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総務省「アマチュア無線の制度改革」を官報で公布

2023年4月3日掲載

総務省は3月22日の官報(号外第56号)で、「アマチュア無線の制度改革」に関連する電波法施行規則等の一部を改正する省令、および関係告示などをまとめて公布した。このうち免許事務処理システムの改修が必要な「免許制度の簡素合理化」関連と、制度周知が欠かせない「バンドプラン(周波数の使用区別)」など一部は施行日を今年9月25日からとし、それ以外は公布日の3月22日から即日施行となっている。


令和5年3月22日付け「官報(号外第56号)」。「アマチュア無線の制度改革」に関連する電波法施行規則等の一部を改正する省令および関係告示は50ページを超える厚さ。「インターネット版官報」のサイトから無料で閲覧可能

総務省は2022年1月から、有識者による「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」を開催、そこで取りまとめられた「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線の活用に関する提言」などをふまえ、昨年11月にアマチュア無線の制度改革案を作成し、1か月間にわたり意見(パブリックコメント)募集を実施した。

2023年2月には意見募集の結果と総務省の考え方を公表(2023年2月号のニュース参照)、さらに電波監理審議会の諮問・答申を経て、ついに3月22日「電波法施行規則等の一部を改正する省令および関係告示」として官報で公布された。

「即日施行」と「9月25日施行」がある

公布された内容は多岐にわたる。公布日である3月22日に即日施行されたものが多いが、免許事務処理システムの改修が必要なものや制度周知が欠かせないものなど、一部は2023年9月25日の施行となっている。

<3月22日に即日施行されたおもな事項>
・アマチュア無線の交信体験機会の拡大
・教育活動や研究活動でのアマチュア無線の活用の明確化
・養成課程で同時受講型と随時受講型授業の組合せが可能に
・人工衛星等のアマチュア局に関する制度の明確化および整備
・非常時や緊急時の通報等で「他人の依頼による通報」が可能に
・行事等に伴い臨時かつ一時の目的のために運用するアマチュア局の明確化
・同一構内で行われる遠隔操作の簡素合理化
・旧コールサイン申請時の確認書類の簡素合理化
・社団局のゲストオペレーター制度の規定の明確化
・周波数測定装置の規定整理
・二次業務の周波数の使用について
・電波の強度に対する安全施設について
・レピーター局・アシスト局の審査基準を明確化、簡素合理化
・公衆網接続についての整理簡素化
・設置場所・常置場所と申請者住所が異なる場合の「開設同意書」について

<9月25日に施行されるおもな事項>
・無線従事者免許と無線局免許の同時申請手続きが可能に
・電波型式、周波数、空中線電力の一括表示記号の導入
・技適証明等を受けた無線設備の取換え・増設・撤去の手続き簡素化
・無線機の外部入力端子に接続する「特定附属装置」の手続きの簡素合理化
・ライトユーザー向けに無線局免許申請書の特例様式を導入
・アマチュア局の再免許申請期間の始期の見直し(申請期間の始期が6か月に)
・いわゆるバンドプラン(周波数の使用区別)の簡素合理化


総務省が2月に公表した「主な事項ごとの施行時期(予定)」より

JARLはいち早く「制度改正のポイント」を公開

3月22日の午前9時前、インターネット版官報で「アマチュア無線の制度改革」関連の改正省令などが公開されると、その数時間後にはJARL(一般社団法人日本アマチュア無線連盟)は公式サイトのJARL Webを更新し、「3月22日、電波法施行規則等の一部を改正!!~アマチュア無線を活用したワイヤレス人材育成等に期待~」という速報を掲載した
(https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/News2023/2023_news-3.htm#0322)。


3月22日午前、JARL Webに掲載された速報記事

同時にJARLは、総務省総合通信基盤局電波部移動通信課の作成による「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線の活用等に係る制度改正について①」という解説記事(機関誌「JARL NEWS」2023年春号に掲載予定の記事から抜粋)のPDF(全9ページ)も公開した(https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/News2023/seidokaisei1.pdf)。

改正に至るまでの経緯と目的、改正内容のポイントがわかる記事で、JARL非会員も閲覧可能なので読むことをお勧めしたい。


JARLは「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線の活用等に係る制度改正について①」と題した解説記事をPDFで公開

この中には、今後のアマチュア局の免許申請や運用に深く関わってくることが考えられる、次のような解説もある(記事より一部抜粋)。



6. 電波の強度に対する安全施設について
安全・安心な電波利用環境を確保する観点から、移動しないアマチュア局については、その無線設備(平均電力が20mW以下のものを除く。)から発射する電波の強度が、電波法施行規則別表第2号の3の3に定める値を超える場所に人が容易に出入りすることができないように施設されていることを書類等により確認することを明確化しました。

これまでも、免許申請手続においては、無線局事項書及び工事設計書の様式に従って、無線設備が電波法第3章に規定する条件に合致することを申請者が確認した上で工事設計書を作成・提出することとしております。すなわち、電波法施行規則第21条の4の安全施設については、電波法第3章に規定する条件に含まれるものであり、平均電力が20mWを超える移動しないアマチュア局については、申請者が申請時点等においてその適合性を確認することが原則です。

(中略)

今回の制度改正では、この適合確認が行われていることを審査するために、書類等の提示を求めることを明確化しました。人が通常出入りする場所における電波の強度が基準値以下であることを確認した書類(電波の強度の算出資料など)を申請書に添付してください。

電波の強度が基準値以下であることを確認する方法については、「電波防護のための基準への適合確認の手引き」を御確認ください。電波利用ホームページにおいて、詳細な情報や簡易的な適合確認プログラム(ツール)を掲載しております。

7. 二次業務の周波数の使用
アマチュア局における二次業務の周波数の使用にあたっては、一次業務の無線局に有害な混信を生じさせることがないよう、適切な措置を執ることができるものであることを、必要に応じて書類等により確認することとしました。

周波数割当計画において、国内分配(各周波数帯において、割当てを受けることができる無線局が行う無線業務)にあたり、無線業務には、「一次業務」又は「二次業務」の区分が決められております。

二次業務の無線局は、次の条件に従って開設することを条件に周波数の割当を受けることができることとされております。

・周波数が既に割り当てられ、又は後日割り当てられる一次業務の無線局に有害な混信を生じさせてはならない。

・周波数が既に割り当てられ、又は後日割り当てられる一次業務の無線局からの有害な混信に対して保護を要求してはならない。

書類等の確認については、アマチュア局の無線設備が、一次業務の免許不要局と周波数を共用している2,425MHz帯及び5,750MHz帯を発射可能な場合は、申請に当たり「一次業務の無線局に有害な混信を生じさせることがないよう、適切な措置を執ることができるものであること」を確認できる書類を御提出ください。

この確認書については、電波利用ホームページに「二次業務の周波数の使用に当たっての確認書(例)」が掲載されておりますので、御確認、御活用ください。


記事では「電波の強度に対する安全施設について」や「二次業務の周波数の使用」の解説も行われている



総務省は3月23日に「電波利用ホームページ」を更新

総務省は官報公布翌日の3月23日、「電波利用ホームページ」に「アマチュア無線」のページを追加更新
(https://www.tele.soumu.go.jp/j/others/amateur/)。今回の制度改正における最新情報も得られるようになった。


総務省は翌3月23日に「電波利用ホームページ」内に「アマチュア無線」のページを追加更新した

改正された「アマチュア無線の交信体験制度」に関する説明のほか、「申請・届出にあたって御確認いただきたいこと」という項目を設け、先ほど紹介したJARL掲載記事にも出てくる「電波の強度に対する安全施設について」や「二次使用の周波数について」の解説も行っている。


今回の改正を踏まえた項目も盛り込まれている

具体的には「電波の強度に対する安全施設について」では、考え方とともに関係法令、適合確認の手引き、アマチュア無線局の電波の強度の算出例、簡易な適合確認プログラムなどへのリンクを掲載。「二次使用の周波数について」では、アマチュア局の二次業務の周波数を示した上で、「二次業務の周波数の使用及び適切な措置について」と題した確認書のフォーマットもダウンロード可能な状態で掲載している。

この「アマチュア無線」のページは今後も随時更新していくということなので、チェックを欠かさないようにしておくとよいだろう。

次世代のワイヤレス人材育成のため、青少年などがアマチュア無線への入門をよりしやすくするとともに、現在開局中のアマチュア無線家にとっては、さまざまな手続きの簡素化によって柔軟な運用を可能にする今回の改正が、アマチュア無線活性化のターニングポイントになることを願いたい。

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