新・エレクトロニクス工作室
2025年11月17日掲載
クリスタルは写真3のようなジャンクを使っています。これは図2で使用した16.2095MHzのクリスタルですが、足にひどい錆びがありました。このような場合、細かい紙やすりで磨いておく必要があります。錆が無いように見えても磨く方が良いでしょう。ハムフェアで入手したジャンクですので、このような手間は仕方ありません。磨かないとハンダ付けが全くできない場合もあります。

写真3 クリスタルはジャンクのため足の錆びがひどい
外注で作ったのが写真4の基板です。コンデンサはCについて2個までパラにできるようにしました。つまり2Cでは4個です。計算したコンデンサの値は、都合の悪い事も良くあります。そこで2個までパラ接続ができるようにしました。但し、サイズの都合もあって足の間隔は2.5mmとなっていますので、5mm間隔のコンデンサは使えません。もちろん2Cで4個にする必要はなく、図2のように合計で2倍の容量にすれば良いのです。

写真4 作製した基板で、下が部品面で上がハンダ面
一般のクリスタルフィルタと同様に、ネジは2.6mmを固定用に用いました。写真5のように2.6mmのネジをナットで一度固定して、そのまま多少浮かせたまま本体側の基板に入れて再度ナットで止めて固定する方法にしました。このようにすれば、ハンダ部分は本体側の基板と接触しません。もちろん、ハンダ面に出る足は短く処理します。

写真5 2.6mmのネジをナットで一度固定
入出力の端子としては、少々太めのスズメッキ線を使う事にしました。このようにして作ったのが写真6の16.2095MHzのフィルタです。これで普通のクリスタルフィルタと差し替えて使える、ラダー型の互換フィルタが完成しました。これは写真7のように基板に載せ、動作させる事ができました。このように2.6mmナットの厚さだけ、下側の本体基板との隙間があります。

写真6 完成した16.2095MHzのクリスタルフィルタ

写真7 このように基板に載せる
写真8は同じように作った4.5MHzのクリスタルフィルタです。写真9は基板に載せていますが7.8025MHzのクリスタルフィルタです。これも動作させる事ができました。このように3個のクリスタルフィルタを作り、2個は既にSSBジェネレータで使っています。

写真8 完成した4.5MHzのクリスタルフィルタ

写真9 基板に載せた7.8025MHzのクリスタルフィルタ
なお、この基板に若干の余りがあります。興味のある方はメール(私のコール@kha.biglobe.ne.jp)で、お知らせ下さい。アナログな方式で恐縮ですが、メールで住所を返信しますので、切手を貼った返送用の封筒を入れて送って下さい。いわゆるSASEです。
今回は基板2枚一組で110円の切手を入れて下さい。過去の基板と同時でも結構です。あまり多量になる場合はSASEでは無理ですので、個別に相談に応じます。なおキットではありませんので、部品は御自身で集めて下さい。計算も御自身でお願いします。
このようにクリスタルフィルタを3個作製しました。測定結果1は図2の回路で作った16.2095MHzのクリスタルフィルタの結果です。これは入出力インピーダンスが61Ωですので、ほぼ50Ωに近くなっています。リップルはありませんが周波数が高いためか少々切れが悪いようです。更にクリップで測っていますので、測定条件も良くありません。これは動作チェックだけの測定です。

測定結果1 16.2095MHzのクリスタルを使った結果
測定結果2は図3の回路で作った4.5MHzのクリスタルフィルタの結果です。これは入出力のインピーダンスが1489Ωに計算されるのですが、測定器は50Ωです。リップルが大きいのは当然で、1489Ωで測定すれば解消されます。これも動作チェックが目的の測定になります。

測定結果2 4.5MHzのクリスタルを使った結果(インピーダンスが合っていません)
このようなクリスタルフィルタの測定には、インピーダンスを合わせる冶具が必要になります。次回はマッチングチェッカの予定で、図4で作った7.8025MHzのクリスタルフィルタの測定結果も紹介します。
これを作ったのは次の自作を考えての事です。このようなクリスタルフィルタの自作ができると、自作の幅も広がると思います。フィルタの自作だけでも楽しいのですが、これは私だけかもしれません。なお次回は前述のように、クリスタルフィルタの自作が更に楽しくなる「クリスタルフィルタチェッカ」を予定しています。
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