日本全国・移動運用記
2023年4月3日掲載
3月12日に開催された西日本ハムフェアで、筆者は「レンタカー移動運用セットの構築」というテーマで講演を行いました。その前後には、福岡県内の各地で、実際にレンタカー移動運用セットを使用して運用を行いました。
西日本ハムフェア当日も、いつも通り早朝から移動運用をしたくなり、しかし朝6時では会場に入るには早すぎるだろうと考え、会場近くの公園に移動しました。すると、アンテナを取り付けた車が10台以上停まっており、430MHz帯や1200MHz帯のアンテナを上げて運用している人もいました。そこで、他局と被らないと思われる1.9MHzと3.5MHzのCW、サテライトのFO-29を運用した後、会場に向かいました(写真1)。
写真1 会場近くの公園の様子
会場では特別記念局が運用されており、また現地で運用する局も多く、運用する周波数帯が重複すると予想されることから、運用は開場前に終えることを考えていました。午前7時台でも国内のコンディションが良く、太陽活動が低調な時期には国内交信が困難だった14MHzが特に強力に聞こえており、多くの局から呼ばれました。
講演者である筆者は、出展者とは違って、開場前に会場内に立ち入ることができませんでした(写真2)。そのため、開場を待つため建物の外で時間を過ごし、開場後は各ブースを回った後、別の建物にある講演会場に移動しました。
今回の講演テーマである「レンタカー移動運用セット」は、この連載でも紹介している通り、筆者が独自に開発を続けているものです。月刊FBニュース以外の雑誌等で類似の記事が掲載されることは非常に少ないと思われます。
このセットの重要な特徴は、無線機専用のバッテリーを使用して、車から電源を取って充電することで、発電機を使用しなくても運用できる点です。IC-705を使用すれば、電源も含めた全ての設備を手持ちで輸送して、1.9~430MHz帯とサテライト通信を運用することもできます(2021年8月号を参照)。講演で使用した資料の一例を図1に示します。
講演では、多くの方から質問をいただき、今後の参考になる貴重な意見をいただきました。ご来場いただいた皆様には、この場を借りてお礼申し上げます。
写真2 西日本ハムフェア入場前の様子
図1 講演で使用した資料の一例
前日(3/11)は福岡空港からレンタカーで移動し、途中の運用場所は衛星の時刻に合わせて決定する必要がありました。前日は4か所での運用になりました。
福岡県大野城市の公園に移動し、荷物を開梱してレンタカーに設置した後、運用を開始しました。この市は東側に山があり、運用場所の確保が比較的難しい市です。ここでもコンディションが良く、時間があれば28MHz帯でも何局か交信できそうな気配でした。しかし、7MHz帯から18MHz帯まで順にQSYした所で時間切れになりました。
中間市は河川敷の駐車場で運用しました(写真3)。各種の花が咲き始めており、写真を撮る人や釣りを楽しむ人で賑わっていました。
写真3 中間市での運用の様子
北九州市小倉南区で短時間運用した後、田川郡香春町(かわらまち)の運動公園に移動しました(写真4)。時間が限られているので、14MHz帯から順に下がるようにしました。特に10MHz帯の近距離が好調でした。7MHz帯以下は、アンテナが短かったことと、日没の時間が遅くなって1.9MHzの入感が弱く、かつ伝搬のコンディションも良くなかったことから、これらの周波数帯でのQSO数は予想したほどは伸びませんでした。
写真4 田川郡香春町での運用の様子
講演後は、福岡空港に向かう途中、糟屋郡須恵町と糟屋郡志免町(しめまち)で運用しました。西日本ハムフェアの開始時点では青空だったのに、須恵町で運用中に雨が降り始め、志免町に移動して運用を続けると、さらに雨が激しくなりました。運用を予定より早めに切り上げて、雨が弱まったタイミングで急いで撤収しました。
機材を濡れたまま収納すると、サビで配線が腐食したり、カビが生えたりすることがあります。この時期は気温が低く、宅配便は翌日に自宅に到着したため、すぐに乾燥させることができて機材は無事でした。
結果を表1に示します。運用時間が限られており、空振りCQによる時間のロスを避けるため、呼ばれなくなったらすぐにQSYする忙しい運用でした。それにもかかわらず、2日間の合計で990QSOできました。最後の大雨が無ければ、1,000QSOに到達したと思われます。
表1: QSO数
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