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台湾のアマチュア無線事情

その1: 台湾のアマチュア無線の歴史

JI1GYO 王新華

はじまりの時


初期の無線機

台湾のアマチュア無線の歴史と言えば、20世紀初頭の中国の歴史から説明するのが解りやすいでしょう。1930年代の中国は戦争などで、アマチュア無線の活動や発展がなかった時代でした。無線機の技術や生産能力もなく、軍や情報機関など政府に関連する機関が、輸入された無線機や関連機器を限定して使用していました。一部を除き一般市民は無線機の所有はもちろん、自由に運用することができなかった時代でした。

戦後、1990年までの間に、少しずつ動きがあり、合わせて3つのアマチュア無線団体が発足しました。最初は杭州で発足した中国無線連盟(CRL)、その次は重慶で発足した中国アマチュア無線連盟(CARL)、最後に台湾の台北を拠点とした中国無線協会(CRA)が発足しました。その頃、ついにアマチュア無線が解放された台湾に、アメリカ、イタリア、フィンランド、オランダや日本などから沢山のアマチュア無線家が台湾を訪問し、台湾からアマチュア無線で海外交信をしたいとの要望を出していた様です。

1984年以前の台湾では、BV2A(CW)とBV2B(SSB)という2つのアマチュア無線局しかありませんでした。当時、海外から台湾と交信できる数少ないアマチュア無線局だったため、とても人気が高まっていました。台湾のコールサインが聞こえると常にパイルアップ状態でした。BV2AとBV2BからはQSLカードが沢山発行され、海外に送り出されました。このようなトレンドが台湾のアマチュア無線家達をもっと世界とつながりたいと思うようにしていったのです。



中華民国台湾の初期の主要ラジオ放送局が発行したベリカード(画像提供 Phil Finkle, K6EID)

1984年に台湾交通通信部が、一般市民を対象とした初めてのアマチュア無線免許試験を実施しましたが、その試験の合格者はわずか21人でした。しかし、5年後に行われた2回目の試験では79名が合格しました。その後は1989年までに3回の試験が行われ、合格者は合計600人を超えました。このような結果、台湾では短期間にアマチュア無線家の人数が急速に伸びていきました。

多難な時期から始まった台湾のアマチュア無線

戒厳令下の1991年の台湾では、無線通信を行う事は厳しく管理され、多くの制約があった時代でした。そんな厳しい環境においてもアマチュア無線家の人数が急増したのは、無線通信が世界中で流行した影響もありました。しかし、免許試験の受験者の多くは、退役軍人や放送技術者など、公共の電波通信に関わる職業の人が多い傾向にありました。


歴史的アイテム: 台湾にある初期のラジオ塔


中華民国政府が台湾に再進出した後の歴史的事実:
台湾の主要都市には、軍人や政府役人、その家族のための数百もの軍人村が配置されていました。

1984年前後の当時、故陳實忻氏は2つ存在していた最初の無線局BV2AとBV2Bの唯一のアマチュア無線家であり、陳氏が台湾の無線活動を推進するため、中華台北アマチュア無線連盟(Chinese Taipei Amateur Radio League, CTARL)を結成し、初代会長に就きました。また、1991年10月には国際アマチュア無線連合(International Amateur Radio Union, IARU)に第3地域の国別会員として加盟し、陳氏が中心となって活動しました。さらに、CTARLの主要メンバーの一人である眼科医の林伯龍氏(BV5AF)とともに、中国本土のアマチュア無線連盟にも働きかけ、その認知度を高めました。一方CTARLは国内のアマチュア無線局の増加に伴い、関連する国際的なタスクを実行することができました。これらの要因もあって、全世界のアマチュア無線局数は、この激動の時代にピークに達したのでした。


CTARLのロゴ

アマチュア無線免許の詳細や試験について

アマチュア無線の通信は営利ではなく、個人的な興味として活動することが求められます。これが免許試験を受けるための基本的な条件となっています。また、無線活動を監督・管理する義務があるほか、社会的な規範として、アマチュア無線家同士がお互いに尊重し合う姿勢が求められます。

1996年時点では、アマチュア無線の資格は4つのクラスが制定されましたが、1999年以後は3つのクラスに簡素化されました。さらに試験は、国家通信規則の設定や管理をしていた国家通信委員会NCC(NATIONAL COMMUNICATIONS COMMISSION (ncc.gov.tw))が管理するシステムに変更され、筆記試験方式の代わりにパソコンで試験を行う方法になりました。この改善により、申請手続きが簡素化され、試験結果を待つ時間も短縮されて、試験に合格したオペレータには早々に免許が与えられるようになりました。



台湾では、移動するアマチュア無線局は出力が25W以下に制限され、1つの免許につき1台の無線機に限られます。25Wを超える出力の無線機は、基地局(固定局)としてのみ使用することができます。


基地局のイメージ

台湾のアマチュア無線免許保有者数と無線局数

この20年間で台湾のアマチュア無線家の数は着実に増加しています。2021年現在、操作免許保有者と無線局免許保有者は、それぞれ以下の表のようになっています。

台湾では、試験に合格するとまず操作免許を取得することができます。操作免許に加えて、型式検定に合格した無線機器(設備)を所持している場合に限り、無線局免許が与えられます。

操作免許の等級と保有者数


無線局免許の保有者数


台湾におけるアマチュア無線の発展には、まだまだ多くの困難があり、さらなる発展のために突破すべきポイントがあります。アマチュア無線関連の協会や施設は、イベントや活動を通してこのミッションをサポートしなければなりません。また、社会的義務を果たして国家に貢献しなければなりません。それらの団体がどのようなもので、どのような活動をしているのかは、次回以降にご紹介します。

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【参考文献】
(1)NCC NEWS May 2016 issue in Mandarin Chinese
(2)CTARL official website

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次号は 12月 1日(水) に公開予定

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