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第19回 IC-705/AH-705を楽しみましょう!

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こんにちは! 新人編集員のアキラです。季節は春ですね、昼間だと移動も楽しくなってきましたね。前回のMLA(マグネチックループ・アンテナ)に続いて、今回もアンテナ関係のお話です。ATU(オートマチック・アンテナチューナー)のAH-705が手元に届きましたので、色々楽しんでみたいと思います。今回はIC-705とそのオプションのAH-705の使用レポートです。

今回はね! 先に結果を言っちゃうけど、ワオー、ファンタスティック、なんていいアンテナチューナーなんだ!! って思いました。IC-705とAH-705の組み合わせがいいー。 “よーできてはりまっせ!”という感想です。使い勝手がよくできている、最近のソフトの進化が体感できるよ。他のモデル用にも、こんなの欲しいなあーと思いましたよ。

さてさて、ちょいと落ち着いて見ていきましょう。AH-705はIC-705とプラグ&プレイで簡単接続/操作ができます。そして、高インピーダンス系と50Ω系アンテナの両方に対応しているということも、すごくいいですね。本体が450gという重量は移動運用にも快適で、13.8VのDCや、単三電池2本でも動作します。単三2本で大丈夫なん?て思いますが、それはラッチングリレーというリレー自体が動作状況を保持するものを使っているので消費電流が大変少ないのですね。それからAH-705はファームアップ対応(本体IC-705を通じて行えるようです)の機能があるので、将来のソフトの改良などがでれば即対応できますね。アンテナチューナーも新たな世代の製品になってきていると実感させられますね。

無線機本体のIC-705ですが、AH-705の発売に併せてファームウエアがVer1.20にアップされています(最新版はVer1.24)ね。ですから、まず初めにIC-705のファームアップをおこないました。スコープの機能やFT8の運用がしやすくなる機能など、色々な機能アップになっているようです。そして今回IC-705とAH-705が一体感のある操作ができるようになり、今までにない感覚のとてもよい使い勝手になります。そうプラグ&プレイということですね。

それでは、まだ今もできるだけステイホーム継続を心掛けていますので、ネット注文して宅配便で到着しましたAH-705を開封してみましょう。


箱の中には取説と保証書が入っていますが、アンテナチューナー本体とIC-705と接続するために必要なケーブル類、他一式も入っています。別に用意するものは単三電池2本だけです。


https://www.icom.co.jp/lineup/options/LC-192/を参照してください。

さてそれでは、IC-705とAH-705、そしてアンテナをつないでみましょう。下記の接続図のような感じですね。


今回、私はアンテナしては、コメットのHFJ-350MとHFJ-L1.8/1.9と、ロングワイヤー(釣り竿式)の2パターンを使ってみたいと思います。いつものリビングにIC-705をちょこっと持ってきて、AH-705とアンテナ類はベランダに設置します。


さて、チューンの設定他について、事前にMENU画面よりセットアップしておきます。AH-705の使い方は、次の3つのチューン操作法があるようです(詳しくは取説を見てね)。

① PTTチューン

② 「TUNER」ボタンよるチューン

③ スピーカーマイクのリモコンキーによるチューン

結局、私は①と③が使えるようにセットしました。とっても使い勝手がよいです。

AH-705のチューンメモリー
AH-705では「MENU」から、チューンメモリーをON設定しておくと、チューニングが取れた状態をメモリーします。次回に同じ周波数でチューニングするときには、そのメモリーを呼び出しますので、チューン完了までの時間が早く(ほぼ瞬時)なります。でもアンテナを切り替えたりして前回と状態が違うなどのとき(チューンされない)は通常のチューン動作が行なわれます。


AH-705とHFJ-350M+HFJ-L1.8/1.9で使ってみる(地上高は約20m)。
まず、コメットのHFJ-350Mを試しに使ってみます。7から50MHzで、メーカー推奨値のロッドエレメントの長さでテストしてみます。すべてのバンドで問題なくチューンがとれました。ちなみにAH-705は、ミノウラのバイクスタンドにMLAの下部に居候して取り付け(仮付け)しています。そしてアースはしっかりと取ってあります。


もちろん7から50MHzはロングワイヤーでの運用の方がバンド切り替えの手間などがなくてよいのですが、移動運用時での組み合わせも考えてHFJ-350Mの動作を確認しました。でもAH-705との組み合わせで使うと調整/SWRの追い込みが、とーっても楽です。これはやめられませんなーというグッドな手応えでした。

次に3.5MHzと1.8/1.9MHzで使ってみる。
じつは本命の目的は、これらのローバンド帯での使用です。今まで3.5MHz拡張コイルや、HFJ-L1.8/1.9は、さらっぴんのままで使ったことがなかったのです。大本命は1.8/1.9MHz帯での試験/運用ですが、まず3.5MHzからみてみます。3.5MHz拡張コイルを装着して、ロッドエレメントをメーカー推奨値=910mmにします。3.5MHz帯~3.6MHz帯はすっとSWRが下がります。そのままで3.75MHzまでは、なんとか頑張りますが、上限の3.8MHz近くに行くとロッドエレメントを少し短くしないとなりません。でもなんということでしょうか(ビフォーアフター風に)、AH-705があれば3.5MHz帯全般に簡単に出やすくなるということです。コイルを併せても1m少々の長さのアンテナで、3.5~3.8MHzに出られるということですからね。とても手軽です。


しかし、いいことばかりではありませんね。HFJ-350Mから、釣り竿エレメント(約8m長)に替えて、FT8の聞き比べをしますと、釣り竿エレメントのほうが少なくとも4~5dBは受信感度がいいですね。でもこれはチョイスで、当たり前の結果ですよね。

さてさてさてー、1.8MHz/1.9MHz帯にいってみましょう! 私はここでチョンボをしました。1.9MHz帯はさっぱりSWRが下がりません、なぜじゃー、どーしてじゃー。はい答えは、ごめんなさい。取説をみないで勝手にコイルをあれこれしていました。取説をみて、ああーっとセットしたらOKでした。ちなみに下図(一生懸命に作図しました)が私の実験/実測の結果で、3.5/3.8/1.9/1.8MHzの全てで運用可能でした。


ただいまの時間帯は金曜日の夕刻なので、1.840MHzでFT8の信号がぴーひゃら、ぴーひゃらと結構聞こえてきますね。これはFT8をデコードしてみたくなる音ですね。
という訳で、ラズパイFT8をIC-705の横にセットアップしました。

AH-705+HFJ-350M+HFJ-L1.8/1.9での1.8MHz/FT8入門コース

はい、えらいやっちゃ、えらいやっちゃですね。なんと1/100波長の長さのアンテナ+AH-705で、とりあえずは1.840MHzでFT8が運用できましたねえ。

本日夕刻から夜遅くまでかかりましたが、交信実績は国内12局でした。交信エリアは、1/2/3/4/5/6/0でした。さらに違うエリアも聞こえていましたので、うまく運用すればONE DAY AJD(1日で、1から0までの国内10エリアと交信すること)も可能と思われます。えっなんですか? DXはって、そうですねBH(中国)とKH2(グアム)とは信号レポート交換まではいったのですが、RR73まで至らず交信成立になりませんでした。

日々のコンディションにもよりますが、ある日の私の1.840MHzの電波の飛びの様子をDisplay Reception Reports (pskreporter.info) (PSK-Reporter)でみてみました。


© OpenStreetMap contributors

移動運用は、やはり昼間が多いですから、移動で泊まり込みでの夜間運用はどうでしょうか。私は、このバンドはお家から出る“夜のおとも”の方がいいですね。もう少しエレメント長が長いアンテナも欲しいところです、でもアパマンでは、30mの長さのロングワイヤーはなかなか張れませんよね。今後も自分の技術力/アンテナ力の研鑽を進めていきたいと思います。(ちなみに1.840MHzのAJDは、早々に達成出来ました)

ロングワイヤーで使ってみる。
それでは、地上高約20mの我が家の最強・釣り竿式ロングワイヤー・アンテナにAH-705を接続して試験しましょう。ちなみにワイヤーのエレメント長は約8mです。


その結果は簡単でした。3.5MHzから50MHzまで、約8mのエナメル線のエレメントで、全バンドで良好にチューンが取れました。また効能書きの通りですが、一回チューンが取れた周波数への再チューンは早いです。AH-705+ロングワイヤーはマルチバンド運用がとてもスムースです。AH-705では適切なLCネットワークと最適なチューニング・アルゴリズムなどによって、よりしっかりとSWRを追い込んでいるなあと実感できます(やるなー、ええでーと思いました)。でも1.8/1.9MHz帯では約8m長のエレメントでは、当然ですがチューンはとれませんでした。

最後にですが、単三電池2本はどうなのか、どれくらいもつのか?
AH-705が宅配便で到着した日に、100均ショップの単三アルカリ電池を入れました。それから1週間は経ちました、また今回の試験でバンド切り替え/チューンをおこないましたがずっと元気に動作しています。正直1~2日の移動運用であれば、最低その期間くらいは働いてやーと思っていましたが、ここでも“AH-705やるやん”でした。エコで優秀な結果ですね。(追記: もう1か月、電池入れたままですが、働いていますよ)

消費電力で最もパワーを食うのはチューンする回数(リレーが動作)と比例するのでしょうね。誰か実験してみますか? (笑い)。チューン動作していない静的状況ではラッチングリレーやロジック回路もスリープ動作などで低消費電力になっているのだと想像しています。この理屈でだいたい当たっていると思います。

●あとがき
今回購入したAH-705は、うーん、とってもよいですね。IC-705での今後の移動運用が楽しくなること請け合いです。昨年までの移動ではバンド切り替え毎に、アンテナの微調に何回も手間が要りました。今後は交信時間がうんと増えて快適になりますね。
IC-705+AH-705のコンビネーションは、移動運用では最強タッグのリグになりますね。
そして、お家運用でも楽しめますよ。

おまけの情報
アンテナ関係の事を書いていて、アパマン族のみならず気になるのは、アンテナに関して何か事故があった時の事ですよね。ベランダからアンテナ類が落下した時とか。

コマーシャルみたいですが、JARL会員ならば、会員向けの「アンテナ第三者賠償責任保険【施設所有(管理)者賠償責任保険】」がありますね。JARLの会員が所有、使用または管理しているアンテナやタワーが不備により倒壊し、第三者に怪我を与えたり物を壊してしまった場合、民事上の賠償責任に備え1事故あたりの支払限度額(身体障害・財物損壊共通)5億円ですが、年間保険料はわずか1,600円ですよね。

現在、未加入の人は2022年1月以降の分から保険加入(ちょっと先ですが)できますよ。現在の保険期間は2021年1月1日午後4時から2022年1月1日午後4時までです。1年に1回の募集なので例年では、その年の9月頃から12月上旬までに申し込み/払い込みが必要です。私は毎年加入しています。いつもベランダでの作業は気を付けていますが、万が一のときは少し安心です。ご存じの方は多いと思いますがお勧めですよね。

皆さんFBDX。ではまた次回まで。

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