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無線をせんとや生まれけむ。

第八話 BCLラジオを愛でる(海外製品編)

無線(CQ)をせんとや生まれけむ。
短波(ラジオ)聞かんとや生まれけん。
呼ぶ、かの局の信号(こえ)聞けば
我が身さえこそゆるがるれ。

JF3SFU 永野正和

皆さま、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

梅雨とはいえ、大変な雨降りが続きます。集中豪雨による激甚災害が発生いたしました。被害にあわれた方々に謹んでお見舞い申し上げますとともに一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

先月は、国産(ソニー)製のBCLラジオについてお話しをさせていただきました。今月は、海外製品編と題してお話をさせていただこうと思います。海外製と言いましても、「今」はもう、台湾製か、中国製のどちらかしかないのが実情です。今月は、私が持っているラジオの中でこれはお薦めですというモデルや、面白いものを中心にご紹介したいと思います。

(注: 本文は、私の感覚に基づき書き進めておりますれば、まことに、個人差がございますことをお含みおきください。)

海外製(台湾製と中国製)のBCLラジオの印象

中国製のBCLラジオは、コストパフォーマンスは高く、素晴らしいアイデアを具現化している魅力的な製品が数多くあるように思います。しかし、早いタイミングで動作不良を起こす製品に出くわすこともよくあります。すべての中国メーカー製ラジオがそうだとは申しませんが、どうも品質が安定していない印象です。かたや台湾メーカーの製品はたとえ中国工場製であっても、その品質は総じて安定しており、日本製品と変わらないように感じます。使用している部品のグレードやその管理基準、品質管理の体制が違うように思います。

それにしても、BCLラジオが好きだ


持っている海外製BCLラジオを並べてみました

73年頃から始まったあの爆発的なBCLブーム時代を、BCL小僧として過ごした私にとって、BCLラジオへの思いは特別です。第七話でも少しお話しいたしましたが、あの頃の夢中さや、海外へのあこがれや夢、ドキドキしていた感覚やその記憶がBCLラジオに転写されていて、懐かしく色々なことを思い出すからかもしれません。あの頃は、受信周波数の直読などは夢のまた夢。受信周波数は、放送周波数が判明しているパイロットステーションがたよりでした。クリスタルマーカーの完成品や、自作記事もありましたが、小僧は手を出すことができませんでした。(70年代の後半には、クリスタルマーカーと周波数読み取りダイヤルなどをもったラジオが登場し、単独で一定のオーダの周波数を読み取れるようになったと思います)。

しかし、今のBCLラジオは本当にすごいですね。1kHzの周波数直読はあたりまえです。また、DSPを使った短波ラジオであれば、IFフィルタの帯域も複数から選択できます。受信周波数がわからない手探りのドキドキ感はあの頃のラジオに軍配が上がりますが、受信周波数直読の便利さは、今やなくてはならないものです。

現在の私のBCLスタイルはといいますと、受信の対象は、日本語放送や英語放送の番組、それから現地音楽を比較的よく放送している局など、聴いていて楽しい放送局がメインです。ラジオをとっかえひっかえしながら、また広めのIFフィルタで、良く聞こえる局を穏やかに聴いています。それから「あっ、このラジオで、こんな放送(局)が聞こえた!」とか、「くそぅ、聞こえない!」いうスパイスも時としてあり、それはそれで楽しんでいます。

年に数回ある海外出張では、短波の受信はもっぱら、Radio Japanの日本語放送です。そのほかは地元の中波や、FM放送を聴いていることが多いです。今の短波放送の状況をながめますと、隣接周波数からの混信を気にしないといけない状況は少なくなったように思います。さらに乱暴に続けますと、ラジオにマッチするアンテナを準備さえすれば、このラジオでは聞こえて、あのラジオでは聞こえないというシーンも少ないように思えます。

そんなことで、今回は、それぞれのラジオの持つ個性や、このラジオは、こんな感じですよという感じで書き進めたいと思います。お読みいただいて、「おっ、ちょっと面白そうだ。」とか、「今のBCLラジオってそうなんだ。」とか、あるいは、すでにBCLラジオをお持ちの方であれば「そうそう!」とか「なるほどね。」とか、アマチュア無線だけでなくBCLの輪が広がれば嬉しいなと思います。

おすすめのBCLラジオ①

TECSUN(中国) S-2000


大きなボディーのS-2000

基本スペック:


用途:
お家でBCLを楽しむラジオ。

愛でるポイント:
①現在販売されている短波ラジオの中で、唯一あの頃のBCLラジオの雰囲気をまとっている。
②短波バンドサーチから、深夜の中波放送を聴く寝ラジオまでこなす、オールラウンダー。
③デスクトップサイズの存在感。大きく見やすい周波数表示。
④中波用ジャイロアンテナを装備。
⑤丸型の機械式Sメータを装備。
⑥大型のスピーカとBASS/TREBLE独立のサウンド調整による豊かなサウンド。
⑦アルミ(風味)のメインダイヤルはなかなかの高級感であり、回転フィーリング良好。
⑧ハイ・インピーダンス(ワイヤーアンテナなど)/ロー・インピーダンス(同軸給電型のアンテナなど)のアンテナ端子を独立して装備し、外部アンテナを接続しても混変調などで困ることは少ない。
⑨FM、中波の感度は最良の部類。短波は良好。


ジャイロアンテナ


機械式Sメータ

惜しいポイント:
①所有する機体は6つあるプラスチック製のボリュームノブにボリュームの軸を挟み込むチャッキングの寸法が充分になく両面テープで巻きこむように固定されている。これはどう考えても、プラスチック部品の設計不良。経年変化でこの両面テープの粘着性が無くなれば、ボリュームノブは簡単にとれてしまう。その時だけがよければ、それでOKという最たるもので、これは確信犯(笑)。(ちなみに、初代のS-2000のボリュームノブは問題なかったと記憶する。)自分で直せるので、致命的欠陥ではないにせよ、製品品質に対するメーカーの姿勢を垣間見ることができる。中国メーカーの製品では、日本設計や日本の品質保証ではありえないことが「ごく」普通にある。

②フィルタが広めの10kHzと5kHzの2通り。少し狭め(3.5kHzくらい)のフィルタがもう一つあればと思う(イージーリスニングは5kHzフィルタで充分機能するので、大きな問題ではない)。

③綺麗に復調できないことが、ちょくちょく発生するダメなSSB復調。SSB受信時の最小周波数のステップに起因するものと思われる。BFOピッチの調整ボリュームはあるが、あまり役に立たない(短波放送局のリスニングには問題なし)。


紙の両面テープで固定。こんなことで驚いてはいけない(笑)

おすすめ度: 9
今発売されているデスクトップ型BCLラジオの中では最良の一台だと思います。操作していて楽しいラジオです。価格に対する長期品質信頼性にやや疑問があり減点です。

まとめ:
かつてのBCL小僧のハートをわしづかみのラジオ、いつの間にか高価になってしまいました。発売され既に10年以上経過するラジオですが、あの頃のBCLラジオのギミックと今のBCLラジオの性能の進化をバランスよく取り込んだ1台だと思います。

で、実は、このラジオの購入は2台目です。私のBCLラジオノート(記録ノート)によれば、1台目は2012年8月に購入しています。この1台目は2015年5月に不調になり、何度かの修理トライの後、お蔵入りとなり、2020年5月の断捨離で廃棄しました。この記録によれば、機嫌よく動いていたのは3年間です。不具合は、本体AFボリュームの不良により、突然大きな音が出るというものでした。最初は深夜に発生しました。ヘッドフォンで短波放送を聴いていたのですが、突然の大音量で、こちらも大声を上げた記憶があります。裏ブタを開け、PCBを取り出し、ボリューム周辺の追加ハンダなどをしましたが正常化せず、原因はPCB直付けのボリュームそのものでした。同じボリュームは日本市場に存在せず、なおったかと思えば、急に大きくなる音量が「癇(かん)の虫」にさわり、廃棄の刑にしました。

しかしです。そんなことがあっても、2台目を買うわけですから、私にとってこのS-2000は大変素敵なBCLラジオなのだと思います。今回はどれくらい元気でいてくれるでしょうか。1週間前に到着しまして、とにかく寝室に設置しました。寝る前の短波ワッチと寝ラジオとして使用しています。

おすすめのBCLラジオ②

SUNGEAN(台湾) ATS-909X


基本スペック:


用途:
お家で聴くことをメインに、国内旅行や屋外受信に持っていけるサイズ。海外出張に持って行くにはやや大きく重い。

愛でるポイント:
①さすがの台湾基準品質(生産は中国本土かもしれません)。海外製BCLラジオの中で特筆すべき品質。素晴らしい出来映えの外観。
②総じて感度良好。
③使いやすい周波数ジョグダイヤルと、AFボリューム。とてもよく考えられた操作系。
④受信周波数と放送局名を表示。一括管理できるので、選局時に迷わない(購入年度の主要局データが書き込まれているので、必要に応じて書き換えが必要)。
⑤大きなスピーカが実装されているわけではないが、輪郭がありながらも豊かで聞き疲れせず、いつまでも聴いていられる(前述のS-2000同様、最良の寝ラジオ)。
⑥ゲインのある外部アンテナを接続しても大きく破綻しないアンテナ入力。
⑦綺麗に復調可能なSSBモード受信。
⑧単三型電池/単三型充電池動作。


見やすい画面と操作系


シルク印刷ひとつとっても美しい仕上げ

惜しいポイント:
①フィルタをNARR(ナロー)に選択した場合、音がこもり、かえって了解度が落ちる(通常使用は、WIDE(ワイド)で問題なし)。
②同期検波モードが欲しい。
③RFゲインのボリュームが滑りやすく、回している感じがあまりしない(ほとんど気にならないレベル)。

おすすめ度: 9
高い品質(中国製であっても、品質基準は台湾)と使い勝手の良さ、オールラウンドの高性能で今販売されているBCLラジオの中では最良の一台です。見落としがちですが、単三型乾電池/単三型充電池で動作するのもポイントです。1点減点は、同期検波を装備していない点です。これがあれば、私の中ではBCLラジオとしての完成度は、満点です。近々、後継モデルが発表になるウワサもあります。

まとめ:
台湾SANGEAN(山進: サンジン)製
このラジオ、実は2台持っています。最初の1台は2015年7月に間もなく終売になるというウワサを聴き(実にウワサでして、今も販売中)黒いモデルをネットで購入しました。もう1台は白いモデルで、2016年4月の台湾出張の折、SANGEAN社を訪問し購入しました。BCLラジオノートによれば、2004年あたりから、「海外出張では、ラジオを買おう、行くとき1台、帰りは2台」という「自分キャンペーン」を展開しているさなかに買ったラジオの1台です。私の場合、同じラジオを2台買うというのは、余程気に入っている証拠で、短波ラジオでは前述のS-2000とこの909X、それから、ソニーのICF-SW7600GRの3機種です。お話しを戻しますと、この909Xは極めて優等生で気になるところが全くありません。よくできたBCLラジオだと思います。

おすすめのBCLラジオ③

TECSUN(中国) PL-380


基本スペック:


用途:
海外出張に最適。海外で気軽にBCLを楽しむ。

愛でるポイント:
①さすがDSPラジオ。選べるIFフィルタ幅(6kHz、4kHz、3kHz、2kHz、1kHz)。
②小さく軽い。
③コストパフォーマンス抜群。
④単三型乾電池/単三型充電池駆動。
⑤チューニングダイヤルを装備(早送りなどのマルチファンクション装備)。
⑥クリアーな音質(豊かとはいえないが、合格点以上)。


小さく軽量、感度も問題なく、操作性良好なお出かけラジオ

惜しいポイント:
①Sメータが数値表示で、良くわからない(Sメータは必須ではありませんが、液晶表示ならばバーメータなどが良くわかって良いですね)。
②短波の受信周波数がやや狭い(21MHz以上の高い周波数が活発になるにはまだ数年かかるので特に問題はない)。
③SSB受信機能がない。
④外部アンテナ端子がない(ワイヤーアンテナをロッドアンテナにクリップで問題なし)。

おすすめ度: 8
海外出張に手軽に持って行くことのできる小型軽量短波ラジオとしては秀逸です。小型なのに、単三電池または単三型充電池で稼働することもポイントです。コストパフォーマンスは最高、ほぼ満点です。DSPラジオなので、周波数を変更するときに、プツプツと受信音が途切れます。実用的に問題は無いです。また極めて弱い信号を受信したときに復調にやや難があるように感じます。これで減点2としました。

まとめ:
BCLラジオノートによれば2011年2月に購入とあります。WRTH2011の製品の論評を読んで、初めてのポケットDSPラジオとして購入しています。結果として、このラジオを一番海外に連れだしていますが何の不具合もなく動作しています。当時、本体価格34ドルで購入と記載があります(今はこの倍くらいすると思います)。こんな安いラジオが10年近く、しかも、海外出張で、荒く使われも大丈夫なのに、3年で壊れる高いラジオもあるというのが面白いですね。海外では、ホテルの窓からワイヤーアンテナを垂らし、ロッドアンテナにクリップして受信していることが多いのですが、強信号で飽和したという経験はありません。もちろんホイップアンテナでの受信でも同様です。

このモデルの兄弟機種で、PL-310ETというモデルがあります。性能はほとんど変わらず、こちらは外部アンテナ端子が装備されています。また、PL-330という新型が最近発売されました。既に海外サイトで手配を完了し、品物の到着待ちです。しかし、この新型もリチウムイオン充電池でのみ動作しますので、私の場合、海外出張用は当面、PL-380一択の様に思います。

おすすめのBCLラジオ④

XHDATA(中国) D-808


基本スペック:


用途:
屋外での受信。海外で気軽にBCLを楽しむ(リチウムイオン充電池の取り扱いは要注意)。

愛でるポイント:
①さすがDSPラジオ。選べるフィルタ幅(6kHz、4kHz、3kHz、2.5kHz、2kHz、1.8kHz、1kHz)。
②小さく軽い。
③コストパフォーマンス抜群。
④短波の感度はPL-380と同等。中波はサイズの割に秀逸。
⑤チューニング・ダイヤル(早送りなどのマルチファンクション装備)とファインチューニング・ダイヤルを装備。
⑥クリアーな音質(豊かとはいえないが、合格点以上)。
⑦SSBモードを装備(復調は容易)。
⑧ブルーバックライトのLCD表示がとても美しい。
⑨シンプル&ノーブルなデザインとよく考えられた操作系


よくデザインされた筐体、縦横比も美しい


使いやすいチューニングダイヤルと微調整ダイヤル(FINE TUNE)

惜しいポイント:
①Micro-USBジャックから充電しながらの受信は、充電ノイズがひどく全く使い物にならない(受信は内蔵電池で)。
②リチウムイオン充電池駆動(18650)であるため、電池切れを起こすと充電完了まで使えない。
③外部アンテナを使用すると、混変調が発生する。
※このラジオに限ったことではなくDSPを使ったポータブルに外部アンテナ(特にゲインのあるアンテナ)をつなぐと発生しがち。


海外に連れ出すときに少し気になるリチウムイオン充電池

おすすめ度: 7
大変使いやすく(マニュアルレスで使えます)小型、高性能で良いラジオなのですが、リチウムイオン充電池でしか動かないところ、充電中は充電ノイズで使い物にならないというところ、DSPラジオ特有の弱い信号を復調できないところで減点3としました。乾電池が使えれば9点です。

まとめ:
BCLラジオノートによれば、2018年4月に関西在住の中の良いBCLの皆さんと大阪ミナミの串カツ屋で飲み会を開催したおり、最近欲しいラジオがないという話題の中で、「D-808がエエ。ホレホレ、カエカエ。と背中をおされ、その場で、ポチっと購入。」(原文通り)とあります。購入して2年ちょっと。持っているラジオのなかではTECSAN S-2000の次に新しいラジオということになります。このラジオは、海外出張用のPL-380の後継として購入したのですが、ロンドンのヒースロー空港と、香港のチェックラップコック国際空港で内蔵のリチウムイオン充電池と交換用として持っていた予備の充電池が、手荷物セキュリティーチェックで、引っかかり、それ以降、海外に連れて行くのをやめました(ずっと問題なかったのですが)。中波とFMの感度は、極めて良好ですが、短波の感度は、PL-380とあまり変わらない感じで、充電池の一件もあり、結局海外出張ラジオはまたPL-380に戻ってしまいました(単三型電池はやはり安心です)。比較的小型で、軽く、高性能、操作性は、PL-380より直観的でわかりやすく使いやすいラジオですので、ちょっと屋外でBCLなどによいと思います。

そのほかのBCLラジオ①

DEGEN(中国) DE1103


基本スペック:


用途:
国内旅行やペディなどに持っていけるサイズ。海外出張に持って行くには少しだけ大きい。

愛でるポイント:
①特徴的で、直観的な周波数表示画面。
②周波数チューニングダイヤルで選局したときに途切れない受信音(非DSPモデル)。
③良好な短波受信性能(内部雑音が少なく、同クラス(価格帯)のラジオより1ランク上)。


ユニークな周波数表示

惜しいポイント:
①ボタン配置と、1ボタンに複数の機能を搭載することによる使い勝手の悪さ。
②USB/LSBの選択ができないSSBモード(微調ボリュームがあるが復調にはややコツが必要)。

おすすめ度: 6
直観的でわかりやすい情報表示画面がとても良いのですが、1ボタンに2つ割り当てられた機能がやや煩雑で使いづらさが目立ちます(慣れの問題なのでしょうけれど)。この旧モデルはもう販売していないので、市場には中古しかありません。新品が売られていれば、おすすめ度は7です。

まとめ:
発売された当初、「愛好者3号」の愛称で、BCLの間で高評価、大変評判の高かったラジオです。DEGENは個性的でエポックメーキングなラジオを開発、製造、販売しているメーカーです。このDE1103ですが現在は、DE1103DSPという新型に切り替わっています。DSPタイプの性能チェックはまだできていませんが、BCLの方々の評では、旧型の方が良いようです。しかしこれは真偽不明です。実機で確かめてみたいと思います。

そのほかのBCLラジオ②

GRUNDIG(ドイツ) Yacht Boy (YB-400PE)


基本スペック:


用途:
お家で聴くことをメインに、国内旅行やペディなどに持っていけるサイズ。海外出張に持って行くにはやや大きく、重い。

愛でるポイント:
①購入して16年経っても全く問題のない動作品質。
②シンプルでわかりやすい操作系。
③なめらかなチューニング。
④素晴らしい受信性能と音質。


ファインチューニングを装備

惜しいポイント:
①日本バンドに変更できないFMの受信帯域。
②今となってはバランスしない、価格的にも見劣りする付帯機能(メモリチャンネル数など)
③USB/LSBの選択ができないSSBモード(微調ボリュームがあり復調はややコツが必要)。

おすすめ度: 5
長期の使用に耐える高品質設計のラジオですが、いかんせん基本設計が古く、今となってはBCL用のラジオとして、積極的に選択する理由はあまりないように思います。受信音は、あの頃のBCLラジオを彷彿とさせる良い音です。

まとめ:
これは、GRUNDIG(グルンディッヒ)というドイツの会社の短波ラジオです。もともとの大株主は、あのオランダのフィリップスでしたが2003年に破産し、その後分割され様々な国の会社に合併吸収されました。現在は、もうその名前を短波ラジオで見ることはありません(残念)。本体を眺めまわしましたが、「Made in どこどこ」の表記はありません。一時は米国のETON社がライセンス生産をしていたと思いますが、今はどこの会社なのかよくわかりません。BCLラジオノートによれば、2004年、ラスベガス出張時に購入とあります。購入して16年になりますが、ボリュームのガリや、スイッチの接触不良もなどもなく、正常に動作します。

一芸のBCLラジオ

GRUNDIG(ドイツ) G-2000A


基本スペック:


用途:
机の上の調度品。ラジオ付き時計。

愛でるポイント:
①短波ラジオで唯一無二のポルシェデザイン。


惜しいポイント:
①デザイン以外は、ほぼ評価不能なラジオ(短波はほぼ聞こえない: 笑)。
②スピーカーが小さく、またAFアンプがドタで少しボリュームを上げると歪む音声出力。

まとめ:
このラジオは先に記しました、Yacht Boy同様、GRUNDIGのラジオです。現在は販売されていません。BCLラジオノートには、2004年10月デトロイト出張、Radio Shack、82ドル。とあります。またノートの最後には「購入は大失敗。ラジオとしてのおすすめどころはなし。ラジオ型時計の調度品。旅の記念として。」(笑) 短波は使いものにならず、FMは日本のバンドに合致せず、しかも、ちょっと大きな音で鳴らそうものなら歪みます。良いところは、外見だけ。それもそのはずで、あのポルシェデザインによりデザインされた短波ラジオです。まぁ、そんなラジオ(のようなもの)も良いでしょう。

これはどうだ! の見せラジオ

DEGEN(中国) DE-11


基本スペック:


用途:
ちょっと散歩しながらBCL。知り合いのBCLに見せて自慢する。

愛でるポイント:
①唯一無二の寸法に詰め込まれた機能。
②ICF-SW55のようなロッドアンテナの収納。
③小さなスピーカながら歪みのないクリア・サウンド(前述のG-2000Aより小さいのに)。
④単三型乾電池2本で動作。


無茶苦茶小さい10キー入力付き短波ラジオ

惜しいポイント:
①もう少し長いロッドアンテナが欲しい。
②残念ながら終売。

まとめ:
久しぶりに、通電しました。BCLラジオノートによれば、「大阪にお住いのOMさんから見せていただき、SonyのICF-SW1に負けない小ささと機能に感動、即購入決定。2008年3月。」と書かれています。現物を見て余程びっくりしたのでしょうね。残念ながら、本モデルは終売していますが、DE1103といい、このDE11といい、DEGENは本当に面白いラジオを作ってくれます。もう少し製品の品質が上がれば良いのですが、それでもこのメーカーのラジオは要チェックです。

後継機種(だと思います)が販売されています。モデルナンバーはDE1105(愛好者5号)、サイズは118(W)×75(H)×23.5(D) mmで、縦型モデルですが、DE11とほぼ同サイズです。搭載されている機能も大きくは変わりないようです。

さいごに

日本のアマチュア無線局が39万局あまり、JARLの会員数は7万人を大きく割り込んでいるそうです。BCLはさらに少なく、「日本のアクティブなBCL」は1000人いるかいないか、たまに聞く方をいれて、2000人~3000人というところではないでしょうか。さらに全世界を考えても、この10倍~20倍というあたりではないかと思います(あくまで、私の推測です)。これを「母数」と仮定すれば、BCLラジオであれ、通信型受信機であれ、新規の開発はなかなか難しそうです。国内のメーカーが短波ラジオ生産から撤退してしまったのも頷けますが、その中で、中国と台湾メーカーは頑張っていると思います。

お話しした中で、もし、どのBCLラジオがお薦めなのか? と聞かれましたら、

デスクトップでギミックを楽しみながらBCLというのであれば、TECSANのS-2000をおすすめします。

「あんまり大きいモデルはどうもね。」といわれるのであれば、迷うことなくSANGEANのATS-909Xがおすすめです。

「屋外や海外出張でちょっとBCLという場合はどれ?」の答えはちょっと迷うのですが、実績で、TECSANのPL-380が良いかなと思います。PL-380の他にも優秀なBCLラジオはあるのですが、海外に連れ出すモデルはリチウムイオン充電池駆動ではないモデルを私は選びます。

ところで、新型のBCLラジオに関する発売のウワサが、昨年来より3件ありました。ひとつは、既に発売されているTECSANのPL-330というモデルです。まだ、日本のネットでは販売されていませんので、今回の記事に間に合わなかったのですが、S-2000と同時期に注文しています。あと一週間もすれば届くと思いますので、また別途ご紹介いたします。

もうひとつは、先にお話ししました。SANGEAN ATS-909Xの後継機種です。もう、開発完了との話もありますので待ち遠しい限りです。スペックや発売時期に関するアナウンスはまだありません。

最後のひとつは2021年に発売が予定されているETON Elite Satelliteです。私的には、これが真打で、既に終売していますE1というモデルの後継機種です。米国のUniversal RadioのHPで発表されているモデルの写真を見ますと、終売したE1と全く同じで、ラベルだけ張り替えたような感じです。E1は使ったことはないのですが、所持しているBCLの方の評判は極めて良く、後継機の発売が待たれます。噂によると、ソニーのICF-2001D以上だとか。うーん、ものすごく楽しみです。


発売が楽しみな、ETON Elite Satellite (出典: Universal Radio H.P.より)

どれもこれも、日本製のBCLラジオでないところが淋しい限りですが、仕方ありません。また、中国製BCLラジオがいくらこなれた価格だからといって、そうそう何台も購入もしていられないのですが、どうにもこうにも気になるのだから仕方ありません(笑)。

世の中は、新型コロナ感染症の数字が上がってきております。週末はもう少し我慢のStay Safe、シャックにこもってHAM&BCLです。お互いに気を付けて過ごしましょう。

では、来月までごきげんよう。Very Best 73&88。

無線をせんとや生まれけむ。 バックナンバー

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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