、彼が主催するコンテスターが多く集まる「きゅーあーるえるクラブ」に参加した。

その後仕事の関係で山梨県へ転居しタワーも設置して山梨県での50MHz帯1kW局第1号となったそうである。5年間の山梨県での勤務の後、2002年に東京へ戻り、武蔵村山市の自宅で再度1kW局を開設した。平野さんはちょうどその頃実施されたJARL75周年記念小笠原DXペディション特別記念局(8N1OGA)に参加し、1kW局の落成検査対応チームとして小笠原・父島へ渡り、落成検査を受けてその場で運用を行っている。(JARL Web参照)


当時の運用の様子を伝える記事(JARL Webより)
(https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/2-8_75th/8n1oga-0928.htm)

その後立川市に自宅を構え、高さ22mのクランクアップタワーを設置してHF~50MHzの1kW局を開設し現在に至っている。また立川市内の無線局4人で、立川市アマチュア無線クラブ(JQ1YUF)を設立した。


現在の自宅に設置しているアンテナ群

自宅での運用の傍ら、平野さんは2017年から八王子市の丘陵の竹林に「ひよどり山コンテストファーム」の整備を始め、自身の1kW局をこちらでも開設した。免許取得後はIARU HF World Championshipに8N1HQで4回参加している。また2019年にここでJQ1YUFの1kW局も開設した。ここでは計5本のタワーに各モノバンドのアンテナや予備のマルチバンドアンテナを設置している。アンテナは市販品の他、市販品をモデファイしたLFA(Loop Fed Array)アンテナを設置しており、HF~10GHz帯(WARC含む)のアンテナが常設されている。ここから平野さんはシングルオペレーターやマルチオペレーターでコンテストに参加している。

なお東京オリンピック・パラリンピック特別記念局(8N1OLP)の東京都内局としても、ここから運用が行われ延べ37000局と交信したという。


ひよどり山コンテストファームをデザインしたQSLカード


下から見上げた2023年10月現在のアンテナ設置状況

この場所を選んだのは自宅からも近く、自宅から職場への通勤経路の間にあり、帰り道にすぐ立ち寄ることが可能という利点があったからだ。最近はコンテストへのマルチオペレーター部門への参加や設備の整備に忙しく、個人局はなかなか運用している暇がないという。ただみんなでワイワイと無線などを楽しんだり企画することが好きなので苦ではないと平野さんは話す。

運悪く2023年7月に落雷の被害に遭い、無線機やパソコンが大破したが、何とか復旧を果たし10月に開催された2023年全市全郡コンテストにJQ1YUFで参加し、トラブルはあったものの目標のスコアを達成できたそうである。


2023年全市全郡コンテストの参加中のひとコマ

平野さんは、今年6月にコンテスト講習会をホタテコンテストクラブと立川アマチュア無線クラブ共催で開催し、若手のコンテスターを増やそうと画策してみたり、若手にも呼ばれる楽しさを知ってほしいとひよどり山コンテストファームのアンテナを開放し、高校生の運用に協力するなど、今後も自然豊かなひよどり山コンテストファームで、みんなでワイワイと無線や無線以外でも楽しんでいきたいと話す。

なおこのコンテスト講習会の様子は、平野さんのYouTubeチャンネルで公開されている。

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