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新・エレクトロニクス工作室

第50回 令和のKCS基板テストボード

JE1UCI 冨川寿夫(ふかわ としお)

2026年6月15日掲載

第46回でSSBジェネレータ基板を、第49回でトランスバータ基板を紹介しました。どちらも熊本シティスタンダード(KCS)の回路を現代の部品に置き換えたものです。特にSSBジェネレータ基板ですが、何台か製作しました。その度に試験する環境を作っていたのでは大変です。そこで、写真1のように作ったテストボードです。SSBジェネレータだけでもテストが可能ですし、トランスバータを含めてもテストが可能なようにしました。


写真1 令和版KCS SSBジェネレータ基板とトランスバータ基板のテストボード

テストボードの考え方

単にボリュームやスピーカ等を接続しやすくするだけのものです。しかし、このように準備をしておくと、基板単体での試験や調整、更にトラブルの対応がやりやすいのは言うまでもありません。トランシーバとしてケースに入れて、基板間の配線が終わってから気が付くトラブルでは、調査と対策が極めて面倒になります。このようなテストボードを作って、動作確認をしておく方が結果的には早く完成すると思います。

過去には写真2のように、元祖熊本シティスタンダードのテストができるようにしていました。この基板は秋月電子のキットで購入したものです。これは2代目のテストボードで、SSBジェネレータだけのテストでした。ハトメにハンダ付けする基板ですので、交換や接続が大変でした。もちろん、トラブル時に基板を裏返しにするのも大変でした。それでも随分と使った記憶があります。基板の下の方に57.10.16と書いてありますので、昭和57年10月16日に作った基板です。


写真2 過去には、このように元祖KCS SSBジェネレータ基板のテストを行った

付け加えますが、このようなテストボードだけでテストができるのではありません。まず、電源のDC12Vが必要なのはもちろんです。SSBジェネレータ基板の受信側であれば、信号源のSGが必要です。送信側であれば入力にAF発振器や2トーンジェネレータを使い、出力にはスペアナや受信機等を接続する必要があります。更にトランスバータ基板になると、LOの発振源も必要になります。

回路

このようなテストがやりやすいように、基板にはEHコネクタを使いました。しかもトランスバータ基板を含めた場合と、SSBジェネレータ基板単体の両方を考えました。ここまで来ると、VXOは? リニアアンプは? と次々にグレードアップしたくなります。究極的にはトランシーバまでになってしまいますが、逆に広げ過ぎると使い難くなるのも事実でしょう。ここでは明確に区切りをつけ、トランスバータ基板までとしました。この先にも山はありますが、ここで「ひと山越えた」という事にもなるのでしょう。次の山は別にテストして越えて下さい。

SSBジェネレータ基板だけの場合は、図1のように接続する回路になります。この回路を書いていて思い出したのですが、元祖の基板はGND側のハトメが共用されている部分がありました。令和版では基板間の接続をコネクタ化するため、共用は止めています。信号線や電源線は、そのコネクタ間だけで電流が往復するようにしています。GND側の接続は複数もあるので、他の経路でも流れるのは仕方ありません。しかし主な経路としてコネクタに流れるようにしています。つまり、アルミ板に固定しなくても動作は可能で、基本的にはコネクタとVR、コネクタと電源、コネクタと入力等のケーブルを作っておくだけでも良いのです。


図1 SSBジェネレータ基板だけの接続時の回路

トランスバータ基板を含む場合は図2のようになります。アンテナの切り替えがありませんので、このままではトランシーバにはなりません。しかし、リレーを1個追加すれば、数mWのQRPpトランシーバになります。


図2 SSBジェネレータ基板とトランスバータ基板の接続時の回路

問題になるのは、LOの発振源が外付けになる事になります。ここには第14回第15回で作ったSGを使うように考えています。もちろん、第48回で作ったVXOでも使えます。他にも様々な考え方があるのでしょう。SSBジェネレータだけのテストボードとしておいて、もう一つをトランスバータ基板とVXO基板、更にリニアアンプ基板のテストボードとする案でも良さそうです。ちなみに私は、これ以上のテストボードは作っていません。

製作

適当なサイズの生基板を用いて、それにアルミLアングルをカットし写真3のようにネジ止めしただけです。入出力にはBNCコネクタを用いました。


写真3 ボードとして生基板をカットして、アルミLアングルと組み合わせた

トグルスイッチで受信側と送信側の電源を切り替えるようにしています。回路図では解りませんが、この様子が写真4です。少々見にくいのですが、トグルスイッチの出力で受信側と送信側をダブル付けするようにしました。途中のコネクタで中継するようなダブル付けはしていません。その方がコネクタの脱着が容易ですし、電源を介する回り込みの防止にもなります。トラブル時にはFBが効きやすいと思いますが、気休め程度でしょう。


写真4 トグルスイッチで送受の電源を切り替えた

DC12Vの入力は、写真5のようにコネクタのGND側を生基板に接続せず、浮かせています。よって電源はコネクタを通って往復します。基板は金属製のカラーで生基板に固定していますので、結果的にGNDはカラーを通して接続されます。


写真5 DC12Vの入力は、コネクタのGND側を意図的に生基板に接続していない

スピーカは100均で購入したものを写真6のように両面テープで固定しました。これは10年以上前に、自作用に相当数を仕入れたものです。最近では売られていませんので、小型のボックス付きスピーカを使って下さい。あるいは自分でスピーカボックスを作っても同じです。


写真6 スピーカは100均で購入したものを両面テープで固定

マイクの入力はモノラルのイヤホンジャックを使い、Lアングルに固定しました。この方がAF発振器等を接続するのが簡単だからです。でもマイクを使いたい事もあるはずです。その時には写真7のようなイヤホンプラグに入れたコンデンサマイクを使います。内部は写真8のようになっていますので、簡単に自作できます。もちろん、コンデンサマイクの極性には注意して下さい。このようなマイクを何個か作っておくと、様々な場面で使えます。トランシーバにまとめるのであれば8ピンのマイク用コネクタを使うのですが、テストにはこの方が絶対に便利です。


写真7 マイクにはイヤホンプラグに入れたコンデンサマイクを使用


写真8 コンデンサマイクを入れたイヤホンプラグ

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