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Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その66 SOTAを楽しむ仲間たち3

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

2023年4月17日掲載

桜前線も順調に北上中、この記事が掲載されるころはちょうど津軽海峡を渡るころになるでしょうか? いい季節になってきましたね。山ではウグイスやシジュウカラなど多くの鳥のさえずりも聞こえています。さて今月はSOTAを楽しむ仲間たちということでJG1BOK川真田さんからの投稿を掲載させていただきます。川真田さんは真冬でも毎週SOTAアクティベーションを続けられているとてもアクティブな方ですが、最近の運用スタイルにカーボンロッドのアンテナを取り入れておられるようです。さて、カーボンロッドアンテナの実力がどうなのか? 川真田さんにぜひ語っていただきましょう。



カーボンロッドで軽々SOTA

JG1BOK 川真田 智


SOTA運用、なかでもHF帯の運用で気になるのは「アンテナをどうするか」です。軽い、コンパクト、展開時のフットプリントを小さくする、等々、これまで色々工夫して来ました。二年ほど前、JG1GPY局より、カーボンロッドを活用した軽量アンテナを紹介いただき、早速実験した結果、良好な結果を得ました。そこで、最近のSOTA運用では、すべてカーボンロッドを使っています。ダミーロードなのでは? とか、色々疑問を投げかけられることがありますので、使用感や実績についてまとめてみました。

まずは、最近使用しているシステムの紹介。


写真のような、小継のカーボン渓流竿をエレメントとしたロングワイヤーアンテナとしてATU併用で使用しています。竿は長さ5.3mで140g、以前使用していた3mのグラス竿が200g、さらにグラス竿にはエレメントワイヤーも必要です。システム重量(自立用品、ラジアルなどを含めたもの)の比較を下表に示します。カーボンロッドアンテナの軽さが際立っていることが分かると思います。


カーボンロッドの使い方は、写真のように給電部の塗装をはがし、その部分に目玉クリップで給電します。KXシリーズの場合は内蔵ATUを使いますが、IC-705の場合は直下にATU(エレクラフトT1)を配置します。いずれもコールド側には4m程度のカウンタポイズを地面に這わせています。

カーボンロッドは細く、軽量なので自立も簡単で、微風ならストックで支える程度、強風の場合は細引き2本をストックと併用しますが、よほどの強風でもない限り転倒したことはありません。

設置・展開は早く、5分程度で完了します。フットプリントは1m四方程度、流行りの山ゴハンを楽しむ程度に収まっていますので、よほど狭い場所でもない限り、他のハイカーの邪魔にはならないと思っています。


カーボンロッドアンテナ設営状況(IC-705+T1)

使用感ですが、14MHzから上は十分使え、7MHzは少し心もとない、という感触です。7MHzは「長さなり」よりも低調な感じで、聞こえても届かないことをよく経験します。ローバンドは苦手の様ですが。その弱点を考えても、軽量、コンパクト、手軽さ、は抜群です。実績ですが、2021年7月から2023年2月までのSOTA運用QSO数は下図の様になります。


SOTA運用におけるQSO数

アクティベーションは148回、ほぼ毎回1時間程度の運用ですが、1回あたり約11QSO(JA8+DX3)と個人的には十分満足しています。相手はJAが多いものの、DXからも呼ばれていて、ほぼ毎回のように、熱心な台湾やアメリカ西海岸のDXチェイサーの方々に呼んでいただいています。バンド別にみると、ローバンドは少なく、14-18MHzバンドが最も多くなっています。今後のコンディション向上でハイバンドが面白くなってくることを考えると、カーボンロッドがますます活躍するものと期待しています。

また、細身、軽量という点を活かして、ハンディアンテナとしても活用してみました。同じ5.3mのロッド用に3Dプリンターでブラケットを作り、KX2と合体、ハンディスタイルで運用しました。微風程度であれば問題なく使えますが、ホールドする手が疲れるので、短時間運用に限られるように思います。人が多い場所、狭い場所、などでのHF運用では、この形が適していると思います。


カーボンロッドハンディでのSOTA運用状況

この、ハンディHF運用風景はYouTubeに上げましたので、そちらもご覧いただければと思います。https://youtu.be/JMWxPTjf4Oc

軽く、コンパクトで、素早く設置できる、お手軽HF運用にもってこいのカーボンロッドアンテナ。実績から、結構使える物だと思いますので、今後も改良しつつ活用していく予定です。ちなみに、アンテナなどの工作記録はブログhttps://jg1bok.seesaa.net/に、山行と運用状況の記録はYouTubeのBOK_SOTA_Channelに、適宜Upしていますので、興味ありましたら、そちらをご覧いただければと思います。



いかがでしたでしょうか? SOTAでは装備の軽量化が鍵。それをカーボンロッドとさらに3Dプリンターでとことん追求している素晴らしい努力、そしてその努力に似合う成果が出ているようですね。毎週のアクティベーション、ますます追いかけるのが楽しみになってきました。

SOTA日本支部ではSlackを使ったコミュニティプラットフォームがあります。すでに100人以上のSOTA愛好家の方々が参加されています。このコミュニティに新たに参加をご希望の方は私宛のメール、ja1ctvアットマークjarl.comでも結構ですし、SOTA日本支部のホームページの問合せのページから連絡を頂いても結構です。登録案内を送らせていただきます。

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