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テクニカルコーナー

My Project/第8回 【カンタンに作れて実用的】キャリングハーネスの製作

JP3DOI 正木潤一

インターネットで“無線機ポーチ”と検索すると非常に多くの結果がヒットします。しかし、そのほとんどは業務用か軍用で、コンパクトなアマチュアハンディー機には大き過ぎるうえに地味です。中には特小(特定小電力トランシーバー)用や米国のFRS(Family Radio Service)用の小型の物もありますが、どれもキーやスピーカーを塞いでしまう構造になっています。無線機を収める『ポーチ』よりも、コードや紐で編んだ『ハーネス』で保持するほうが便利ではないかと考え、実際に作ってみたところ実用になる物が出来ましたので紹介します。

用意するもの:
材料は3つだけです。どれも手芸屋さんやアウトドアショップ、スポーツ用品店で手に入ります。好きな色を選んで作ってみてください。

・2mm径のアウトドアコード(ナイロン製)  60cmと80cmを1本ずつ
・ナスカン(またはカラビナ)  2個
・コードストッパー(またはシューレースロック)  1個

作りかた:
詳しくは動画をご覧ください。

① 60cmと80cmのアウトドアコードを1本ずつ用意します。
・コードの切り口を加熱して溶かし、ほつれないように処理します。

② それぞれのコードを半分に折り、写真のように閉じた端から約30mmのところにナスカンを結び付けます。(2本のコード両方とも)

③ 閉じた端に2つの輪を作ります。(2本のコード両方とも)

短いほうのコード(60cm)の両端を2つの輪に通します。

⑤ 写真のように無線機に装着し、“U”型になった部分が側面の中心付近に来るように長さを調節します。

⑥ 位置が定まれば、結び目を作って固定します。
・余った部分が邪魔になるようであれば切り落としてください。

長いほうのコード(80cm)の両端をU型の部分に通し、③で作った2つの輪に通します。
・2つの輪それぞれに1本ずつ通します。

⑧ コードを強く引っ張り、結び目を根元まで引き付けます。
・コードが無線機に密着するようにします。

⑨ コードストッパーを通し、根元まで引き付けます。

⑩ ストッパーを通したコードの末端を結んでおきます。


完成

使いかた:
リュックサックのショルダーストラップに付いているリングに取り付けます。このままならば振り子状態となり、体の姿勢に関わらずリグとアンテナがほぼ垂直を保ちます。

コードの余っている部分をショルダーストラップに巻いてからナスカンに掛けると、リグを固定できます。

バッグなどのショルダーベルトを2つのナスカンに取り付ければ、たすき掛けして無線機を肩の位置でホールドできます。

また、ネックストラップを付けるとリグを首から提げられます。

筐体の上部にコネクターを接続する機種では、短いほうのコード(60cm)の閉じた端とナスカンの間を30mmよりも長く取り、コネクターを迂回させます。

強度:
リグを4辺で固定しているので、コードが緩まないかぎり脱落することはありません。そして、コードストッパーが動かない限り、コードは緩まないようになっています。さらに、コードストッパーの手前で作った結び目がバッファーとなり、コードストッパーに力が直接加わらないようになっています。

使用するアンテナによって異なりますが、たいていのアマチュアハンディー機は200~300gで、特定小電力トランシーバーは150~200g程度のようです。無線機が揺れるとその重量以上の力がハーネスに加わりますが、2か所の結び目は力が加わるほど締め付けが強くなります。リュックサックに取り付けて自転車で60kmの距離を走ったことがありますが緩みませんでした。
※使用する部材の素材や品質によっては強度が足りない場合があります。製作と使用は自己責任でおこなってください。

バリエーション:
明るい色のアウトドアコードはスポーティーな感じですが、コードの素材を変えると違った雰囲気になります。


革紐を使ったウエスタン風(左)と、瑠璃色の荘厳な和風 (右)

最後に:
当局はこれまで4つの無線機ポーチを使ったことがあります。しかし、どれも使い勝手が悪く地味な物ばかりでした。ハーネスは構成がシンプルなので加工が簡単で、使う部材の融通も利きます。近年はカラーバリエーションが豊富でおしゃれなハンディー機が増えています。とにかく簡単に作れるので、好きな色や素材を使ってオリジナルのハーネスを作ってみてはいかがでしょうか。
基本構造がシンプルなので、リングやクリップを付けるなど、アレンジする余地がまだまだあると思います。また、予備バッテリーパックを背面にハーネスと一緒に取り付けたり、風きり音をカットするためにマイクを覆う布を付けたりと、工夫して用途を拡張するのも楽しそうです。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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