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おきらくゴク楽自己くんれん

その44 軽トラモバイルシャックのユーティリティーについて

JF3LCH 永井博雄

2024年12月2日掲載

皆さんこんにちは。これまで移動運用設備を拡充してきた軽トラモバイルシャックですが、読者さんの中には動く無線室という面より、軽トラのキャンピングカーとしての一面に興味をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。

今回は、100均材料で作る安価な簡易モバイルシンクやその他キャンピングカーとしての設備の情報をご紹介したいと思います。車中泊や自作キャンピングカーに興味がある方の参考になればと思います。

1. これまでの軽トラモバイルシャック設備

これまで軽トラモバイルシャックで各地を巡りながら無線運用での利便性を重視して設備の改善に中心に励んできました。おかげで移動運用を楽しむ設備はそれなりに充実してきました。

しかし幾度とシャックで夜を明かす中で車中泊を楽しむ設備としては不便を感じることが出てきました。限られたスペースで無線運用に特化した設計ですので、ある程度は我慢が必要なのは承知の上だったのですが、人間は段々贅沢になっていくものですね(笑)。その中で一番気になるのはシャック内で手や食器などを洗えないことです。移動地に着いてアンテナ設営や同軸配線作業など準備をすると手が汚れてしまいます。そんな時ウェットティッシュで手を拭くのですがあまりエコではないですね。

運用を終えて寝る前に歯を磨く時には公園のトイレなどの洗面を使わせてもらうことがあるのですが、他に利用者さんが居られると「トイレは用を足す為の場所ですよ」みたいな目で見られている気がします。そんなことでキャンピングカーについているような水の出る蛇口とシンクが欲しいなと思うようになりました。

キャンピングカーにそれを積むにはかなりの費用が掛かりますしスペースが必要です。私の場合一人用で十分ですし、調理をしない条件で使える低コストな簡易的なシンクが作れないものかと考えていると、ネットでちょうど使えそうな充電式ポンプを見つけました。これを使えば簡単なシンクを作ることができるのではないかと考えました。見つけたのはリチウムイオン電池付きの「エアー・ウォーターポンプ」というもので価格は3000円程度でした。名前の通り空気と水を送ることができるものです。

2. 簡易モバイルシンクの製作


ローコスト超簡易モバイルシンク


充電式エアー・ウォーターポンプ

この製品はUSB充電3~4時間で2時間半連続運転ができるそうです。主に手を洗う用途ですから十分な電池容量です。参考までに裏にはLEDランプが実装されており懐中電灯としても機能します。写真では底面に後からシンクの取り付けるバーに磁力でくっつけるようにマグネットを4つ両面テープで貼り付けています。

シンク本体にはステンレス製の皿のようなものを使いたかったのですが、適当な大きさのものを探すのは難しく、あったとしても高価ですので今回は仮設用? として100均でプラスチックの容器で適当なものを探してみました。

するとちょうど深さだけが違う適切な容器が見つかりましたので購入しました。これを2段に重ねて浅い方をシンクに、深い方を排水タンク代わりに使います。



深さだけが違う2種のプラスチック容器


2つの容器を重ねた状態

浅い方の底面に水を落とす穴をあけておきます。今回は16ミリ程度の口径の穴をあけて使って適当かどうか様子を見ます。

上の状態に、浅い容器のへりにポンプを磁力で取り付けるために鉄製の好適な金具を100均で見つけました。壁に写真やカードなどを立てかけるためのウォールバーというものです。容器の淵に付けるのにちょうどいい折曲がりと2ヵ所のネジ穴が開いているので今回の用途にはピッタリです。


ポンプ取付け台に使う鉄製ウォールバー


完成した簡易シンク

水道水を溜める容器はこれも100均で見つけた2Lウォータータンクです。キャップにホースを通す穴をあけて通し、シンク容器に伸縮バンドで抱き付けています。水が足りないときはもう一つ同じ容器に水を入れて最大4Lの水を使うことができるようになります。


モバイルシャックの後部に設置


2Lの水を流した後の下部容器の水位
これだけ下の容器容量に余裕があると安心して水を使うことができます

シンクが完成したので、早速移動運用している局の近くで襲撃移動運用をしてきました(笑)


早速移動運用を実施

移動運用した場所には登山口で公衆トイレがあり、雨水を利用した手洗い水が出るようになっているのですが、私は自作したシンクで手を洗うことができたので貴重な水を使わずにすみました。何かいいことをした気分になりした(笑)

3. 本格的な冬に向けての設備の拡充

これから迎える冬に向けての設備も拡充していきます。まず夏の移動運用で活躍した1000Wインバーターですが、以前使っていたものはインバーター本体が熱を持つと2個ある冷却ファンが全速で回転するので、大変うるさく室外に設置しないといけない状況でした。

他社インバーターはどうだろうと思い、同じクラスの違うメーカーの物を購入してみました。前機との違いはPD対応USBコネクタが付いています。冷却ファンは1個で、すぐに全速で回転しませんので音は半分以下となっており静かです。しかも本体の温度が下がるとすぐにファンが停まります。前機では一旦回り始めると数分間は回り続けるのでうるさい時間が長くて精神的な負担に感じる程でした。このモデルは前機より4000円程安く購入できましたが、購入後すぐに売り切れとなり後継機と思わしき装備が充実したモデルが売られていますのでモデルチェンジ前の処分価格だったようです。現在販売されているのはコンセントやPD対応USBコネクタの数が増えているのでこちらの方が便利に使えそうです。

このモデルは遠隔で電源ON-OFFができるリモコンが付いていたのですが、日本の電波法に適応しているのかが疑問でした。購入元に確認しますと電波法に準拠しているという事でしたが、報道で適法とされ売られている電波機器の電波の質が適さないものが多いことを聞きますので使うのは止めておくことにしました。


同クラスの他メーカー正弦波インバーターに取り替え


サーキットプロテクター

これまでの記事では触れていませんでしたが、230Ahのバッテリーから大きな電流が流れるのを防ぐためにヒューズを使っていましたが、今回サーキットプロテクターを使っています。

これで万が一、過電流でトリップしても障害を取り除いた後でヒューズのように交換作業を行うことなく復帰させることができます。またバッテリー端子接続時に発生する火花を防ぐための断路器として活用も可能です(長く使うためには推奨できませんが)。

定格は50Aの物を選びました。次に紹介するセラミックヒーター2台を同時運転するには40A程で十分余裕があると思っていましたが、実際に使用するとたまにトリップすることがありました。このサーキットブレーカーのユーザーレビューを見ると定格より低い電流でトリップするようなので80Aの物に取り替えをしました。これで本来の50Aで遮断する実力となるのではないかと予想しています。


セラミックファンヒーター200W(左)と300W(右)

シャック内暖房にはセラミックファンヒーターを使っています。当初はカセットガスを使用するヒーターで暖を取ったりしていましたが、狭い室内で火を使うのは一酸化炭素中毒の危険性から逃れられないので電気式に変更しました。近所のホームセンターに昔ながらの石英管ヒーターの400W-200W切替式の安価な電気ストーブが売られていました。切替式であれば1台ですむのですが、赤くなるヒーターが露出しており万が一の火災の危険性を考えセラミックファンヒーターにしています。今回は写真のセラミックファンヒーターを選びました。300Wの物は室温を上げるために、200Wの物は室温を維持したい時に使います。300Wが2000円程度、200Wが3000円程度で売られていました。300Wの物はパソコン用ファンが使われていて低コスト設計。200Wの物は小さなシロッコファンが使われているようです。300Wの物に比べるとしっかりした作りで格段に静かに運転します。

300Wの1台運転でも外気温0℃以下の条件で、冷え切った室内を20℃以上に上げることができます。寒さが厳しくすぐに暖めたい時にはインバーター容量に余裕がありますから2台同時運転して500Wで暖房も可能です。ソコソコ温度が上がれば200Wのみで室温を維持させ方向で使用し節電します。これができるのは壁と天井に断熱材を入れた効果だと思います。これで夏の暑さ対策に導入した230Ahのバッテリーを活用することで、この冬は寒くても安心して出かけることができます。

現在この記事も、自宅内ではなくて外にあるモバイルシャック室内でファンヒーターを使いながら書いています。とても静かで快適な執筆環境が得ることができています。これから冬の間は快適に記事を書くことができそうです(笑)

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