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総務省が一括記載コード「3MA・4MA」改正案の意見募集結果を公表

総務省は7月31日、「アマチュア局において使用する電波の型式を表示する記号を定める告示の一部改正案に対する意見募集の結果」を公表した。


総務省サイトで7月31日に公表された「アマチュア局において使用する電波の型式を表示する記号を定める告示の一部改正案に対する意見募集の結果」より

ここまでの経緯

2020年4月21日の電波法改正で、1.9MHz帯のアマチュアバンドが拡張され、初めて「全電波型式」という使用区別が設けられ、SSBやAMなどの音声系モードや、SSTV、FAXなどの画像系モードの運用も可能になった。しかしこれまで、同バンドに対応した無線局免許状の一括記載コード「3MA」と「4MA」にはこうした電波型式は含まれていなかった(「4MA」はF1B、F1D、G1B、G1Dの4モード。「3MA」はこれにA1Aを含んだ5モード)。

そこで総務省は、1.9MHz帯で新たに音声通信等を行う場合の免許手続きの簡素化を目的として、「3MA」、「4MA」の一括記載コードに「J3E(SSB)」や「F3C(ファクシミリ)」、「F3F(SSTV)」など9つの電波型式を追加する告示改正案を作成。電波法改正直後の4月25日から「アマチュア局において使用する電波の型式を表示する記号を定める告示の一部改正案に対する意見(パブリックコメント)募集」を行い、5月29日に締め切った。

意見募集を行った告示改正案の骨子は次のとおり。

★475kHz帯および1.9MHz帯の一括記載コード「3MA」に含まれる電波型式を「A1A A3C A3E D3C F1B F1D F3C F3F G1B G1D H3E J3E J3F R3E」とする。

★475kHz帯および1.9MHz帯の一括記載コード「4MA」に含まれる電波型式を「A3C A3E D3C F1B F1D F3C F3F G1B G1D H3E J3E J3F R3E」とする。

★この告示の際、すでに「3MA」が指定された免許(または予備免許)を受けているアマチュア局は、告示改正後の「3MA」が指定された免許(または予備免許)を受けたものとみなす。

★この告示の際、すでに「4MA」が指定された免許(または予備免許)を受けているアマチュア局は、告示改正後の「4MA」が指定された免許(または予備免許)を受けたものとみなす。

総務省が公表した意見募集結果とその考え方

7月31日、総務省からこの意見募集結果とそれに対する総務省の考え方が公表された。それによると、パブリックコメントの提出は合計85件。法人からは1件(JARL)で、残りの84件は個人からのもので、改正案を「賛成」とするものが圧倒的多数だった。


提出された意見と総務省の考え方から一部抜粋。全文は総務省のWebサイトからPDF形式で閲覧できる

意見の中で注目されるのはJARLと一部の個人が提出した意見と、それに対する総務省の考え方(回答)だ。

●JARLの意見(抜粋)
なお、1.9MHz帯において「A1A」による電波の型式が指定された免許又は予備免許を受けているアマチュア局につきましても、3MAの記号による電波の型式が指定された免許又は予備免許を受けているアマチュア局と同様に、告示改正後に新たに音声通信等を行う際の免許手続の簡素化にご配慮いただきますようお願いいたします。

●それに対する総務省の考え方(回答)
ご意見を踏まえ、現に1.9MHz帯において「A1A」の電波の型式が指定された免許又は予備免許を受けているアマチュア局が音声通信等を行う場合、「3MA」の一括記載コードによる指定を受けているアマチュア局と同様に免許手続の簡素化がされるよう本告示案を修正します。

--これにより、1.9MHz帯でA1Aのみ免許されている局も、簡素化した手続きでSSBなどの運用が可能になる可能性がある。また、個人からの意見に対する総務省の回答の中で、改正後の免許手続きについての考え方を説明している部分があるので下記に紹介する。

●総務省の考え方
本案改正後、現に「3MA」、「4MA」の一括記載コードで指定された免許(予備免許を含む)を受けているアマチュア局が、新たに1.9MHz帯において、例えば「J3E」による音声通信を行うとき、無線設備が同帯域で「J3E」の技術基準適合証明等を受けている場合、手続きは不要です。

他方、無線設備が同帯域で「J3E」の技術基準適合証明等を受けていない場合、現に免許(予備免許を含む)を受けている無線局において、送信機の外部入力端子に附属装置を接続したときに、同帯域において工事設計書にない電波の型式(J3E等)が発射されることとなっても、免許状の指定事項に変更がなければ(一括記載コードにその電波の型式が含まれている)、工事設計書の変更申請や送信機系統図(附属装置の諸元を含む)の提出は不要となります。なお、この場合は、変更申請等は不要ですが、無線局事項書及び工事設計書の15備考欄に「1.9MHz帯での音声通信」の旨を記載して直接届出を行っていただく必要があります。

待ち遠しい改正告示

総務省はこの意見募集の結果をふまえ「速やかにアマチュア局において使用する電波の型式を表示する記号を定める件(平成23年総務省告示第127号)の改正を行う予定です」と表明した。

改正された告示が公布された場合、1.9MHz帯で3MA/4MAの免許を受けていて、無線機も1.9MHz帯のSSBモードを含む形で技適(技術基準適合証明、工事設計認証)番号を取得している無線機を使用している場合は、特別な申請をしなくても公布日からSSBモード等の運用ができるようになる(使用無線機の技適に関しては下記「参考」を参照)。また1.9MHz帯のA1Aで免許を受けている局についても、何らかの簡素化した手続きでSSBモード等の運用ができるようになりそうだ。

なお改正告示は475kHz帯にも適用される内容となる見込みだが、475kHz帯で使用できる電波型式は平成21年総務省告示第179号で「A1A、F1B、F1D、G1B、G1D」と定められていることから、同バンドで運用できるのは今後もこの5モードのみとなる。

<参考>
7月15日のニュースコーナーで紹介したとおり、アイコムは1.9MHz帯SSBモードなどの運用手続きが容易になるように、対象となる同社製アマチュア無線機(IC-7100/M/S、IC-7300/M/S、IC-7610/M,IC-7700/M、IC-7850、IC-7851、IC-9100/M)について「同一番号による技術適合証明(技適、工事設計認証)の取得手続き」を完了している。

また新製品のIC-705は、初回出荷時点から1.9MHz帯SSBモードなどを含む形で工事設計認証を取得している。

これらの対象機種のユーザーが、1.9MHz帯で3MAまたは4MAの無線局免許を受けている場合、改正告示の公布後は特別な手続きをすることなく、免許状の範囲内において、1.9MHz帯でのSSBなどの運用が可能になる。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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