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2023年4月3日掲載
1922年(大正11年)、全国各地にあった少年団組織を統合し、ボーイスカウト日本連盟の前身「少年団日本連盟」が設立された。その後、時代とともに様々な変遷を経て、2022年にボーイスカウト日本連盟は創立100周年を迎え、日本ボーイスカウトアマチュア無線クラブ(JA1YSS)では、2022年4月1日より1年間の予定で、特別に免許を得た8N100Sの運用をスタートした。
この8N100Sの免許有効期限である2023年3月31日を前に、最後の週末となった3月25日(土)、26日(日)の2日間、日本ボーイスカウトアマチュア無線クラブでは、奈良市にあるアイコム株式会社ならやま研究所の大型アンテナを使って最終運用を行った。
アイコム株式会社ならやま研究所のアンテナ群
この運用のため、東は栃木県、西は山口県から奈良市にスカウトが結集した。また、8N100Sは同一コールサインで体験局の免許も受けているため、無線従事者免許を持たないスカウトも、指揮者による立ち会いのもとでアマチュア無線の体験運用を行うことができた。
全国から集ったスカウトと指導者達
実際の運用に先立ち、まずは運用のノウハウや注意点を説明する講習会が行われ、その後はデジタル簡易無線機を使用した英語によるDX QSOの疑似体験も行われた。
講習会の様子
講習会終了後は、スカウトが4つのグループに分けられ、無線従事者免許を持っているスカウトは下記1~3を巡回して、全国各地さらには海外各国とのQSOを行った。(無線従事者免許を持たないスカウトは4の体験局のみ運用)
1. CQ WW WPXコンテストに参加し、主に21MHz SSBで海外局と交信する。
2. 7MHz SSBにオンエアして、主に国内局と交信する。
3. V/UHF帯 FMにオンエアして、近郊の局と交信する。
4. 体験局で主に430MHz FMやD-STARを運用し、アマチュア無線を体験する。
運用に慣れているスカウト達は積極的にパイルアップを捌き、運用経験の少ないスカウト達は指導者に助けてもらいながら、世界のアマチュア局との交信を楽しんだ。
7MHz SSBでパイルアップと格闘中
小3のスカウトが運用し、中2のスカウトがログ入力
144MHz FMで交信に慣れる
430MHzでD-STARを運用中
この週末は米国のCQマガジン社が主催するCQ World Wide WPXコンテスト(電話部門)が開催されていたこともあり、このコンテストに参加して、運用に慣れていないスカウトが海外交信を体験する試みも行われた。コンテストによる交信は、必要最低限の情報交換により短時間で交信が成立する一方、コールサインやコンテストナンバーは通常反復送信してくれないため、一発で書き取る必要があり、全神経を集中して交信に挑む姿が見られた。
体験局の運用では、主に敷地内から指導者の個人局がハンディ機で交信相手を務めたが、体験局も電波を実際に送信しているため、一般局からコールされるケースもあり、スカウトたちは緊張しながら交信を行ったようだ。
体験局を運用中
最終的にこの2日間の運用で5大陸を含む700QSO、また1年間を通しての8N100Sの運用では、トータル5,000QSOという結果となった。ボーイスカウト日本連盟創立100周年を内外にアピールできたことに加え、運用したスカウトたちはアマチュア無線運用の実務経験を積むことができ、大きな成果を得て8N100Sは1年間の運用を終了した。
8N100SのQSLカード
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