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第四十一回 74HC192と74HC4511を使ったアップダウンカウンタの説明

2023年4月3日掲載


Dr. FB

本ウェブマガジン「ラジオ少年」のコーナーにアップダウンカウンタの製作(1)が掲載されています。このコーナーではアップダウンカウンタに使用されるICや7セグメントのLEDに関する補足説明を行います。

2進数4ビット(BCD)と10進数の関係

図1は、74シリーズのICを使った1桁のアップカウンタのブロック図です。IC1(74HC192)は、プリセット可能な同期式4ビットアップダウンカウンタです。IC2(74HC4511)はBCD出力から7セグメントLEDをドライブするICです。IC1は入力されたクロックの数をBCD(Binary Coded Decimal: 2進化10進数)で表現します。


図1 74HC192を使ったアップカウンタのブロック図

例としてIC1のクロック入力端子に3個のクロックを入力したとします。IC1の出力端子Q0~Q3にはBCDで3を表す「LLHH」の信号が現れます。Lは0V(GNDレベル)、Hは電源電圧とほぼ同じ5Vのことです。これをBCDあるいは2進数で表現すると「0011」となります。
Q0: L(0)
Q1: L(0)
Q2: H(1)
Q3: H(1)

74HC4511(IC2)は、7セグメント・デコーダと呼ばれA~DのBCD入力を7セグメントの表示に変換する働きをします。

図2は、その4ビットBCDの入力信号と出力信号の対比表です。4ビットの最下位の桁は2の0乗、2桁目は2の1乗、3桁目は2の2乗、そして最上桁を2の3乗ですから、4ビット全部がLのときはBCD表記では「0000」となり、7セグメントのLEDは数字の「0」を点灯します。また、全部がHとなるとBCD表記では「1111」となり「15」を表すことになります。4ビットですから2の4乗、つまり0~15までの数字を表現できることになります。1桁のカウンタですから10以上は10進数では表現できませんが、16進数では下表の表記となります。


図2 10進数に対する2進数、BCD、16進数の表現

IC2はクロック数をBCDで受けて、a~gの7セグメントLED用の信号で出力します。その対応表を図3に記します。


図3 BCDの出力と7セグメント出力の関係

アクティブ“High”とLEDの点灯

IC2のa~gの端子がHとなったときに330Ωの抵抗を通して、7セグメントのLEDに電圧が印加され、LEDの各セグメントが点灯します。出力がHのとき、LEDが点灯するのでこの出力をアクティブ“H”(Active High)といいます。

BCD(2進化10進数)

BCDは、2進数と10進数の中間の性質を持つような数値の表現方法です。10進数で1桁の数字(0~9)であれば2進数表記もBCD表記も変わりませんが、2桁以上になると異なります。BCDは10進数を各桁に分けて、各々の桁を2進数で表す表現方法です。

15を2進数の4ビットで表現すると1111となり、8ビットでは00001111となります。同じく15をBCDで表現すると、10の位の1と1の位の5に分けて2進数で表現しますから10の位が1、1の位が5となります。それぞれの桁を4ビットで表現すると下のようにかります。(図2参照)
10の位(1): 0001
1の位(5) : 0101
15をBCD表記すると「0001 0101」となります。

アクティブ“High”とカソードコモンLED

7セグメントLEDをドライブするIC2(74HC4511)は、アクティブ“H”のICです。つまりa~gの各端子がHになったときの出力を7セグメントLEDの点灯に使用するため、7セグメントLEDは図4に示したようにカソードコモンのLEDでなければなりません。


図4 7セグメントLEDにはカソードコモンとアノードコモンがある


図5 7セグメントLED(カソードコモン)

図4で示したカソードコモンのLEDは、全ダイオードのカソードを束ねた端子(Common)をGNDに接続し、それぞれのダイオードのアノードをIC2のa~gに電流制限の抵抗を通して接続します。

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