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日本全国・移動運用記

第74回 長野県下伊那郡移動

JO2ASQ 清水祐樹

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長野県下伊那郡は、郡としては日本最多の13町村があり、山間部で移動運用が難しい町村もあることから、日本の全市町村との交信を目標とされている方から、移動運用のリクエストが多い地域です。今回は、飯田市よりも南側にある8町村で、日帰りで2日間に分けて運用しました。

事前の準備

運用場所は、事前にインターネット上の航空写真などで検討しておきました。一般に移動運用では広い場所が望ましいといえます。しかし広いだけでは不十分で、人通りが多いなどの理由で、運用に適さない場所もあります。実際にはいくつかの候補地を選定しておき、現地の様子を見て決めることになります。さらに、筆者の場合はサテライト通信を運用するため、周囲に山や建物が無い場所を選ぶ必要があり、その調整には苦労しました。特に下伊那郡天龍村は集落全体が急斜面にあり、周囲が開けている平地が全く見当たりませんでした(写真1)。


写真1 天龍村の様子。山間部にあり、平地は全く見当たらない。

1日目 平谷村-売木村-天龍村-阿南町-根羽村

1日目は、午前5時台から平谷村で運用を開始しました。町の中心部に観光客向けの広い駐車場があり、車1台分のスペースにアンテナを設置するのであれば、運用場所の確保は容易でした(写真2)。しかし山に囲まれており、サテライト通信では衛星が低すぎて見えないパスもありました。

10月に入っても名古屋では最高気温が30℃に近い日が続き、筆者もその暑さに慣れていました。この日の平谷村の最低気温は10℃で、事前に用意しておいた上着を用意して寒さをしのぎました。ところが日中は天気が良かったため、閉め切った車内では室温が上がり、身体にこたえる暑さになりました。

1.9MHz帯は一般に夜間に遠距離との交信が可能なバンドと言われています。秋から冬にかけては、日の出の前後の時間帯にも伝搬が良好になり、多くの局が運用しています。ここでは長さ5mの自作ホイップアンテナを使用しました。1.9MHz帯は、長さ2.5m程度のアンテナを使用した場合、山間部や建物に囲まれた場所での運用では、近距離との交信が難しくなります。長さが5m程度のアンテナであれば、周辺環境の影響を受けにくく、信号強度が安定します。平谷村では朝6時台に1.9MHz帯で16局と交信できました。


写真2 平谷村での運用の様子

売木村は、南北方向に開けている駐車場を利用しました(写真3)。東西方向には山があり、愛知県からの信号は弱くなりました。電離層の状態はあまり良好ではなく、7MHz帯では広い範囲が強力に聞こえたものの、HF帯のハイバンドはほとんど聞こえませんでした。


写真3 売木村での運用の様子

下伊那郡の最も南東にあり、山に囲まれた天龍村に移動しました。途中の国道は道幅が狭く、車のすれ違いが困難な所もありました。天龍村は山の斜面に集落が広がっていて、広い平地は全く見当たらず、村の中心部にある駐車場で運用しました(写真4)。写真の左側にある電柱が上部しか写っていないことから、駐車場は急傾斜地にあることが分かります。

ここではHF帯の7MHz帯や10MHz帯に加えて、サテライト通信のリクエストもありました。山に囲まれていて衛星の見える時間が限られているため、運用は困難といえます。1パス当たりの時間が最も長いRS-44を利用して、目的の局と交信できました。7MHz帯や10MHz帯は、この程度の山であれば伝搬に大きな影響は無いようで、多くの局と交信できました。


写真4 天龍村での運用の様子

阿南町に移動すると、周囲はある程度開けた場所が多くなりました(写真5)。しかし、住宅地に面した場所でソーラーパネルがあり、そこから発生すると思われるノイズで苦労しました。山間部の移動でノイズに悩まされるとは予想外でした。夕方になってHF帯のハイバンドの伝搬が良くなり、14MHz帯で1エリアが聞こえるなど、17時台にはHF帯だけで1時間に90QSOを記録しました。


写真5 阿南町での運用の様子

2日目 泰阜村-下條村-阿智村

2日目の朝は恵那市と飯田市で運用した後、泰阜(やすおか)村に向かいました(写真6)。山間部での運用を続けていると、山が遠くにある場所では周囲が開けているように錯覚して、低い仰角の衛星の信号も聞こえるように感じます。しかし、実際には山が大きく影響して、衛星からの信号が聞こえる時間が短くなります。ここでのサテライト通信は、1日目の天龍村と同様に、RS-44を1パスだけに限定しました。この衛星は時間が20分以上あるので、山間部での運用に適しています。


写真6 泰阜村での運用の様子

14時を過ぎると、10MHz帯の近距離が聞こえるようになり、ある程度のQSO数を確保したところで下條村に向かいました(写真7)。下條村でも10MHz帯で多くの交信ができました。この場所は南側が開けており、愛知県や三重県の局が強力に聞こえていました。帰りに阿智村を通過するので、ここでも運用しようと考え、路肩の駐車スペースで1.9MHz、3.5MHz、サテライトを短時間運用してから帰路に着きました。


写真7 下條村での運用の様子

結果

町村ごと、1時間ごとのQSO数を図1に示します。10月はHF帯の伝搬のコンディションがあまり良くないので、春~夏に北海道や離島で体験できる1時間100QSO超えと比べると、ゆったりとしたペースで交信が進みました。昼間、7MHz帯の近距離があまり聞こえない時間帯には、3.5MHz帯に積極的に出てみることで、日の出から日の入りまで、HF帯はほぼ絶え間なく呼ばれ続けました。


図1 下伊那郡の各町村でのQSO数。サテライトはCW/SSB、その他のバンドはCW。16日は下伊那郡以外の、恵那市と飯田市でのQSO数も集計に含めた。これ以外にD-STARのレピータ経由で7QSO。

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