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アパマンハムのムセンと車

第9回 モービル&アパマン運用に役立つヒント

JF1KKT 横田勝彦

2023年6月15日掲載

連載9回目となります。今回は、ローカル局のTさんと一緒に、何本かアンテナを実験してみましたので、その報告をしたいと思います。

7MHz釣り竿アンテナ

今まで、7MHzのお手軽移動は、2種類のモービルホイップ(第一電波工業のHF40CLとHF40FXW)を使い分けておりました。


お手軽移動で使っている第一電波工業製HF40CL

前回ご紹介した5mロッドアンテナ+コイルもよいのですが、海外製パーツや特別に加工しなければならないパーツもありましたので、今回はグラスファイバー製釣り竿、塩ビパイプ、Uボルト、IV線等、ホームセンターや通販で、どこでも入手出来る物で作ってみました。

入手しやすい竿は5~6mでしょうからそれを使います。IV線を12mほど用意して、写真のようにIV線をはわせ、コイルを巻きます。


今回製作した釣り竿アンテナの全体像

後はアンテナアナライザーやNanoVNAを使って、SWRを追い込みます。エレメントの長さによってはSWRが下がりきれないことがありますが、その場合は給電部の芯線側とアース側の間にコンデンサーを入れてマッチングを取ります。私の場合、SWRが共振点で1.5程度だったので、少々強引ですが、ATUを使ってマッチングを取ってしまいました。


ATUでマッチングを取ったところ(赤丸部分)

コイルは竿のいちばん太い部分に巻いて作ります。巻く前に竿に両面テープを貼り、それに巻き付けることで安定します。巻き始めと巻き終わりは結束バンドで固定し、調整が終わったらビニールテープで巻いて保護します。


竿に巻いたコイル部分のアップ。写真上側が竿の先端

釣り竿先端部分のIV線には圧着端子を付けて、コロナ放電防止とします。


IV線の先端には圧着端子を付けてコロナ放電対策をします(赤丸部分)

コイル部分以外は竿のつなぎ目の太い側(つまり下側)にビニールテープと結束バンドで固定します。こうすることで竿を縮めて持ち運びできます(JO2ASQ清水OMが月刊FB NEWS 2020年3月号の図2で紹介されたアイデアを拝借しました)。


竿とIV線を固定し、竿を縮めた状態

給電部は前回の7MHzフルサイズ同様、アースをきちんと取ったモービル基台です(アースはマグネットシートでも可)。


ボディアースを取ったモービル基台

釣り竿のベース部分は、竿が収まる太さの塩ビ管を使い、Uボルトを付け、ルーフキャリアに固定します。


釣り竿ベース部分


今回は竿の太さに応じて2種類作りました

塩ビ管は太さ以外にも種類があります。今回はVP-25とVP-30を使用しました。ホームセンターとかで入手できますが、肉厚の厚い方を使用しています。ちなみに上記写真のものは、それぞれ30cmでカットしています。この長さは、竿を差し込む際に、脚立を使わなくても作業出来るギリギリの長さにしています。

パイプの切断にはパイプカッター(Amazon等で太いパイプをカット出来る物が売られています)を使うのが楽です。穴開けには電気ドリルを使いました。

塩ビ管の固定に、今回はUボルトを使用しましたが、クロスマウントを使ってもよいと思います。クロスマウントを使う方が、強度的にはよいと思います。なお、塩ビ管にボルトを貫通させて、竿の下側を支えるようにしてください。


クロスマウントの例

詳しくはここまでの写真をご覧いただければと思います。

なお、このアンテナは、アパマンハムのベランダアンテナとしても有効だと思います。今回はモービルで移動した先で短時間使用することをメインで考えましたので、竿のいちばん細い部分も使用しましたが、ベランダ等に設置するならば、最低でも先端の段は抜いて2段目から使用する方が、強度的にはよいと思います。

折れたカーボン竿の再利用で10MHzアンテナ

以前の記事で、カーボン竿が折れてしまった事をお伝えしましたが、なんかもったいなくて再利用できないか考えていました。今回、釣り竿のベースを支える部分を作りましたので、これを利用してアンテナが出来ないかと思っていました。

折れた部分の竿は全長が12mでしたので、実測で9m弱残っています。それならば10MHzのフルサイズが出来るんじゃないかと考え、さっそく実験してみました。



実験中のカーボン竿のみの10MHz 1/4λフルサイズアンテナ

釣り竿を支える部分の塩ビ管がVP-30(内径約31mm)ですので、これより太い釣り竿は入りません。今回の釣り竿は折れたとはいえ、下の部分は入らなかったので、上下ともに使用せずに抜きました。現状で竿部分は実測6.2mほどです。

カーボン竿6.2m、リード線1m、144MHz用1/4λホイップアンテナ約50cm、この状態でマッチングが取れています。この状態で短縮率を計算すると、約1.05位になります。巷で『カーボン竿の短縮率は1を超える』といわれていたのが実証できました。うまく作れば、カーボン竿と給電線だけで7MHzのフルサイズが出来る?! なんて思ってしまいました(笑)

今後について

今回は紹介しきれませんでしたが、カーボン竿+屋外型ATUを移動運用に使用するヒント、釣り竿のボトムにコイルを巻いて、お手軽移動に使える1.8~7MHz用アンテナをご紹介して参ります。まだ実験中ですが、手応えはありましたので、乞うご期待ということで(苦笑)

オマケ

昨年12月に開催された「アイコムフェアinならやま2号館」におじゃました際に、CQ出版社ブースで売られていたパドルを購入しました(ほとんど衝動買いhi)。

パドルの詳細はこちらのリンクをご覧ください。最近はこのパドルを使って運用しています。ベンチシートの車両なので、運転席と助手席の間に挟んで固定しています。ご参考までに。


CQ出版社で販売中のミニパドル

なおご意見、ご感想、ご質問等については、筆者である私宛(jf1kktアットマークgmail.com)へご連絡頂けますと幸いです。

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